母の教え:とってつけたように言わないで!
先日、40代の女性に言った褒め言葉を「とってつけたように言わないで!」と叱られました。
どう答えようか悩みましたが、この女性は言葉の本当の意味を知らないとわかったので、落ち着いた時にゆっくり意味を教えました。
「とってつける」という言葉をなぜ、悪い意味で使うようになったのかを皆さんも、間違いに気づいて改めて下さい。
もともと、「とってつける」と言う言葉の語源を霊視で遡ると、京都の天皇が、春に桜を見ているシーンが見えました。
一人で、「綺麗だなあ、綺麗だなあ」と心の中で呟きながら花を愛でていると、そっと横に奥方様が、一歩下がって立っていました。
そのことに気づいた天皇は、振り返って妻の顔を見た時、何か足りない気がしたので、桜の花びらを手に取り、奥様の髪に乗せて、「これで良い、これで良い」と呟きました。
奥様も、「私に足りないところを付け加えて下さり、ありがとうございます」と言葉を返しました。
この様子を見ていた公家衆たちは、家に戻ると、同じことを妻に行い、妻との関係が良くなったことを自慢していました。
そこに出入りしていた商人が、公家の自慢話を聞いて家に帰り、神社にあった花びらを袖のたもとに隠し、妻の顔を見て、「目を瞑ってごらん」と言ったあと、桜の花びらを結った髪に乗せて鏡を見せました。
すると、商人の奥様は、「あら、あんた、洒落たことするねえ。このお花は誰かにあげようと思って渡せなかったから、私にくれたのかい?」と言いました。
ご主人は、珍しく妻に素直に優しくしたのにと、言い返された言葉を聞いて、落ち込みました。
「ごめんね、あんた。私、あんまり優しくされたことが無いので、どう返したらいいかわからないので、つまらないことを言ってしまってごめんなさい。
言い返すね、この少し、しおれた桜はちょうど、しおれた私にピッタリだから、わざわざ見つけてくれたんでしょ!ありがとうね!」
先ほどの不足を補うはずの「返し言葉」が、さらに泥の上塗りになってしまい、もう、二人は笑うしかありませんでした。
ほんとに、お前と俺は、「割れ鍋に、閉じ蓋」だなあと言いながら笑っていました。
※「割れ鍋に、閉じ蓋」の意味は自分で調べて下さい。
その様子を見ていた出入りの農民は、家に帰り、大きな神社の満開の桜の葉っぱが落ちた一枚を拾い、たもとに入れて、妻の髪に飾りました。
農民の妻は、黙って夫の所作を見て、こう言いました。
私に足りないところがあるから、あなたは私に桜の花びらを一枚、乗せてくれたんですね、ありがとうございます。
もし、私に、たくさんの花びらを乗せたら、私はもう、出ていけと言う意味だと知っています。
「散り花」を渡すのではなく、咲いてる花びら一枚を風呂敷や刺繍で入れる意味も、私は知っています。
あなたの優しい心遣いには、いつも、感謝しかありません。
子供の産めず、ご両親にも先祖にも申し訳ない嫁ですのに、おいとまを出さずに今まで置いて下さり、ありがとうございます。
まだ、私はこの家に居てもよろしいのでしょうか?
桜の花びら一枚を妻に渡す意味が、これほど違うことにも驚きましたが、人間は最後まで自分の価値観を変えない人が多いからこそ、どうぞ、自分で使う言葉の意味を正しく学んで使って下さい。
最後に、私が小学生の頃に体験した話をお話しします。
小学生の頃、父と母の手伝いで、草を刈るカマを持って田んぼへ出た時でした。
稲と稲の間に、根が強いヒエが生えているので、鎌で根を切り、田んぼから取る「ヒエとり」の作業を手伝っていた時のことです。
私の渡された小さくて古い釜は、取ってがボロボロで、鎌の鉄の刃が外れそうなのを何とか上手に使っていましたが、突然、取手がボキっと折れました。
父と母に言って治してもらおうと思いましたが、作業が早いのでずっと先のほうにいる二人を呼ぶのは申し訳ないと思い、自分でアゼ道へ戻り、取手の代わりになる木を探しました。
柔らかい木はダメだからと、何本も落ちている木を折ってみましたが、やっと1本だけ折れない木を見つけました。
途中が太い木のため、自分の体重を乗せても折れない木を落ちていた縄でくくりつけて、作業を続けました。
作業が終わり家に戻り、私の長い取手のカマを見た時、両親は笑っていました。
せっかく自分で作った鎌の取っ手を誉めることもせず、笑うので、さすがに私はムッとしました。
すると、母はこう言いました。
あんた、賢いねえ。この壊れた取手をどうするか、私たちも見てうやろうと思って、私たちはあんたに、わざと渡したんだよ。
きっと、泣き出すか、文句を言うかと思って、ちゃんと代わりの鎌は用意してあったのに、あんたは亡きもせず、文句も言わず、何しているのかと見てたら、長い木の棒をくくりつけて作業しているので、また笑ったのさ。
やっぱり、この子は普通のことは違う反応をするので、楽しみだから試してみようと、父さんが言い出したんだよ!
何!父さんが、俺を試したの?頭にきた!男が男を試すなんて!!!
ほほお、俺と喧嘩するか?(笑顔で)
いいか、覚えておけよ。男はな、世の中に出たら、敵ばっかりなんだぞ。
誰も自分の味方なんて、いないんだぞ!
だから、早く自分を守ってくれる女を見つけて、嫁にしろよ。
俺もなあ、見合い結婚だったけど、この嫁のおかげだと感謝しているのさ。
母さんには、一度も、そのことを褒めたことはないけどな(^^)
俺は今回、お前を試したんだ。
逃げ出すのか、文句言うのか、自分で工夫するのか・・・人生はな、その繰り返しなんだぞ!
お前は器用だから自分で何とかすると思ったけど、それでも思い通りにならないことが起きるものなんだ。
そういう時はな、「取手、付けるのさ!」
「取手、つける???」
そう、どんなに切れる刃物を持っていても、「持ち手」がないと自分の手を切るだろう。
だから刃物には、必ず、「取手」が必要なんだ。
母さんが料理をする包丁にも、「取手」がついているだろう!?
武士は怒ると、刀を抜いて相手を切り殺すから、すぐに抜けないように、サヤに刀を入れて歩いているのさ。
農家で言えば、この鎌の「取手」と同じさ。
だから、世の中に出て、どんなに苦しいことがあっても、刀は抜くなよ!
刀を抜くな!と言う意味は、「本気で怒るなよ!」という意味だ。
武士なら、相手を切り殺すって意味だからな!
お前は、本当に短気だから心配してたけど、あの母さんのおかげで、俺が怒る必要がないくらい怒ってくれるので、俺は楽チンさ。
でも、もし、世の中に迷惑をかけるようなことをしたら、俺はお前を殺すからな!
農家の道具は、いつでも戦いで使えるようになっていることを知っているか?
鎌、くわ、釘、金槌、母さんが使う包丁・・・。
いくらでも人を殺せる道具だからこそ、知恵を使って使わないと、農家の仕事も難しいのさ。
お前に壊れそうな鎌を渡した意味が、わかったか?
はい、父さん、ありがとうございます。
男の仕事は農家でも、武士でも同じだから、絶対に、相手の命を奪うような本気の喧嘩はするなよという意味ですよね?
「よし、それが分かればいい。もう、俺はお前に教えることはない。
中学生になったら元服だから、自分で問題を考えて乗り越えて生きろよ!
親の役目はもう終わりだ!さあ、母さん、遊びに行くか!」
小学校4年生の時に、こう教えてくれた「たった一回の父の教え」が、私の心に染みています。
刀を抜く時は、本気で相手を殺す時なので、なるべく抜かないように日々、精進しています。
自分の足りなさを気づいた時から成長は始まるんだよと、母は教えてくれました。
だから、いつも自分が足りないことを言い聞かすために、「精進、精進」と口に出していう母でした。
ありがとうございます、素敵な知恵のある大人のおかげで、私も少しは成長できております。