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命のローソク 1 寿命は決まっている

皆さんは自分の「命のローソク」があることをご存知でしょうか?

私は高校生の頃に、近所の1個下の男の子が、急死した時に、「命のローソク」の場所を見て来ました。

子供の頃から近所の子供たちと一緒に遊んだ仲間だったし、同じ高校の1年生になったので「頑張れよ!何か困ったことがあった時は相談に乗るからな。」と伝えていた「一人っ子の男の子」でした。

母が彼の死を教えてくれた時に、こう言いました。

「なんで、こんな情けないことが起きるのかねえ。

あの夫婦は子供ができなかったので、施設から貰いっ子で男の子が家にやってきた時は、とても喜んでいたんだよ。

私も男の子二人を育てていたので、よく相談に乗ったのさ。

本当に、あのお母さんの悲しみは辛いと思うから、これから家に行ってくるから留守番しててね。」

と言って出かけて行きました。

亡くなった男の子はラグビーをしていて強く頭を打ったそうで、それが脳挫傷となり、頭が痛いと一晩で寝た朝に冷たくなっていたそうです。

周りの大人たちは、先輩からの暴力とかイジメがあったんじゃないかとか噂をしていました。

あまりに男の子がかわいそうだったので、私は男の子の魂と対話してみました。すると・・・

「僕もびっくりしたよ、学ちゃん。死ぬなんて思ってなかったからさ・・・。

ラグビー部に入って、練習はきつかったけど、良い先輩もいたので楽しかったんだ。

ただ、あの時、スクラムが潰れてそのまま頭から地面に落ちて頭を打ったので、それが原因だったみたいだわ。

その時、初めてフッカーをさせてもらって嬉しかったんだけど、両手が、両側の選手の肩に乗っているので、スクラムが潰れるとそのまま地面に頭をぶつけるポジショなんだ。

先輩に、どんなに体が辛くても背中だけは丸めるなよ!と言われたのに・・・

僕は辛くて、背中を丸めてしまったことが原因だから、誰も悪くないんだよ。

先輩もすぐに病院へ行くか?と心配してくれたけど、一晩寝れば治りますからと言って家に帰ったら、知らない間に死んでたのさ。

だから、誰も悪くないとお母さんとお父さんに伝えておいてね。お願いします。」

彼の言葉を聞いて、情けないやら悲しいやら、母にこのことをおばさんに伝えてと、伝言したあと、一人で仏壇から神様に聞いてみました。

「◯◯さん家の15歳の子供が無くなりましたが、なぜ、あんなに若い人が急に死ななければいけないのですか?」

すると、神様は、スーと「上の世界」を見せてくれました。

そこには見えるだけで数千本のローソクがあり、どれも火はついているけど、もうすぐ消えそうなローソクと、長いローソクがありました。

そのローソクには、ちゃんと個人の名前がフルネームで書いてあったので、一個下の男の子のローソクを探しました。

すると、今さっき、ローソクが消えた1本を見つけたので、名前を確認すると、亡くなった男の子の名前が書いてありました。

ローソクには、赤い横線が入っていて、10歳、20歳、30歳・・・と書いてあるのに、亡くなった男の子のローソクには、15歳までしか線が無く、そこでローソクの火が消えていました。

誰かこの場所を管理している人はいないかと探しましたが、誰もいません。

だったら、横にある長いローソクを少し折って、亡くなった子供のローソクに足して火をつけてあげようとすると、上から大きな声で怒られました。

「何をしているのか!!!お前は!」

「今、僕の近所の男の子が15歳で亡くなったので、少しだけでも隣の長いローソクを足してあげようとしただけです。それはいけないことですか?」

「馬鹿者!!!命のローソクには触れてはいけないルールがあることを知らないのか!」

「知りません。家の仏壇から亡くなった男の子のことを聞いていると、突然、この世界に連れてこられたので・・・」

「そうか、そういうことか、お前はここまで来て良い魂を持っているのだな。

そうでなければ、この世界を人間に見せることはないんだ。

わかった。じゃあ、お前には、きちんと教えてあげよう。

でも、決してローソクには触れてはいけないからな。」

「わかりました。命のローソクの長い短いの違いと、赤い線の意味を教えて下さい。」

「良いか、まず、赤い線はその人の寿命である。

いくつで亡くなるのかは、生まれる前から決まっていることなのだ。」

「そうなんですか?15歳で死ぬのも、決まっていたんですか?

じゃあ、3歳で死ぬ子供や、生まれて三日で亡くなる未熟児も、寿命なんですか?」

「そうじゃ、全てが運命なのだ。100歳でも生きている人間は、まだやることがあるから生かされているだけなのじゃ。でもそのことに気づく人間は少ないからのう・・・」

「なんで、自分で決めた寿命を自分でわからないのですか?

もし、わかっていたらもっと無駄のない生き方をできると思うのですが・・・」

「お前は賢いのお・・・そうなんじゃ、本来は自分の寿命を決めたのは自分なのだから、無駄のない生き方をするはずなんじゃが・・・

なぜか、人間は生まれるとみんなそのことを忘れてしまうようじゃ。わしにはその理由はわからんがのう・・・」

「ちなみに聞きたいのですが、自殺した子供もそうなんですか?それも寿命なんですか?」

「そうじゃ、自殺も、交通事故も、飛行機事故も、天災で亡くなっても、誰かに刺し殺されても、寿命じゃ。

どういう形で死ぬかは自分では決めてはいないが、寿命が来ると上から死ぬ準備がなされて、死を迎える仕組みなんじゃ。」

「じゃあ、病院で管に繋がれてずっと生きているけど、返事もできない人たちも、生きてる時間なんですか?」

「そうじゃ、全て死ぬまでの時間は、自分が設定した時間なんじゃ。

喜びで死を迎えるのか、苦しみで死を迎えるのか、家族や他人に迷惑をかけて、手を煩わせて生き延びるのかも、全て「自分の死の設定」なんじゃ。」

「それを本人が忘れているということは、逆にいうと、自分の設定を自分で変えれば寿命は変えられるですか?」

「おー、痛いとこを突くのう。

確かに、そうじゃが、そこに気づいた人間は、今までおらんかったなあ。

自分が設定したことを忘れているからのう。

ところで、お前は自分の寿命を知りたいか?」

「いえ、まだいいです。

自分で死のうとしても死ねなかった経験があるので、自分で死は選びません。

きっと、生きている間は、何かするための自分の魂の目的があると思うので、それに気づくまでは結構です。」

「そうかあ?、寿命がわかったほうが楽しく暮らせると思うんじゃがな・・・」

「いえ、僕はそうは思いません。

子供の頃から木や動物やいろんな存在たちと話をしても、全ての死を受けれていることを学んだので、私は自分の死は素直に受け入れますので、知りたくありません。」

「わかった、わかった。そう怒らんでも良いではないか。

わしも、ここの「番人」なので、他の仕組みはよくわからんのじゃ。

だからもし、他の仕組みがわかったら、また教えておくれ。

お前ならきっと、別な次元のことを知る機会があるはずだからな。よろしく頼むぞ。」

「わかりました。僕は望んではいませんが、今回の体験を考えても自分の選択ではない体験をすると思いますので、全ては天の神の采配にお任せします。では、お邪魔しました。」

仏壇の前でこんな長い会話をしたので、相当な時間がたったと思って時計を見ると、たったの、3分間くらいでした。

この世の時間と、あの世の時間の長さのが違うことをこの体験で学びました。

天命がまっとうするまで死ねないのですから、自分が生きてる間に、自分のやるべき使命に気づいて行動する人たちが増えることを祈ります。

亡くなった子供たちも、これから亡くなる人たちも、全てが寿命ですので、ご家族はあまり悲しまずに、自分の役目をまっとうして下さいませ。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

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