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お年玉の意味を知ってるかい?

お正月に母の父(祖父)の家に、家族で新年のご挨拶に行った時の体験談です。

私の母は、自分の兄の娘たち(従姉妹)3名にお年玉を渡し、兄嫁から私と兄のお年玉を頂いていました。

居間に一人で座っているおじいちゃんにも「挨拶しておいで!もしかしたらお年玉をもらえるかもよ(^^)」と母が言うので、台所から「おじいちゃん、ご挨拶に伺ってもいいですか?」と自分の口で言い、おじいちゃんの前に一人で座り、土下座してお正月のご挨拶の口上を一人で述べました。

 

しばらく沈黙が続いたあと、おじいちゃんはこう言いました。

口上は良い、ただし、お正月の挨拶を家族にするのに、土下座はいかん!

武士が土下座する時は、自分の首を刎ねて下さいという意味だから、どんな理不尽なことを言われても、武士は土下座してはいけないのだ。

手をつき、肘が曲がる程度まで頭を下げたら、そこで止めなさい。

さあ、やってみなさい。

ウムウム、それで良い。

男はどんなことがあっても土下座はするなよ!

女は逆に、男の命を取られると生活できないくなるので、土下座でもなんでもして、地面に頭を擦り付けてお願いするものだ。

本気のお詫びをしたかどうかは、おでこに土がついているかどうかで相手は判断するものだ、覚えておきなさい。

 

それとな、今日は正月だし、ほとんどの家では「お年玉」を親が子に渡すだろう。

はい、それは昔から当然なことだと思っていますが、違うんですか?

 

「お年玉」という意味を知っているか?

いえ、わかりません、教えて下さい。

 

お年玉とは、天から大地に降る雨のごとく、「恵みの雨」の意味がある。

それとは別に、目上の者が目下の者に好きなものを買いなさいという「優しさ」の意味もある。

 

しかし、頂いたお金を全部、自分のために使ってはいけないぞ!

少しは好きなものを買って、残りは人の為に使う時が来るので、残りは貯金しておきなさい。

天から頂く雨を当然だと思っている愚か者たちは、雨が降らなくなると雨乞いしたり、泣いたり叫んだりするが、そんなことさえ予測できないから愚か者なのだ。

いいか、この世に当然なものなどないんだぞ!

だから必ず、天の雨を溜めておいて、家の裏に池を作って溜めている人がいるのさ。

その人に、水を分けてくれと言ってもタダでは出すわけがないだろ?

苦労して屋根に水を貯める工夫をして努力した結果をタダではもらえないだろう。

 

俺もそういう時期があったので、その人に水を分けてくれないかと聞きに行ったら、お前はワシに何を下さるのか?と聞かれたのさ。

とっさに思いついたことは、この水を田畑にまいた種を育てて収穫できたら、必ず、毎年、何があっても、あなたの家族の為に野菜とお米をお届けしますと約束したのさ。

そうしたら、その人もこう言ったのさ。

お前は賢いのお。

ほとんどの人間は、金を出すから、自分の嫁を抱いていいから、娘も抱いていいからと、とんでもないことを言う奴もいたので、みんな帰れ!と言ったのさ。

自分がされて嫌なことを、自分の家族や大切に人にさせるのは、頭がおかしい人間さ。

だが、お前の今の口上は気に入った、好きなだけ水を持っていっていいぞ!

 

おじいちゃんは、その水のおかげで本当に助かったと言っていましたし、毎年、約束を守り続け、生涯その人が「もう、いらん」と言うまで続けたそうです。

 

お年玉を「天の恵み」ととらえてみると、目上の人からの「優しさ」も同じだと思いました。

いつでもあるものだと思うなよ!という意味です。

 

だから、じいちゃんは、私にこう言いました。

俺はお前にお年玉は、「今」はやらん!

お前は、まだ小学生だろう?

親に食べさせてもらって、学校まで行かせてもらっている人間だから、私はお前の母さんにお年玉を渡す。

そのお金をどう使うかはお前の母さん次第だが、わしは、まだ、お前には渡せん。

お前が中学になったら昔の「元服(げんぷく)」と同じなので、一人前の男としてお年玉を渡そう。

それまでは、渡さないから、簡便(かんべん)な。

 

笑顔で「お年玉」の大切な意味を教えてくれたおじいちゃんに、感謝の思いでいっぱいです。

 

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