母の教え:「ものもらい」は最低の人間だ!
私が小学生の頃は毎日、食べるものが無く、お腹が空いていた時代ですが、クラスの友達の家に寄った帰りに、友達のお母さんがくれた「りんご1個」を食べて、りんごの芯を台所の三角コーナーに捨てたあと、母が農作業から帰って来て、私を呼びつけ、まず、ビンタ一発をしてから、「この、りんごは誰からもらったんだい!」と怒りました。
半泣きになりながらも、「同級生の◯◯君のお母さんがくれたので食べました」と説明しました。 すると、さらに、もう一発、ビンタをくらいました。 母の目は真っ赤になって怒っているけど、意味がわからず、黙っていると・・・。
いいかい、「ものもらい」は最低の人間なんだ。 人はね、どんなに苦しくても、「ものもらい」にだけはなってはいけない。
どんな形でも働いて、「恩返し」をしなければ、生きている意味はないんだよ。
人はね、みんな貧乏だし、お腹も空いているのさ。
私も今、農作業から戻ったばかりだから、ものすごくお腹は空いているけど、あんたたちのご飯を作らなきゃいけないし、それからじゃないと何も口にはできないんだよ。
私の気持ちを考えたことが、あるかい?
あんたは、自分のお腹が空いたことだけしか考えられない人間なのかい?
そんな子供に育てたつもりは、無いよ!
私の気持ちがわからないなら、この家から出ていきなさい!
母の目は、本気で怒っていました。
何も言い返せない自分も悔しかったけど、母の気持ちを考えていなかったことは、自分の愚かさだとわかったので、母に土下座して、ごめんなさいと言いました。
すると、母は、土下座している私を本気で蹴り倒しました。
「男が簡単に土下座なんてするもんじゃない!
昔の武士なら、首を切ってくれと頼んでいるのと同じなんだよ!
どこでそんな真似を覚えたんだか・・・。
あー、時代劇か・・・。
だから、私は時代劇が大嫌いなんだ。」
そう言うと、母は振り向いて、ご飯支度にかかりました。
もう、何をしても母を怒らすことしかできない自分が情けなくて、部屋のすみで一人で泣いていました。
兄と父が農作業が終わって帰ってきたので、私に声をかけますが、何も返事はできません。
この時の夕飯の味は、全くわからないほど、悔しいのと、情けないのと、私は最低の人間だとわかった時間でした。
次は、きっと、母を喜ばせられる人間になると、心の中で誓いました。
小学3年生の時の思い出です。