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種は適した土壌で育つ

毎日、お仕事・子育てご苦労様です。 今日のテーマ「種は適した土壌で育つ」は、野菜作りではなく、人間を育てる時の重要な要素をお話しします。

人間は、生まれ育つ環境と、学生時代や、社会に出た時の環境で、大きく成長度合いが違います。

私は子供の頃から母に、「世の中は理不尽なものだ」と教わってきたので、理不尽さに対する抵抗力は育ちました。

しかし、理不尽ではないはずの家庭環境の中で、理不尽さを感じている子供達がたくさんいることが気になっていました。  

母の子宮から産み落とされた最初の環境が、自分が育つ家なのか、真っ白い部屋の器具に囲まれた病院の手術台なのかによって、メンタル的に大きな影響があることを知っている人は多くありません。

第二次大戦後、アメリカ GHQが徹底的に日本人の精神性の強さを調べ上げた結果、「産婆さんによる自宅出産」が大きな精神安定をもたらすことを突き止め、日本に医学を導入し、医者と対等の命の責任を持っていた「産婆さん」を、助産師に降格しました。

これにより、庶民は医療を神のごとく信じてしまい、現代に至ります。

養護施設で育った人と、お金持ちの家に生まれた人の深い部分の精神面を比較すると、「自虐的な面」は同じです。

良い環境を与えても、いくらお金を与えても、精神的な満足は得られないことが、実際にお会いした人たちとの対話でわかりました。

養護施設で育った人は、親と社会から捨てられた思いが強いので、自分の心のありかが見つけられず苦しみます。

お金持ちの家に育った子供は、周りの人から「別な人種」として扱われるので、孤独になるのは当然です。

さらに、母親が守っている夫の職業や収入という価値観に押し潰されて、素直に自己表現をできない子供たちがたくさんいます。

私の子供時代は、特殊学級など無い時代でしたので、今で言う知恵遅れやアスペルガーの子供たちも一緒のクラスで学びました。

賢い先生たちは、いっさい、子供に「ルール」を押し付けません。

小学1年生の入学式のあと、先生は、こう言うだけでした。

「今日から皆さんは同じクラスの仲間なので、6年間、一緒のクラスでお勉強をします。

ただ、自分にとって好きな人も嫌いな人もいると思いますが、あなたの家の兄弟姉妹のように、家族だと思って付き合って下さい。

どうしても問題が解決できない場合は、先生のところに来て下さい。 でも、なるべくなら自分たちで話しあってルールを決めて下さいね。」

子供ながらに迷いましたが、「先生は神様」と母に教わっているので、言うことを聞くしかありません。

恐る恐る休み時間に、近くの子供同士で自己紹介が始まりました。

ほとんどの家は、貧乏農家の子供ですが、警察官の子供と、農協に勤めている人の息子は、別格です。

お金が無いのが普通の農家にとって、安定収入がある家は「別な人種」として見られます。

そのことで喧嘩になるくらい、貧乏の争いをして、笑いました。

3日経っても、誰とも挨拶ができない女の子が一人いました。

みんなが敬遠して、距離を置くなか、私が話しに行きました。

言葉がうまく話せないのか、体が硬直していたので、「僕をお兄ちゃんだと思え!」というと、「お兄ちゃんはいない」と初めて口を開きました。

「弟は??」 首を横に振ります。

「お姉ちゃんがいるのか?」 首を縦に振ります。

「わかった、じゃあ、俺がお前の弟になってやる。

お前はお姉ちゃんだから、弟の言うことは聞かないとダメなんだぞ!と言うと・・・」

「そんなのおかしい・・・」と弟の言いなりになることを拒否しているのを感じたので、こう言いました。

「お姉ちゃんは、弟に何を言ってもいいんだぞ! 家来のように、命令してもいいんだ。 全部、言うことを聞くとは限らないけど、お姉ちゃんは偉いから、弟に命令してもいいんだぞ!」 と言うと、初めて顔をあげて・・・

「いいの?命令して?」

「いいさ、お姉ちゃんだもの、たまには言うことくらい聞いてやるよ。」

やっと、笑顔になったので、「みんなに自己紹介していいか?」 頭はうなづきましたが、どう考えても大きな声でみんなに自分の思いを言えるタイプじゃ無いので、通訳をしてあげようと思って、みんなに声をかけました。

今からこの子が挨拶するから、聞いて!!

でも、いくら待っても言葉を話しません。

じゃあ、俺に小さい言葉で言えよ、俺が大きな声でみんなに言ってあげるからと言うと・・・ 自分の名前くらい自分で言える・・・・とボソボソ言ったあと・・・・。

その女の子は、耳の穴が潰れえそうなほど大きな声で、自分の名前を叫びました。

クラスのみんなもびっくりしましたが、その女の子の本気さは伝わったので、みんな、拍手で承認しました。

そこで俺は・・・。 この女の子は、今日から僕のお姉ちゃん役になったので、誰かいじめたら俺が許さないからな!と大声で叫びました。

みんな知っています、我が家にお姉ちゃんはいないことを・・・ でも、そういうふうに付き合った方がいいんだと学んだのか、「じゃあ、お姉ちゃんの失敗はお前が責任取るのか?」と嫌味を言う奴がいました。

公務員の息子です・・・。

頭にきましたが、「おう!取ってやるよ!なんでもな!」と言い返しました。

余計なことを言って・・・とボソッと僕に文句を言うお姉ちゃんは、少し嬉しそうでした。

両親にも挨拶しようと思ったので、嫌がる彼女の帰り道を一緒に帰り、お母さんに今日のことをお話ししました。

「あんたは、あの吉岡さんの分家さんの次男かい?

この子の世話まで、すいませんね。

本家のお父さんには本当にお世話になっているのに、申し訳ないねえ、と畑で取れた”梨ウリ”をくれました。

「他人から物をもらうような人間になるんじゃない!」

といつも母に教育されていたので、他人から頂いたものは全て母に渡すのが、我が家のルールです。

だから、我が家にはお正月のお年玉も両親にお返しします。

10名以上いる従兄弟に渡すお金のほうが、たくさんかかるからです。

子供たちは親が良いと思う環境で育ててもらいますが、子供に取っての意味は違います。

子供には子供の社会があり、周りの子供たちと違うことを責められますので、大人の社会と同じなのです。

でも、そのことをよくわかっていない親が多いと思います。

だから、親のルールだけで、子供を縛らないで下さい。

子供だけのルールも聞いてあげて下さい。

そして、口を出さず、ただ見守って下さい。

子供たちは、自分で考えて「生き残り」を学んでいるのです。

素晴らしい大人になる種の子供でさえも、土壌環境(親)が悪いと、子供は死んでしまいます。

水のやりすぎ、栄養のやりすぎ、手をかけすぎ、太陽のあてすぎ・・・。 いい加減にして欲しいと思います。

子供はどんな環境でも、自分で学んで生きていくのが宿命ですので、余計な手はかけないで、ただ、見守って下さい。

登校拒否、うつ、引きこもりになっている子供たちの多くの原因は、親がよかれと思ってしたことや言った言葉に影響を受けています。

ただ、信じて見守って、自立させて下さい。 どうか、よろしくお願いします。

 

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