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母の教え:アルミ鍋でご飯を炊きなさい!

現代の「電気式炊飯ジャー」でしか、ご飯を炊けない人は、「家族の命を守る危機意識がない」ことを自覚して下さい。

 

私は小学3年生になると、母から「ある選択」を迫られました。

お前は、学校から帰ってきたら家にいたいかい?

それとも、外へ出て父さんや、にいちゃんと一緒に働くかい?

「家の中に居たいです。」

そうかい、じゃあ、家の中にいてもいいけど、その代わり、私が外で仕事をしないといけないので、私の代わりの家の中の仕事をしなさい。

学校から帰ってきたら、家の掃き掃除と拭き掃除、そして、ご飯を炊いて、お味噌汁とおかずを1品作って、お風呂を炊いておきなさい。

 

秋風が吹く時期に、人力と馬だけで1ヶ月間も稲刈りの農繁期が続く時代ですので、農家の子供は全員、外へ出て親と一緒に働くのは普通でした。

家でヌクヌクしていられるのは、サラリーマンと公務員の子供だけでした。

小学校3年生の夏に、家に中古の白黒テレビが入ったので、毎日、急いで学校から戻ってマンガを見るのが楽しくて夢が広がる時間でした。

だから、当然、「家にいる選択」をします。

母は、もうひとつ、大事なことを教えてくれました。

 

いいかい、仕事っていうのは、「段取り八ブ、結果二ブ」っていうくらい、どういう順番でやるのが一番効率良くできるかを考えるのが大事なのさ。

だから、今日は、私がやることを見て、覚えなさい。

聞きたいことがあれば、「その場」で聞きなさいね。

あとからゴチャゴチャ質問するバカもいるけど、なんで仕事をしながら同時に質問できないのか、私はいつもそういう人間を見ると、イライラするのさ。

 

だってね、この忙しい時に、手を止めて、いちいち質問に答えていたら、いつ終わるかわからないでしょ。

仕事っていうのわね、「時間を守ること」が最も大事なことなの。

だから、お前には学校へいく時は一番早くいって、今日、お勉強することの予習をしなさいと言ってきたでしょ。

家で電気を付けてお勉強しなければいけないほどバカなら、お勉強なんて向かないから、体を使って働く仕事につきなさいね。

それと、頭だけ良いヤツはたくさんいるけど、相手を喜ばせることを考えて仕事ができない人間は、人間としてダメな人間だよ。

 

仕事は、与えられて初めて自分の役目がもらえるし、その役目をダラダラ自分勝手にやるのか、少しでも早くやって、相手がして欲しい次のことを聞けるくらいにならないと、誰もお前を認めてはくれないんだよ。

さあ、まず、一番時間がかかるご飯から教えるね。

今の時代わね、電気炊飯器とか、ガス炊飯器とかあるけど、停電になってもお腹は空くでしょ。

そういう時にでも、外で火をおこして、ご飯を作るのが女の仕事なのさ。

お前は男だけど、女ができて男にできない仕事はないので、今、覚えなさい。

一回だけ見せるからね!

 

そう言うと、母は手際良く、お米をといで、水の量を手のひらで計り、ガス代に載せました。

いいかい、アルミ鍋でご飯を炊くのが一番、難しいのさ。

だから、これだけ覚えておきなさい。

「初めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子、泣いてもふた取るな」

 

さあ、何回も復唱して覚えなさい!

意味を教えるね。

最初は、優しい弱火でお水とお米の温度を上げるんだ。

そしたら、鍋の中でお米が泳ぎ出すんだ。

そして少しづつ、火を大きくして鍋がさわれないほど熱くなると、フタがカタカタいうし、吹きこぼれそうになるけど、フタはとっちゃいけないよ。

一度フタを取ると、中の圧力が変わるので、美味しいご飯はできないのさ。

火加減で調節しながら、お米とお水の音を聞きながら炊くんだよ。

さあ、この小さいアルミ鍋でやってごらん!

 

母は今日の家族の夕食用の大きなアルミ鍋でご飯を炊き、私はその横で小さいラーメン用のアルミ鍋でご飯を炊きましたが、結果は、メッコ飯でした。

今日は失敗してもいいけど、明日から本番だから、どうやって美味しいご飯を炊くのか、見ものだね。

このメッコ飯も少し手を加えると食べれるから見ていなさい。

母は、調理に失敗しても、食べ物を捨てることは絶対にしません。

 

お米も野菜も一年に一回しかできないし、それを1年間、食べつづけるのですから、捨てるものなどないくらい大事に調理してくれます。

母は、嫁入り女の条件の「さ、し、す、せ、そ」を知ってるかい?

と言い、「裁縫、しつけ、炊事、洗濯、掃除」の中で、「炊事」だけは嫌いなんだけど、女だからやるしかないからと言い訳しながら毎日、食事を作ってくれていました。

 

小学3年生の時に、アルミ鍋でご飯を炊くことを覚えたので、近くの川の水と「飯ごう」でご飯を炊く、小学生の炊事遠足の時は、他のチームのご飯を全て炊いてあげたくらい、上手になりました。

当時の先生は、一切、子供の失敗にもアドバイスしないし、炊事遠足の時間が「生き残りと助け合いを教える時間」だと私はわかっていたので、「サバイバル、生き残りの術を知らない人間は、餓死するしかない」と身につきました。

 

命が一番大事と言いながら、アルミ鍋でご飯を炊けないお母さんたちは、緊急時に、家族の命を守れないことに気付いて、今からでも練習してください。

世界中、食べ物で命を守るのは、女の役目なのです。

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