カラスの恩返し 2 「鳥類」の本当の役割
※「カラスの恩返し 1」を読んでない方は、👉こちらをお読み下さい。
数千羽以上のカラスを従えた「親分カラス」とテレパシー通信した最後に、その「親分カラス」はこう言葉を付け加えました。
もう、山に食べるものは無いので、田んぼの土の中にいる虫や昆虫、そして、畑の野菜に付く虫たちを食べて生きるしかないので、どうか、あなたのお母さんに、「カラスは、野菜を食べないので、安心して下さい」と伝えて下さい。
キャベツの葉っぱの中にいる青虫は、私たちも大好物ですし、スズメたちもとても美味しそうに食べますが、あなたのお母さんはいつも、カラスやスズメが来ると「石を投げるので悲しい」と、スズメたちも言っていました。
どうか、あなたから、カラスとスズメに石を投げないように、お母さんにお話し下さい。
それと、お父さんにはこう伝えて下さい。
お父さんを守るためのカラスが一羽、常に、お父さんを見守っていますので、どうか、「微生物」たちが足りなくなった時は、心の中でそう思って下さい。
お父さんが作る田んぼだけは私たちが守りますので、山の中にいる木や植物を田んぼに落として、微生物の循環を止めないよう働きます。
どんなに天候が悪くなっても、強く生き残る微生物がいる草木を運びますので、秋の収穫が終わったら夕暮れの空を見て下さい。
私を含め、多くのカラスやスズメたちが、お父さんが大切にしている田んぼを守るために毎日、働いている姿が見えることでしょう。
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こう言ったあと、しばらく私の目を見ていた「親分カラス」は、バサッ、バサッっと大きな羽根を羽ばたきながら、ゆっくり空に飛んでいきました。
すると「親分カラス」の横にいた数羽の大きな「中カラス」たちもすぐ飛び立ち、次次に、隊列を組んでいるかのように飛び立ち、最後は家族の小さいカラスたちも空へ飛んでいきました。
大きな渦を描くように空高く上がっていく黒いカラスの集団の姿は、まるで、「黒い龍」が空に登っていくようにも見えました。
そして、もっと高い空の上に、あの「オオワシ」が見えたので、さすが鳥の頂点にいる「猛禽類」だと思い、心から感謝の思いを伝えると、山に向かって飛んでいたのに、方向転換して、私の頭の上にやってきて、3回、大きく旋回してから「ありがとう」の思いを伝えてくれました。
そして、ふと、心に聴こえた言葉が次のとおりです。
私は、この北海道で最後の生き残りの「オオワシ」だ。
北海道中でなぜ、オオワシがいなくなったかは、アイヌに聞けばわかるが、お前にだけは教えておこう。
我々、「オオワシ」は、他の鳥を食べることは一切、しない!
いくら食べ物が無くなっても、お互いに守るべき家族がいるからこそ、体が小さい、カラスやスズメを食べることは考えたこともない。
食べ物がない時は、ただじっと、体を休めているだけで、体の中の消費量が減るので、そんなに腹は空かないものだ。
冬に、ウサギやキツネやネズミなどの獲物を獲る時だけは、一気に、高い空から急降下して、一撃で筋肉を噛み切って、空の上に連れて行き、木の上で獲物を食べることは我々、猛禽類の生き方なのだ。
だが、なぜ、人間は人間同士で殺し合いをするのか?
人間を食べるためなのか?
我々、鳥類全てが集まる会議で話し合ったが、いくら考えてもその理由はわからんと結論が出たし、きっと、「頭が狂った動物だ」と誰もが言っておった。
でも、ワシは、人間を作った創造主にも聞いたが、「それは私たちも予想外です」と言われたので、驚いたんだ。
創造主でさえも、人間をコントロールできないのなら、誰が人間をコントロールするのかを聞いた時、こう教えてくれた。
人間が人間を殺し合って、最後の一人になるまで殺し合うか、それとも、殺したいほど憎い相手を許して、共に助け合って生きるか、それが人間に与えられた「宿命だ」と言っていたぞ!
どうして、そういう設定を人間に入れたのかを聞くと、この地球に人間を誕生させた時から、人間は今まであらゆる動物を殺し続けた結果、「いろんな種族を絶滅させた罪」を問うために、何でも食べて良いが、殺した動物の魂をどうするかを教えたと言っていたぞ。
それに、人間は空を飛べないだろう?!
だから、この地球に生まれた生命体で最高の役目を持っているのが、「鳥類」なのだ。
確かに、アイヌは、親熊を殺した翌年の冬に感謝して天に子熊の魂を送るが、決して、アイヌは、熊やキツネやウサギを絶滅するまで食べ尽くすことはしない。
そう、神が教えたのだから、私はアイヌが、「人間として最も知恵のある民族だ」と思っていた。
しかし、知恵のある民族を一気に殺して、土地を奪い、それまでいた動物を殺しまくる様子を見ていたが、この責任をどうするか、土地を奪った人間がどうするのかを私はただじっと、見守っていた。
しかし、野山を駆け回るウサギもキツネもいなくなるほど、人間は奴らの領域に深く入ったため、もう、動物たちだけの「命の循環」ができないからこそ、我々、「オオワシ」が住める場所も無くなって、ただ死を迎えるのみとなったのだ。
お前は珍しく私の意志を読み取れるが、ほとんどの人間は、私がいくら知恵を授けようとしても、「ワシの羽根が欲しい、一本だけくれ!」と近づいて、罠を仕掛けて多くのワシの仲間が殺された。
「愚かなワシ」は、たった、少しの食べ物を得るために、家族の命も危険にさらすほど愚かだから、人間に殺されても仕方がないが、人間もいづれ、他の何かの動物に捕食される時が来るのを気付いてはおらん。
お前なら、わかるよな?
この地球上で、地上動物が「絶対支配者」になったことなど一度もないからこそ、人間がどんどん動物を食べ続ければ、最後に、自分が食べた動物たちに食い殺されることは決まっているのだ。
それが、「自然界の循環であり、(人類)淘汰なのだ。
私はワシ一族の長(おさ)をしておるが、「地上動物の全ての命の責任」を持っているのが、「鳥類」なのだ。
その責任をいつ果たすか迷っている時に、お前が生まれた。
だから、私は、お前を守るために、ずっと、お前が生まれる前からこの山にいたが、もう、お前は十分、大人の知恵を持ったのだから、
地球上の人間たちを「生かすのか、殺すのか」を自分で決めなさい。
生き残りの知恵も十分持っているお前が、他の人間たちに認められるのか、それとも否定されるのかが、最後の「人間の審判」だと思っている。
だから、お前がどうしたいのかを教えてくれ!
お前が今、その結論を出せば、私が全ての動物たちに指令を出して、人間を襲わせることも可能なのだ。
お前は、それほど重要な意味と役割を持って生まれたきた魂だからこそ、きっと、生きるのが苦しいだろうが、人間を生かすのか、殺していいのかの判断だけは決めてから、死んでくれ。
俺は大雪山山系の山の奥にいづれ行くが、その前に、お前の意思を言葉で聞きたい!
どうか、よろしく頼む!
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約30分くらい「親分カラス」とテレパシー通信をしている間、私の家から300mの道の両側にいた全てのカラスは、一切、鳴き声は出しませんし、微動だもしませんでした。
「親分カラス」が羽ばたいた音を合図に、向かい側にいた全てのカラスたちも羽ばたき始めて、自分が飛び立つ順番になると、「親分カラス」の後を追うように山へ飛んでいきました。
全てのカラスが飛びった空は、真っ黒に見えて、もう日が暮れたかと思うほど、隙間なく空が黒いカラスに覆われました。
たぶん、数千羽以上は、いたと思います。
最後の「オオワシ」の言葉で、人間の愚かさを知ったことと、「自分もその同じ人間だ」という事が悲しくなり、泣きながら玄関のドアを開けて入ると、父と母がすぐに駆け寄ってきました。
母は、「大丈夫だったかい?
今ね、有線放送が入って、吉岡さんの家に向かう道の両側にカラスが集団でいるので、危ないので家を出ないで下さいと放送が入ったのさ。
私はあなたを迎えに行きたかったんだけど、父さんが、アイツは大丈夫だ、黙って見てろって!言うんだけど、私、怖くて怖くて、オシッコちびりそうだっだんだよ!」
「母の心配は、僕かい?自分のオシッコかい?」
と言うと、3人で大笑いして収まりました。
母が台所に立ったあと、父が近寄ってきて、
「カラスたちは、何て言ってた?
お前、アイツらと通信してたろ?
俺も少しは気持ちが伝わったけど、細かい事は何を話しているかわからないので、教えてくれ!」と言いました。
私は「親分カラス」が父のために、この山に残って田んぼをずっと守ってくれることと、母に、絶対に、カラスやスズメに石を投げないように言っていたことを教えました。
父は、溢れる涙を堪えきれず、台所にいる母の頭を平手で殴り、
「お前、もう一生、カラスやスズメに石を投げるなよ!
投げたら、本気で俺がお前をぶん殴るぞ!」
と泣きながら母の頭を叩きました。
母は、「なんで、あんな鳥たちに気をつかわないと行けないの?
私は自分の仕事を早く終わらせたいから、どけろ!って意味で石を投げるけど、カラスを狙ってないわよ!」
と言い返します。
まあ、本当に気が強いというか、自分の主張を曲げないのは、私と同じなので、父がどうするかをじっと見ていると、父は頭の上に掌のひらを置いて、
「お前がカラスやスズメに石を投げなければ、毎晩でも頑張ってやるぞ!」
と、そっと耳元で言いました。
「あ!あのことだ!」とすぐにわかりましたが、知らないふりをして聞いていると、母は、「はい、わかりました」とお辞儀して、素直にご飯を作り始めました。
やっぱり、夫婦にとっては、「夜の営み」は大事なのだと、つくづく感じた時間でした。
🔴「鷹の選択」の動画を見れば、どれほど強い精神性を持って生きている鳥かがわかると思います。自分の生き方と比べて「生き方の参考」にして下さい。
続きは明日です。
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