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幼稚園の頃、生きることに悩んで父に相談した話

幼稚園の頃に、テレビを見ていた父親に、そっと、こう質問しました。

 

ねえ、父さん、どうやったら人は死ねるの?

 

なんで、そんなことを聞くんだ!?

お前、死にたいのか?

 

うん、生きていることがあまりに辛くて、いろんな方法で死ぬことを試したけど、死ねないの。

父なら何かいい方法を知っているかと思って・・・。

テレビを見ていた父親の目が点になり、私の方を見て、じっと私の目を見つめました。

お前、本当に死にたいのか?

何か、嫌なことがあったのか?

 

いえ、嫌なことは何もありません。

 

周りのみんなも優しいし、ただの僕のワガママだと思うけど、あまりにいろんな人の気持ちがわかりすぎて辛くて死にたいの・・・。

 

そうか、じゃあ、こうしてやる!

 

そういうと、私の首を絞めてみましたが、鋼鉄のように硬いので、父は諦めて「果物ナイフを持ってこい!」と言いました。

 

テレビを見ながら、何気ない顔をしながら、私の胸にナイフを突き刺しましたが、私の腹には一切、刺さらず、父は唖然としていました。

 

お前、本当に死ねない体なんだなあ。

それは辛いだろう!?

 

はい、辛いです。

 

ダムに飛び込もうとすると、体は硬直するし、自分で刃物を刺しても刺さらないし、五寸釘を喉に刺しても刺さらないので、もう、死にたくても死ねないので辛くて・・・。

 

テレビを見ている父の背中が震え出したので、「寒いの?」と聞くと、「武者震いだ」と言い張る父の目には、涙が浮かんでいました。

 

父さんは、死にたくなったことはないの?

 

そりゃあ、あるさ!

何度も死のうと思ったが、俺を大事に育ててくれた姉さんたちもいるし、母と父が泣く姿は見たくないから、いつも一人で泣いていたさ。

そうなんだ、辛いね・・・。

ところで、お前はなぜ、死にたいんだ?

その訳を教えてくれ!

俺ができることなら何でもやってやるぞ!

 

ごめんね、父さん、僕ね、生まれた前からいろんな人が思ったことや、過去にやってきたことが全てわかるみたいなの。

 

それに、その人の「死ぬ瞬間」も見えてしまうので、ご先祖様や神様たちにお願いしたけど、誰も聞いてくれないの?

お前、ご先祖たちや神様たちと話ができるのか?

うん、母のお腹の中にいた時から、ずっと、二人の会話も聞いていたし、じいちゃんや、おばあちゃんの声も聞こえていたよ!

 

みんな、聞こえないの?

 

他の奴は知らんが、俺には聞こえん!

そうか、それは辛いなあ・・・。

きっと、本当に辛いんだろうなあ・・・。

 

テレビを見ていた父の目は、下を向いて大粒の涙がボロボロと流れていました。

 

どうして、泣いているの?

僕、何か悪いこと言った?

 

僕が生きてること自体が、父さんを苦しめているの?

 

俺は、お前ほどじゃないけど、子供の頃からいろんな存在の声が聞こえて死にたかったのさ。

 

でも、お前が生まれてすぐ、話した言葉で、すぐにわかったのさ。

 

俺が誰にも言っていないことを、お前はスバリと当てたし、これからどうしたらいいかも、答えてくれたんだぞ!覚えてないのか?

 

ごめんね、父さん。

 

僕ね、言葉にすると、すぐに忘れるようになっているみたいで、小さい頃からずっとそうなの。

 

だから、大事なことを聞いたら、誰にも言わないように努力してるの。

 

ごめんね、父さん、やっぱり僕が父さんを苦しめたんだね・・・。

 

やっぱり、死ぬしかないよね?

 

こんな人間、生きていない方がいいよね?

 

父は、無言でした。

ただ、肩を震わせて、大粒の涙を流しながら、後ろの母に悟られないように下を無と向いていました。

すると、後から声が聞こえて、母がこう言いました。

何、男二人で泣いてるのさ!!!

 

もう、みっともないね!

 

さっさと、私が作ったご飯を食べなさい!

 

おい、飯はまずいが、今、食っておかないと、朝まで何もないので、まずは、ご飯を食ってから寝よう!

 

明日になって、まだ、死にたいなら俺に言えな!

 

死ぬ方法を一緒に考えような!

・・・・・・・・・・・・・・

こんな記憶さえ、すっかり忘れていたまま、私の中学生の時は、ひどい反抗期で、父にも母にも「うるせえ、バカヤロウ!」しか言っていませんでした。

 

そんな奴が、高校生になり、ツッパリリーゼントの姿で学校へ通っている時は、いろんな奴らと睨み合っていたので、毎日、ケンカの可能性を感じて生きていましたが、私のそんな後ろ姿を見て、母が突然、こう言い放ちました。

 

いいかい、男なら喧嘩する時は、本気でトコトンやりなさい!

 

でも、やるなら、負けるんじゃないよ!

 

どんな汚い手を使ってもいいから、絶対に勝ちなさい!

 

喧嘩はね、どっちが勝っても結局、どちらもいい気分にはらないのさ。

 

だからできれば、腹が立った時は、頭を下げなさい!

 

いつか、相手を超えたと思った時には、今度は、相手に優しくしてあげなさい!

 

それが男ってもんだよ!!!

 

どこかの女みたいに、涙を流して相手に詫びを乞うような

生き方だけはやめなさいね!

 

もし、人を殺めた時は、私にすぐ言いなさい。

 

私が相手を殺したと言って警察に行くから、その間に逃げなさい!

 

いいかい、わかったね!!

 

世の中にこんなことを言う母親はいるのだろうかと思いましたが、父ならどうするかと思って、テレビを見ている父にそっと聞いてみました。

 

そうか、母ちゃんは、そう言ったか・・・。

 

俺ならきっと、お前が誰かを殺めたら、鎌と斧を持って相手の親を殺しに行くな、きっと。

 

だってよ、誰だって、自分の子供を殺されたら頭に来るだろ!

 

殺られる前に相手を殺るのは「喧嘩の常套手段」だから、覚えておきなさい。

 

真顔でテレビを見ながら、こう言い放つ父にも驚きましたが、さすがに父の実家も、母の実家も武士なので、「死の覚悟」の凄さに驚きました。

 

あ!そうだ!

 

もし、相手の人数が多い時は、先に言えよ!

 

俺が隠している「刀」を持っていって、バッタバッタに切ってやるから安心しなさい。

 

相手が女でも子供でも気を抜かず、一人も殺した現場の証人がいなくなるほど、全員を殺しなさい。

 

そのあと、山の奥のほうに、そっと埋めておけば、わからんから気にするなよ!

・・・・・・・・・・・・・・

もしかして、父は、若い頃、何人か殺したの?

 

まあな・・・(^^)

 

何人くらい殺したの?

 

2、3人かな?

 

俺は、刀で相手を切ってから逃げたので覚えてないが、俺の仲間たちが「綺麗に処理した」と後から報告されたので、よくわからんのさ。

 

ま、もう時効だから、気にするなよ!(^^)

 

何、面白い話をしているの?

 

私の参加してもいいのかい?

女はダメだ!

 

あの大きな日本刀は重くて振り回せないが、こいつだったら、殺せると思うので、今度、刀の使い方を教えてやる。

 

さ、飯にしろ!

 

はい、旦那様。

 

私は女だから刀は振り回さないけど、夜になったら、私の中であなたの「大きな刀」を振り回してね!

 

どうぞ、よろしくお願いします!

・・・・・・・・・・・・・・

高校生になれば、もう「大人」として扱われますので、一般人と同じように家庭の中でも「子供扱い」は一切、してくれません。

でも、さすがに最後の言葉は、子供の前で言っていいモノかと悩みました。

・・・・・・・・・・・・・・

なぜ、毎日喧嘩している父と母が、別れないのかを聞いた時・・・

あんたは知らないと思うけど、あの人(父)は、普段、優しい顔をしてるけど、一旦、怒ると、同級生たちも一歩、退くし、俺についてこい!と言って、結構、喧嘩してたと、結婚してからお友達から聞いていたの。

 

だから、私たち「夫婦喧嘩」にもルールがあって、絶対に、刃物は持たない約束を最初にしたのさ。

 

その約束をする前の喧嘩は、本当にどちらからが死ぬまでやるタイプなので、私は父さんの、その「覚悟の凄さ」に惚れたと言ってもいいかもね。

 

普段は、ただ飲兵衛の女たらしだけど、やるときゃやる人だから、あんたも父さんを怒らせないでね!

 

黙って聞いているふりをしている時は、気をつけなさいよ!

 

あの人を怒らせたら、手当たり次第に物を掴んで殴りかかってくるからね(^^)

 

じゃあ、ご飯にしましょ!

 

高校1年生の一人ツッパリでしたが、両親のほうが一枚も二枚も、上手だと親から学びました。

とても良い環境で育ててくれた守護存在たちに感謝したほどです。

ありがとうございます、ご両親様とご先祖様!

 

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