PTA懇談会のあとの3発ビンタ
小学3年生の時に、初めて親と子が一緒に今後のことを話し合う「PTA懇談会」が、学校主催で行われました。
これも、戦後の「アメリカ式洗脳教育」の一環で、「家庭ごとの強い教育」を骨抜きにするための政策でした。
それまでの学校教育は、「親と先生の立ち位置」がハッキリ分かれていたので、どんな先生でも尊敬する暗黙の決まりがあり、親同士も、お互いの価値観の違いを認め合う時代でした。
母はもともとPTAの親同士の付き合いが大嫌いな人間ですが、それでも「親子が揃って出席しなけれないけないルール」なので、仕方なく、私を連れて学校へ行きました。
PTA役員になっている母親は、必ず、子供を連れてくるルールなので、代役は認められず、母は田んぼが忙しいと文句を言いつつ、綺麗な洋服に着替えて、私の手を引き、無理やり、学校へ連れて行ったのです。
私は学校が終わったのだから、やっと自分の好きなことができる時間なのに、それを奪われた悔しさと、また勝手なオバサン達や嘘つき先生の話を聞くのかと思うと、うんざりしていました。
決められた時間で終わることを条件に、親子で出席している子供達は、幼稚園時代からの同級生で、よく私のことを知っているので、
「お前、よく付いてきたな?
お前ならきっと、この大人達の言うことを言い負かすだろうから、楽しみにしているぞ!」
と挑発してきました。
その言葉を聞いていた母は、思いっきり私の腕をつねって、
「一切、発言禁止だからね!」と言い渡しました。
これは、「拷問」です。
大人たちの「嘘の話」を聞き続けるのは、とても辛いことですし、ましてや、その対象が親と先生なら、一言でも発言しようものなら、僕は自分の思いを全部、ぶちまけてしまいそうで、自分でも怖かったほどです。
黙っているのも暇なので、唇を閉じたまま、歌を歌ったり、神様と対話したり、何とか時間を過ぎ去る努力をしていました。
そこに、「では、最後に子供達の意見も聞きましょう!」と先生が言ったので、一人づつ、子供達も発言しましたが、誰も本音は言わず、「お母さん達の決めた通りで良いと思います」と言いやがるので、もう、僕は「堪忍袋」が切れて爆発しそうでした。
僕の番がきたので発言しようと思うと、隣にいた母は、そっと私の太ももに手を当てたので、「どうしたのかな?」と思うと、一人一人がお母さんたちが言った言葉の間違いを指摘しようとした瞬間、ギュ!と太ももを、母がつねりました。
痛い!とも言えず、言葉を飲み込んだまま、次のオバさんの間違いを指摘しようとすると、またさっきより強く、ギュッ!とつねられました。
痛くても声は出せないからこそ、・・・「大丈夫です。問題ないです。」と言い、最後に「以上です」と言った瞬間に母の手は、太ももから離れました。
もう、母にもオバサン達にも先生にも、頭にくるわ、腹が立つわで大変なうえに、「よく我慢したな!」と笑顔で言う同級生の悪い奴を殴り倒しそうになったので、母が私の手を引っ張って外へ連れ出し、家に向かいました。
「まあ、いいか、明日、あいつを殴ってやればいいさ」と、腹に決めていると、家の前で他のオバサン達が立ち話をしていて、私の母を呼び止めました。
母は私の手を離すと、同級生を殴りに行くと察知していたので、何があっても行かせない強い力で引っ張り続けていました。
諦めて黙っていると、母もオバサンたちの立ち話に参加せざるおえなくなり、口裏を合わせて早く終わろうとしていました。
聞こえないふりをしながら、外の風景を楽しんでいた私に、一人のオバさんが声をかけてました。
「そういえば、あなたはさっき、何か言おうとしていたけど、今なら先生もいないから、何を思ったか教えてちょうだい!」と言いました。
ヤバい!母に手を掴まれているままだと、変なことを口にすると叩かれそうだし、逃げても後でやられるので、力を抜いて、オバサンたちの顔をじっと見て、「何もありません」と答えました。
すると、しつこい、さっきのおばさん以上に、もっとしつこいオバサンが出てきて、
「あなたは人のことがわかるみたいだと息子から聞いているので、もしよかったら、私たちのために何かアドバイスをちょうだい!」
とせがまれました。
さあ、どうする!?
自分に嘘をついて、オバサン達が望む答えを言うのか、それとも、本音の思いをぶちまけるのか、悩みました。
一応、母に確認しようと思い、「ねえ、どこまで話していいの?」と聞くと、「少しだけにしなさい」と言われたので、言葉を短く簡潔に話せという意味だと思い、たった、一言だけ言いました。
オバサン達は、言うこと、やること、全て、嘘ばっかりなので、どの子供達も親を信じられなくなっています。
だから、どうか、正直に生きて下さい!
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しばらく、オバサン達は沈黙したあと、賢そうなオバサンが言い方を変えて、
「いい?私たちは自分を否定して欲しいんじゃなくて、何かそれ以外に、私たち親ができることがあるかを聞きたいんだけど、何かない?」と聞いてきました。
「そりや、無理だろ!」と思いましたが、せっかく、優しく聞いたオバサンに失礼なので、言葉を丁寧に言い換えて、こう言いました。
僕は、オバサン達の全てを否定しているわけではありません。
ただ、子供にだけは嘘を言わないで欲しいんです。
ただ、それだけです。
「あらあ、私たちは誰も、自分の子供に嘘なんかついたことはないわよ!
どうして、そんなことを言うの?
何か知っているのなら、素直に聞くから教えて!お願い!」
言っていいので迷いましたが、ここまで言われたなら覚悟を決めて言いました。
〇〇ちゃんのお母さん、あなたは昨日、ご主人から早く布団に来いと言われたのに、自分の気分が乗らないからと嘘をつき、居間でテレビを見て、旦那が寝るのを待っていましたよね?
▲▲ちゃんのお母さんも、昨日、夜のご飯の時に、お父さんの大好きなおかずを自分と子供で食べてしまい、最初から無かったことにしようと、子供にも嘘をつかせましたね!
■■ちゃんのお母さんは、三日前に、ご主人のお母さんが家に来た時、今から昼寝しようとくつろいでいたので、「お母さん、すいません。わざわざ来て頂いのに、今、体調がすぐれないので、横になっているの。風邪をうつしたら良くないので、すいませんが、このままお帰り下さいますか?と嘘を言いましたよね?
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もう、オバサン達の顔は瞬間湯沸かし器のようになり、あの上品そうにしていたオバサンが、最高潮に頭に来ていて、私の母を思いっきり、ののしりました。
文句があるなら俺に言え!とばかりに、私が立ち向かおうとすると、僕の頭を1発、殴って、自分も頭を下げて、家に僕を連れ帰りました。
家に中に入ってからオバサン達を見ると、もう、怒り狂って、学校の先生に言ってやるか!?、父ちゃんに言って、とっちめてもらうか!?とか、話し合っていました。
「おー、こいこい!やるならやろうぜ!」と思っていると、突然、母が私の前に立ちはだかり、思いっきりビンタを3発殴りました。
まだ、「往復ビンタ」では無いので良いですが、「往復ビンタ」を食らうと、もう最低!という意味だと、戦争に行ったじいちゃんから聞いていたので、母はまだ、愛情があるビンタだと思いました。
ビンタの時には、歯を食いしばるクセが身についているので痛くはありませんが、母が泣いているので、それがとても辛い気持ちになりました。
あんた、わかるかい!
あんたは正しいことを言ったと思ってスッキリしてるだろうけど、そのせいで、私が大嫌いな人たちに頭を下げなきゃいけなくなったんだよ!
どうするんだい!この私の気持ちは!!!!!
そこまで考えていなかった・・・すまん、すいません・・・大きな声で、「本当にすいません。二度としません!」と言うのが、精一杯でした。
母は涙を拭いながら、「私の気持ちはお前と一緒さ!
あいつら、いつも嘘ばっかり言うので、私も大嫌いなのさ。
だから、お前が言ったことで私もスッキリする部分もあるけど、お前、ちょっと踏み込みすぎだわ。
小学生で、まだ、オチンチンも立っていない子供に、セックスのことを言われたら、そりゃあ、どんな親でも頭にくるわさ。
お前ね、心は大人だけど、まだ、体は子供なんだよ!
そこんとこ、良く考えて発言しなさい!
世の中の歳を食ったバカみたいな女達も男達も、心が幼いというか、バカというか、毎日、同じ話をあちこちでして、何が面白いのかね?
私には、できないなあ。
きっと、あの人たちはお父ちゃんが稼いだお金で暮らしているので、「本当の苦労」なんて知らない人たちだから、仕方ないといえば仕方ないけど、私に二度と、あのバカ女達に頭を下げさせるようなことは言わないでね!
さっきの3発のピンタは、まだ愛情が残っているのはわかったでしょ!
次にやったら、「往復ビンタ」を食らわすから、覚悟しておきなさいね!
それでも、またやるなら、あんたが一番大好きな私の父さんに「戦争仕込みの往復ビンタ」をしてもらうわ!
いいわね、マナブ!
名前のとおり、ちゃんと学んでね!
あんたの名前の「マナブ」は、私のお父さんがあなたのために付けてくれたのだから、どんな思いで付けたのか、あんたならわかるでしょ!
よろしく頼むね!
・・・・・・・
この事件のあと、私は大人に本音で話すのは、「特別な時」だけにしようと決めました。
だって、テレビに出ている大人もそうだし、周りの大人達の心の中も嘘ばっかりで辛すぎる毎日なので、そうするしかないのです。
皆さんの子供達も、生まれて3歳までは、ご両親の嘘を全部、見えて聞こえてわかっていますが、誰も言葉にはしません。
私は赤ちゃんと「アイコンタクト」で話せますが、最近の1歳児でも、嘘をつくことを親から学んでいるので、滅多に、「アイコンタクト」ができる子供に会うことは減りました。
つまり、この世は大人達の皆さんが作った「嘘の世界」だからこそ、私は自分が大人になった時、「絶対に嘘はつかない」と決めました。
「相手を苦しめないための嘘」だけは、残しておいて・・・。