母の教え:何があっても、どんな経験をしても、生きなさい!
私が中学生の頃、死ぬことを真剣に悩んでいたある日、母がこう言いました。
最近のお前、変だよ。何か困ったことがあるのかい?
ないよ・・・。
何もないなら良いけど、困った時はいつでも相談しなさいね。
わかったよ・・・。
そう言った母が、台所で突然、泣き出しました。
どうしたの?
お前が何で悩んでいるのかわからないけど、私も死にたいほど辛い時があったことを今、思い出したので言っておくわ。
いいかい、何があっても、どんな経験をしても、生きなさいね!
私が嫁に来た時は、父さんは貯金も無いし、親に借りたお米やお味噌で何とか生活したけど、あんたの兄ちゃんが生まれた時は、食べ物もまだろくにできない時だったので、おっぱいは出ないし、兄ちゃんはお腹が空いたと無くし、食べるものが無いので本当に苦しくて死のうと思ったことが何度もあったのさ。
生まれたばかりのにいちゃんを抱えて、ヨロヨロ、歩いていたら芦別の町に行く芦別ダムに来ていたのさ。
前日の雨をダムが放水しているのを見た時、このままに兄ちゃんと水に飛び込んだら今の苦しみは無くなるのかもと思って、じっとダムの水を見ていたのさ。
決断して、橋の欄干に足をかけて乗り越えようとした時、大きなトラックが止まって、「おい、何してるんだ!」と降りてきて、私が飛び込むのを止めたのさ。
もう、大声にビックリして私も兄ちゃんも泣き出したよ。
そのトラックの運転手が、あんたの同級生のお父さんだったのさ。
あの人の家も貧乏だから、米農家をしながらトラックに乗ってお金を稼いでいたけど、親の借金もあるし、嫁が金遣いが荒い人だから、苦労しているとお坊さんから聞いていたのさ。
私もお坊さんに何度も相談したけど、少しだけ野菜をくれたり、牛乳をくれたおかげでオッパイが出て、本当にありがたかったよ。
四年後、お前が生まれた時は、畑の野菜も上手に育てられるようになったし、お米も少しづつ収穫量が増えてきたので、お前が生まれた時は、牛乳を毎日、届けてもらったし、野菜もたくさん備蓄できたでしょ。
だから、お前は人より大きく育ったので、私も嬉しかったのさ。
でも、今のお前を見ていると、なぜか、あの死のうと思った時の自分を思い出したから言っておくけど、絶対に、死ぬほど辛いことがあっても、自分で死んではいけないよ。
私たちの体は、ご先祖様たちが苦労して苦労して育ててくれたおかげで生きているんだから、自分勝手な判断でご先祖の体を死なせてはいけないのさ。
自分勝手に死んだ人間は、みんな死んだあとに行く場所へ行けずに、ずっと、変なところで彷徨っているとお坊さんが教えてくれたよ。
次に生まれ変わることもできないし、死んでから親にも先祖にも会えないんだよ!
だから、絶対に、自分勝手に死のうなんて、考えるんじゃないよ!
でもこの時、私は本気で死ぬことを覚悟していたので、毎日、死ぬ方法を探していた時期だったのです。
毎日、テレビでいろんな自殺のニュースが流れるので、どの死に方が周りに迷惑をかけずに死ねるかを、本気で考えていた時期でした。
何も言ってないに、そのことを察知する母は、すごい人だと思いました。
だから、なぜ、母がそう思ったのかを聞いてみました。
いつもテレビを見て笑っていたあんたが、ここ最近、一切、笑っていないし、何度、声をかけても聞こえない時があるでしょ。
それはきっと、自分の心の中で自問自答を繰り返している時だと、私も体験があるのでわかったのさ。
でも、その原因も対処もできない母親なので、自分が情けなくて、情けなくて・・・。
と、また泣き崩れました。
「大丈夫だよ、母さん、勝手に死ぬことはしないからね。」と、初めて母親に嘘をつきました。
もうあと1週間で春休みになるので、終業式で最後のお別れをみんなでしてから、夜にひっそり死のうと決めていたので、母親が泣こうが、殴られようが、自分の覚悟は絶対に変えないと決めていたので、どんなに母が泣いても、私は死ぬことをやめるつもりはありませんでした。
そんな目をした私をじっと見た母は、私が嘘をついていることを感じて、思いっきり、ホッペたを平手打ちしました。何度も、何度も・・・。
でも、私は全く心が動かないほど、死ぬ覚悟をしていたので、ピクリとも心は動きませんでした。
母はまた台所に泣き崩れたまま夕方になり、父親が仕事を終えて家に上がってきてから私のことを聞いたようで、珍しく父に質問されました。
「お前、何かに苦しんでいるのか?母さんが心配しているぞ。俺に何ができることはあるか?」
ありません。問題も何もありません。
ただ、生きてることが辛いので、どうやってこれから生き続けようかを考えていただけです。
十分、食べ物も食べさせてもらっているし、学校にも行かせてもらって本当にありがたく思っています。
あとは、ただ、自分が生きる目的を見つけられるかどうかだと思います。
だから、もう少しだけ、見守っていて下さい。
父さんにも、母さんにも、心から感謝しています。
生きる目的かあ・・・俺は、考えたことがないな。
俺は兄弟姉妹が12名もいたので、自分一人でいる時間がなかったせいか、そんな崇高なことを考える暇はなかったなあ。
どうやったら兄貴や姉たちに負けないで、ご飯にありつくかだけを毎日、考えていたもんなあ。
お前のように物事を深く考える人間はあまりいないので、お前、その答えが出たら坊主にでもなってみないか?儲かるぞ!坊主は!(^^)
いくら儲かったて、生きる目的はわからないと思います。
だって、あのお金持ちの社長さんも奥さんも子供たちも、決して幸せそうな顔はしてませんもの。
僕はお金があれば、人生が幸せになるとは思えません。
それよりも、生まれてきた意味やその理由、そして、どうやってその目的を達成できるかを毎日、考えているだけなので、毎日、忙しく働く父さんを悩ませるつもりはありません。
だからいつも通り、プロレスを見て、お酒を飲んで、今日の疲れを癒して下さい。
僕はもう、寝ます。晩御飯はいりません。
父さん、そして、母さんも、気を使ってくれて、本当にありがとうございます。
大丈夫だから心配しないで下さい。おやすみなさい。
そう言うと、私は二階の自分の部屋に戻り、本当に良い父と母の子供に生まれたことを感謝し、死ぬまでの時間を感謝で過ごそうと決めて寝ました。
本当は全く寝られずに、毎日、霊界の存在たちがやってくるので、横になって目を瞑っても意識は現実のまま五感をフル活動させて霊界たちとやりとりするのが当時の自分の睡眠でした。
なぜ、自分だけこんなに毎日、苦しくて辛い霊たちの思いを聞かなればいけないのか、人に聞いても神様に聞いても、誰も答えてくれませんでした。
だからもういいんです、母の教えだけを心に入れて、感謝して朝が来るのを待ちます。
あと1週間だけの命だと決めた日から、笑顔になれたし、元気に学校へも行きました。
親に心配かけたくないので、ご飯もたくさん食べで、あとで吐いてました。
母の心からの気持ちを受け止めたのに、自分の覚悟は揺るはないのが、私だったのです。
本気で死ぬことを考えている人は、一人でサクッと死にます。
でも、もし死ぬことを迷って人がいるなら、私の体験談から何かのキッカケにして下さい。
私の自殺未遂は、本気で死のうとしたのに、神様に体を硬直させられて、自分で死ぬこともできなかった愚かな人間です。
霊界たちとたくさん話し合ったので、死んだ後の世界も、その先のことも全部知っていますので、自分で死のうと思っている人は死んだ後、どれほど辛い世界へ行くのかを知った方が良いと思います。
人は誰かのために死のうとは、しません。
ただ、自分の愚かさの結果、死を選ぶ人たちがいるだけなのです。
自殺した子供がいるご両親や兄弟姉妹の苦しみも、自分勝手に死んだ人の責任です。
だから、少しだけ死ぬ時期を伸ばして、ここまで生きた時間の「恩返し」を親にして下さい。
そうしないと、死んだあとの時間のほうが、今の苦しみの数百倍になって返ってきますよ。
この世は「過去の思いの集合体」だからこそ、あなたが生まれて、出会った人とお互いを支え合うことを肉体を通して体験する場所なのです。
どうか、今、死のうと思っている人は、ご両親にその思いを伝えて下さい。
子供に死なれる母の苦しみは、あなたの苦しみを越える大きなものですので、どうか、よろしくお願いいたします。