母の教え:喧嘩両成敗
若いお母さんたちは知らないと思いますが、ぜひ、この機会に「喧嘩両成敗」の意味を覚えて下さい。
語源を調べればわかりますが、もともとの意味と、日常で使われている意味は少し違います。
私は小学生一年生の頃に、母に叱られて覚えました。
学校で同級生と言い合いになり、我慢していたのに、相手が先に手を挙げたので、私も応戦しました。
子供でもお互いに暗黙のルールがあり、「目はつかない、オチンチンは蹴らない」のは当然です。
でも泣きながら言い合いになった二人は、校門を出てそれぞれの家に帰りました。
私が喧嘩した相手は、学校で一番近い校門前の同級生の女の子です。
女の子だからこそ、先に手はあげません。
しかし、いくらなんでも男に手を挙げる女は許せないので、私も頭を叩きました。
そしたら、泣き出したのです。
ものすごく頭にきたけど、幼稚園からの同級生なので、親の事情も、姉妹の問題も全て知っている間柄の喧嘩です。
まあ、兄弟喧嘩と同じです。
私の母は、私が兄と喧嘩すると、必ず、最後は兄を叱ります。
「目上の者が、目下のものをいじめるな!」と怒ります。
それだけは、弟に生まれてよかったと思いました。
でも、兄は、いつも毎年、新しい下着や洋服を買ってもらえますが、私は下着も全て従兄弟の「お下がり」です。
だから、兄弟喧嘩をして損をするのは兄とわかっているので、先に手を出すのは私なのです(^^)
母が怒る基準は、「弱いものイジメは、絶対に許しません」
先程の同級生の女の子と別れて家に帰ると、母は私の苛立ちを感じて、聞いてきました。
何か、あったでしょ。
何もないよ。
お前が帰ってきて、「お腹すいた」と言わないことはないので、何かあったはず!白状しなさい!
実は・・・と、喧嘩の話をすると、すぐに平手打ちです。
僕は先に手を出してないのに・・・
相手は女の子でしょ。
女が手をあげても、お前が出してはダメだ。自分で謝ってきなさい!
と、母は私を追い出しました。
仕方がないので、同級生の家に行って、大声で女の子の名前を呼びました。
すると、お母さんと同級生が現れたので、すぐに、大声でお詫びしました。
すいません。僕が彼女を泣かせたので、おばさん、ごめんなさい。
そう言うと、悔しかったので、すぐに玄関を飛び出して家に帰りました。
家に戻ってみると、母が「ちゃんと、謝ったかい?」と聞くので、「ちゃんと謝ったよ。」と答えて、悔し涙をこらえていました。
すると、玄関で声がします。
自分が玄関へ行くと、先程、誤りに行った同級生とお母さんが、そこに立っていました。
おばさんは、こう言いました。
ごめんなさいね。娘に話を聞くと、この子が先に手を挙げたそうじゃないか。本当にもう!
と女の子の頭を叩きます。
私の母も玄関に出てきて、親子二人で頭を下げられたので、母は母で私を怒った手前、引くに引けない様子で、「いえいえ、きっとうちの子があなたの家の娘さんを怒らせるようなことを言ったはず。だからこっちこそ、ごめんなさい」と、私の頭を押さえつけてお詫びさせられました。」
僕は悪くないのに・・・とずっと思っていても、やっぱり頭を下げることになりました。
「理不尽だ!!」と思いながらも、母には逆らえません。
だって、母を怒らせると、「おやつ抜き!」の刑か、最悪は、「飯抜き!」が待っているからです。
貧乏とはいえ、米農家なので腹一杯ご飯を食べれることだけが幸せなのに、それも取り上げられたら・・・生きていけません。
親子二人がお詫びしあった最後、同級生のお母さんが帰っていくと、母は、畑に走りて野菜を手に抱えて戻ってきました。
あの家はね、お父さんが会社に働いてるけど、最近、クビになったみたいで、食べ物も少ないし、お金もないので新鮮な野菜なんて食べられないのさ。
だから、お詫びに私が作った野菜を持っていきなさい!
え!まだ、お詫びするの???もう終わったんじゃないの?
馬鹿言うんじゃないよ、喧嘩はね。どっちが悪いとかじゃなくて、仲良くできないことが問題なのさ。
だから、「喧嘩両成敗」に準じて、勝った方が負けた相手に塩を送るもんだよ。覚えておきなさい!
小学3年生の時に、「敵に塩を送る」なんて意味は分かりませんが、言わんとしていることはわかりました。
勝っても調子こくな!
負けても、イジイジするな!
素直に、謝れ!
ありがたい、母の教えでございました。