母の教え:男は女より上なんだから・・・
私が幼稚園から小学1年生になった春に、母は私にこう言いました。
「男は女より上なんだから・・・、女ができることは全てできなければいけない。
だから、あなたも毎日、炊事、洗濯、お掃除、裁縫を自分一人でやりなさい」
こう言われた時、私は男と女のどちらが上かはわからないけれど、母が言うことは正しいと信じているので素直に従いました。
毎日、玄関とトイレの掃除を手伝いながら、新聞紙を濡らして丸めて畳の掃除に使う技も覚えました。
時々、やりたくない自分が出てきて母に文句を言うと、こう怒られます。
「他の家のルールは、関係ない!あなたはここの家の子供だし、私たちが働いてご飯を食べさせている間は、父と母の言うことを聞きなさい。
それが嫌なら、家を出て一人で生活しなさい!」
男の子の教育は、甘やかしたい気持ちを抑えて、社会に出た時に恥をかかない人間に育てる母の覚悟のおかげで、私は下手な女性より、綺麗好きで最低限の料理はできます。
子供は自分が手伝った時に、「褒められる体験」をするとやる気が出ますので、上手に仕事をお願いして褒めてあげて下さい。
春の田植えの準備に忙しくなってきた母は小学1年生の私に、
「明日からあなたは「お風呂の当番」だよ。新聞紙で薪に火を付けて、上手に石炭に火を移さないとお風呂に入れないからね!さあ、父さんに教わりなさい!」
父は、「1回だけやるので見てろ」と言うと、サッサとやるので、こんがらがってわかりません。
えーと、まず、マッチで新聞紙に火を付けて・・・ひとつひとつ、言葉にして覚えました。
そして、自分で何度か失敗してやっと火が付くと、後ろで父と母が嬉しそうに私を見ていました。
「何だよ、暇なら手伝ってくれてもいいのに!」と言うと、
「それはお前の仕事だから、私たちは手を出さないよ。
明日から毎日、お願いね!」
毎日、夕方に両親が田んぼから帰って来るまでに、お風呂を沸かして待っているのが、小学1年生の日課でした。
ある日、4つ上の兄に、俺は毎日、お風呂に火を付けれるようになったんだよ!と自慢すると、
「お前はいいよなあ。俺なんか、最初は、バケツで馬小屋に飲み水を運ぶのが仕事と言われたので、毎日、10回以上、家と馬小屋の間を往復だよ。楽だなあ、お前は・・・」と言われました。
悔しかったので、母に、「もうひとつ何かできるから「仕事を言いつけて!」と頼むと、母は、「そうかい、そうかい。じゃあ、毎日の夕食を作ってよ」と言われ、料理を覚えました。
キャンプの飯ごうの要領で、アルミ鍋でご飯を焚きながら、味噌汁を作り、おかず(卵焼き)一品だけを覚えたので、春と秋の農繁期は、小学3年生の私の料理が毎日、食卓に出ました。
時々、失敗して「めっこ飯」になって、両親は怒りもせず、ただモクモクと食べてくれるので”悔し涙”が出ました。
「絶対、次は失敗しないぞ!」と思えたのも、将来を考えて甘やかさずに育ててくれた母のおかげです。
本当に、ありがとうございます。