【ダイエー】就職前の会社訪問 3 第三次試験
ダイエーの65倍の競争率を勝ち抜いて、「北海道ダイエー株式会社」の第三次試験まで行きましたが、人事の担当者の顔を知っているので、ちょこちょこ気を使って言葉をかけてくるので、文句を言いました。
吉岡)あのう、人事の担当の人さあ、頼むから他の人と同じに扱って下さいよ!
あなたがこの部屋に来るたびに、周りの奴らが俺に気を使うし、「どこのコネを使ったんだ?」とか聞かれるんですよ!
俺が一番嫌いないことは、実力もないのに、「他人の力をタダで借りる人間」です。
そんなコネを使って入ったって、結局、すぐに文句を言って辞めるくせに、偉そうにしているバカをたくさん見たので、そういう奴らと同じに思われるのは嫌なんです!
頼みますから、普通の人と同じように、声もかけないで下さい。
人事課)吉岡さんよう、俺もそうしたいんだが、あの「人事課長」どうしてもお前と話がしたいらしく、予定に無いのに急にやってきて、「あの吉岡に会わせろ!」と、うるさいのさ。
君の合格はもう決まっているので、そっと外へ出て、あの喫茶店の奥に座っている人と話をして下さい。
「上司の頼み」なので、俺は何があっても、あなたを連れていかないといけないので、お願いします。(直立のお辞儀)
吉岡)わかりましたよ。
あなたの顔を立てて喫茶店に行きますが、周りの奴らのこともあるので、大きな声で俺の名前を呼んで怒って下さい!
何か書類に問題があるかのように怒って、俺を連れ出して下さい。
それならあとで嫌味を言われないのでお願いします。
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耳が裂けるような大きな声で名前を呼ばれ、腕を引っ張られて外へ連れていかれ、喫茶店に向かいました。
あとで聞くと、学生時代は応援団だそうで、声がでかい理由もわかりました。
喫茶店の奥に一人の男性が座っていたので、迷惑をかけないように外でタバコを吸っていると、隣の綺麗なスーツを着た紳士もタバコを吸っていたので、自然に会話になりました。
紳士)この喫茶店、「禁煙」で面倒臭いよな?
俺がここの経営者なら、絶対に「喫煙」にしたほうが客が来ると思うけど、どう思う?
吉岡)最近、少しづつ、「禁煙」のお店が増えてきましたが、問題は、マナーが悪い喫煙者だと思います。
私もタバコを吸うのでわかりますが、タバコの灰は捨てるし、吸い殻も捨てる人間は大嫌いです。
だからこうして、いつも「ポケット灰皿」を持ち歩いています。
親に金を出してもらって遊んでいた学生の時は分かりませんでしたが、自分が就職すると思った時から、初めて「お金の意味」がわかりました。
自分がお金を稼いでもいないのに、親は黙って仕送りしてくれるし、そのお金の苦労も知らずに、飲む打つ買うをするバカな学生だったと反省してから、今は、必ず、「ポケット灰皿」を必ず、持ち歩いています。
先輩は、「ポケット灰皿」は、お持ちじゃ無いんですか?
よければ、予備があるので、これをお持ち下さい。
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「ありがとう」とだけ言って、先に喫茶店に行ったので、私はゆっくりタバコを吸ってから席に行くと、さっきの紳士が奥の人の横に座っていました。
それも、「一番奥」に私が座るように空いているし、その手前に二人の紳士が座っているので、これはマズイと思って、後ろから声をかけました。
吉岡)あのう、すいません。
私への気遣いもわかるのですが、もし、私だけのためにこの席を開けているなら、私は座れません。
あなたたちのように立派な紳士の「上座」に私が座ったら、周りの人からどう思われるかすぐにわかります。
だから、どうか、席を逆にして、私を「下座」に座らせて下さい!
紳士は、「ほらあ、言ったとおりだろう?」と自慢げな顔をした北海道の人事課長は、私の顔を見てニヤニヤしながら、席を入れ替わり、隣に座った紳士のことをまず紹介しながら、お詫びしてくれました。
人事統括本部長)いやあ、吉岡さん、すまんな。
余計な気を使わせてしまって・・・。
この人は俺の上司で、東京の本社に勤務している「人事課のトップ」の人間なのさ。
ま、俺と同期だけど、この人はとても頭がいいので、あっという間に同期をごぼう抜きでトップになって、今は、人事労務関係の「統括本部長」で、「経営執行責任者(役員)」さ。
今日はな、俺が「面白い人間」を見つけたから札幌まで遊びに来いと呼んで、飛んで来たのさ。
明日は二人でゴルフだから、今日はゆっくり飲もうじゃないか!
吉岡さんは、このあと、予定はないんだろう?
吉岡)ありがたいお言葉ですが、今日はなぜか、「開きホッケ定食屋」の女の子とデートなんです。
僕が明日、岡山に帰ると言うと、「何が何でも明日、デートして下さい」と言うので、残念ながらお誘いには乗れません。
東京から来たお偉いさんも、ごめんなさい。
「男のお酒」と「綺麗な女の子」を天秤にかけたら、絶対に、可愛い女の子のほうが大事でしょ!
先輩!そうは思いませんか?
人事統括本部長)いやな、俺は学生時代は勉強ばかりしていたんだが、ふと思うと卒業間近でよ、就職活動もしてなかったので、入れたのが(株)ダイエーしかなかったのさ。
そしたら、こいつみたいなバカがいるし、結構、周りにもバカがいるので遊びは覚えたが、今でも「女の子との付き合い」は下手だなあ。
俺の女房は、学生時代からの付き合いだし、自然に子供ができて結婚したのさ。
吉岡)え!もしかして、童貞と処女の結婚ですか?
最低ですね!
「セックスも下手だし、挿入してもすぐ行っちゃう」と、女の子たちが文句を言ってましたよ!
「だから、童貞って、嫌なのよね?
どうして、自分で女を喜ばす努力をしないのか、最低だわ!」
と怒られたことがあります。
ちなみに、わたしは「童貞」ではありません。
人事統括本部長)おいおい、そんなに「童貞の男」はダメなのか?
うちの嫁は、何も言わないし、結構、嬉しそうにヨガっていたけどなあ。
吉岡)これも他の女の子から聞いた話ですが、
「男を早く終わらせたい時は、気持ちいい声を大きく出すし、腰を振ってよがれば、すぐに終わるので、簡単ですよ」と教えてくれました。
女がどこを感じるのかは、今、勉強中ですが、どうやら俺たち「男の勝手」とは違う部分を大事にしているみたいですよ。
俺は慣れた女には「気」を使いませんが、最初の1回くらいは「気」を使います!
先輩たちも同じですよね?
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人事課長)俺はな、学生時代は女じゃなくて、スポーツに明け暮れたのさ。
それで留年して、やっと入れたのが、(株)ダイエーなので、コイツとは真反対なので、お互いに面白くて今も付き合っているのさ。
なあ、吉岡さん、そんなに「女」は、面白いのか?
吉岡)あのう、先輩たち、遠慮なく言わせてもらいますが、結婚をして、子供を育てるのは誰もが「普通」に思うことですが、そのまま老人になって何が残りますか?
子供の成長を喜んでも、もしかすると、妻に途中で「離婚」を言い渡されるかもしれませんよ?
その時に、他に女を見つけられるかどうかは、「男の度量」でしょう!
いくら結婚していても、「女の練習」は続けたほうがいいですよ!
セックスだけじゃなくても、女はいつも自分を主張しますが、実は、女はその自分の主張を壊して欲しいそうなんです。
言葉でもいいし、セックスでもいいですが、「自分を壊されたい願望」があるんだそうです!
知らなかったんですか?
あー、きっと奥様たちは、どこか他の男と「練習」しているかもしれませんねえ。
まあ、離婚はしないと思いますが、どちらにしても「女の練習」は死ぬまでトコトン続けて下さい。
あそこがまだ元気なうちに、どんどん使って、いろんな女の子から「女の取り扱い方」を覚えて下さい。
スーパーは、女性が多い職場だからこそ、人事課長!
絶対に、これは男たちの為に「マニュアル化」した方がいいと思いますが、いかがですか?
人事課長)えっと・・・・、俺か?
これ、俺の仕事か?
お前やれよ!
俺、得意じゃないから!
人事統括本部長)俺も得意じゃないって、さっき、話したろ!
童貞で、一人の女しか知らない男が作るマニュアルなんて、誰も信用してくれないぞ!
吉岡さん、あんたが人事課に来て、そのマニュアルを作ってくれないか?
給料も特別に高くするから・・・。
吉岡)もう、本当にしつこい人たちだなあ。
僕はお金では動きませんし、女の子やオバさんの扱い方はわかりますが、もし、そんなものをマニュアル化したら、女性たち全員に怒られますよ!
冗談ですよ!冗談!(^^)
だって、あなたのように勉強しかしてこない人間は、マニュアル大好きで、それ以上も、それ以下の仕事もできないでしょ!
ハッキリ言いますが、そういう「応用力がない人間」は私は大嫌いだし、バカだと思っています。
私の実家は、農家なので、「農家に理屈はいらん!」とよく父が言っていました。
気合いと根性!問題が起きたらすぐ対応する「対応能力」さえあれば、どんな仕事でもできるぞ!と父が教えてくれました。
でも、申し訳ありませんが、お二人はダメです。
明日のゴルフをキャンセルして、今夜から明日までトコトン飲みながら、いい女をお持ち帰りして抱きまくって下さい。
それが人を指導する「人事課」の最も大事な仕事だと思います。
さ、先輩たち、まずは、北海道の「開きホッケ定食」を食べてからススキノに行って下さい!
「立ちんぼ」と「呼び込みの男」には注意して下さいね!
ボラれますから!
人事統括本部長)おい、吉岡さんよ、俺たち夜の遊び方は苦手なんだ。
だからよ、金は出すから一緒に飲みに行こうぜ!
あんたの言う通りにやるので、誰か女をあてがってくれよ!
頼む!おい、お前も一緒に頼めよ!!
人事課長)本当は、ゴルフもやりたかったけど、東京から来たコイツがやりたいなら付き合うわ。
おい、金はお前が、本社の経費で落とせよ!
北海道の経費は少ないから無理だからな!
人事統括本部長)お前だって、そこそこの給料をもらっているだろう?
俺はお前の年収も家族構成も全部知ってるんだぞ!
だからよ、割り勘にしようぜ!
吉岡)貧乏くさい、話をしないで下さいよ!
お二人とも、年齢から考えて年収は2000万円を超えているはずです。
それなのに、たかがススキノくらいで何を迷ってるですか?
わかりました!安くでも綺麗な女の子がいる店にお連れします。
ま、3件も行けば、お好みの女はいると思うので、私が交渉しますわ!
さ、まずは、美味しい「開きホッケ定食」を食べにいきましょ!
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入社の3次試験のあとに、素敵な紳士お二人をススキノにご案内して、一緒に過ごしてくれる女の子をあてがって、ホテルに入るのを見てから、「開きホッケ定食」の女の子とデートしました。
きっと、どこの会社の営業マンたちも、こういうことを毎日、仕事でやっているのだと、いつもススキノを見ているとわかりました。
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翌年の4月1日、神戸ポートアイランドにある「ワールド記念ホール」を借り切って「入社式」を行い、全国で1200名の「大学卒」が1カ所に集まりました。
会場に入る前に、顔見知りの「人事労務関係の経営執行責任者」の紳士が近寄ってきて、
「全国の新入社員代表で挨拶をしてくれ!」と言ったので断り、
「一人は目立つので嫌ですが、各地域別の代表としてなら話します」
と伝えると、急遽、地域別に人を選んで、「持ち時間1分半」と言われて、一番最初に北海道代表として1200人の前で、「吉岡節」を演説することになりました。
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※スピーチ内容
君たちは、全国津々浦々からこの素晴らしい「ダイエー」という会社に入った「同期」である!!!
同期と言えば、「同期の桜」と言われるとおり、命をかけて戦った日本軍の兵士たちと同じだ!
だから、皆さん、これからきっと、辛いことや苦しいことがたくさんあると思いますが、辛い時は、ここにいる1200名全員が、同じ目的で全国のどこかで働いていることを忘れないで欲しい!
私の祖父は、二度、戦争に行き、片足を失った傷痍軍人ですが、決して傷を負ったことを嘆いた日はなく、いつも、「同期と一緒に死ねなかったこと」を毎日のように泣いていました。
住んでいる場所が違っても、全国津々浦々にあるダイエーという会社は、未来の日本を考えて、中内功社長が戦時中に「闇市」からおこしてくれた会社だからこそ、我々、ダイエーの社員は、「世のため、人のために」働かなくてはならないのです!
もし、その覚悟がない人間は、すぐにこの会場から立ち去りなさい!!!
何があっても、どんな問題が起きても、命をかけてお互いを守り抜くのが、「同期の桜」だろ!!!
だから、同期の諸君よ!
この言葉だけは、覚えておいて欲しい!!
少年よ、大志を抱け!!!!
以上、北海道ダイエー 代表 吉岡学でした。
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会場全体が、パチパチパチパチ、パチパチパチパチ、パチパチパチパチと、会場の全ての人間が立ち上がり、会社の役員も目に涙を浮かべて泣いている人がいました。
中内功社長も、首を縦に振って、ウンウンとうなづいてくれました。
会場の同期全員が興奮しすぎて5分間、進行できないほど、みんなの心に火をつけてしまいました。
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入社式の全ての予定が終わり、会場を出ると、誰もが私の手を取り、
「素晴らしいスピーチをありがとう!
どの役員のスピーチよりも心に残ったぞ!
だから、一緒に頑張ろうな!」
と、何人もの同期が言ってくれました。
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一人一人に握手した最後に並んでいた「人事労務関係の経営執行責任者」と「北海道の人事課長」のお二人が立っていたので、どうしたのか聞いてみると・・・
人事課長)この前のススキノの夜が最高だったので、今日は東京の繁華街を一緒に飲みに行かないかなあと思って、俺、北海道からわざわざやってきたのさ。
でもよ、本当に吉岡さんは、すごいなあ。
たった1分半のスピーチで、あれだけ人をやる気にさせるのは、プロだわ。
なあ、やっぱり、北海道の人事課にこないか?
課長待遇で給料も払うぞ!
人事統括本部長)おいおい、吉岡さんは、そういう特別扱いは嫌いだと言っていたろ!
まあ、仕事は無理でも、夜は付き合ってくれそうだから、一緒に、今夜も、よろしくお願いします!(お二人に礼をされました)
吉岡)やめて下さいよ!
ほら、また周りの人たちが僕を見てるし・・・。
後ろの人事課の担当者たちも困った顔をしているので、用事が終わったら、このホテルに電話して下さい。
一応、私、「新入社員」なんですから、偉そうに言って下さいよ!
頭ごなしでもいいから、みんなに聞こえるように励まして下さい!
そう言うと、二人は、「まあ、頑張りたまえ!」と大声で言ったので、私はお返しに、「どうぞ、夜も頑張って下さいませ」と言って、一礼して、その場を去りました。
この本社の「労務人事統括本部長」は、取締役の「筆頭役員」だと、あとで知りましたが、会社の運営上で人事の問題は山ほどあるし、「人を切るのが仕事だ」とも教えてくれました。
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この入社式のあと札幌に戻り、「新入社員研修」を三週間、缶詰めで受けたあと、札幌郊外に初めて出店した清田店の「新店オープン要員」に配属になりましたが、通常、「新店」にはベテラン社員が配置されるそうですが、「吉岡学がいるので大丈夫だ」という理由で、入社時の集団面接を受けた同期の5名が一緒の店に配属されました。
「会社訪問の面接」で私に食ってかかった「あのバカ」な同期もいるし、賢い奴らもいたので、新入社員研修でも「酒の持ち込み禁止」や「外出禁止令」を一緒にかいくぐって、上手に楽しみながら「一心同体」の濃い研修期間を過ごしたので、最後は、女も男も人事課の担当者も本気で泣くほど真剣に頑張り抜きました。
「同じ釜の飯を食う」という体験は、良くも悪くも「一心同体」になりますので、家族以上に濃い関係になるため、着任する店が離れ離れになっても「同期の桜」は強いつながりで支え合いました。
お店に配属されるといろんな問題はそれぞれありましたが、毎週、「同期の桜の飲み会」を定例化して、「一人の問題」を一緒に考える飲み会を3年間、続けて全ての問題を一緒に解決していきました。
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忘れた頃に突然、電話が来るのは、「本社の人事労務統括本部長」で、いつも悩ましい問題を私に問いかけてきました。
ある時は、「社長に20%人件費をカットしろ!」と言われて困って相談されたので、「比率ではなく、数字で考えないと大事なことを間違う」と伝え、日本全国の正社員とパートアルバイトの「人件費比率」を部門別に送ってもらい、売上と利益と、最終の財務資料を送ってもらって、店長室で一人で計算していました。
お店の店長も人事課長から「吉岡だけは特別に扱え!」と言われていたそうで、「本社の人事労務統括本部長」の相談事だと説明すると、無言で私がしたいことに全て協力してくれました。
売上1兆円の企業の「人件費分配率」と、同業他社の人件費分配率を会社四季報で比べながら、これからどの部門を伸ばそうとしているのか、経費をどこに投資するのか、これまでの食品中心の「販売戦力と会社の戦力と目標」を聞きながら、金額ベースと比率を計算して、「本社の労務人事統括本部長」にFAXで送りました。
「私の資料を叩き台にして社長と交渉して下さい」
と言ったのに、彼は、そのまま社長に私の資料を見せて、1発でOKをもらったと自慢していました。
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東大出の「エリート集団」が本社にいることは知っていましたが、結局、彼らは人の気持ちがわからない人ばかりなので、現場の悩ましい問題を抱えながら、一緒に泣いて苦しみながら頑張る気持ちはわかりません。
「超エリートコース」呼ばれる東大、京大、阪大、九大出のエリートたちは、入社した段階で「年収1000万円」は確定しますが、そのお金を全部、若くて頑張っている人たちに分配したほうが、もっと従業員は頑張ると思ったので、組合の人たちに、会社の経費の「分配率」を聞いたり、毎年の賃闘で、何を戦っているのかを教えてもらいました。
結局、自分が全ての勉強をして、「裏も表も知らないと何も発言できない」ことをわかったので、入社してから「店長と課長の管理資料」を全て自由に見せてもらい、「組合関係の全ての資料」を見せてもらいながら、「会社と人の問題点」の解決方法を考えていた23歳の新入社員でした。
14年間のサラリーマン生活の中で、三度だけ、中内功社長が、わざわざ売り場で「両手」で私の手をつかみ、「ありがとう」と言ってくれたことが懐かしい思い出です。
全国を定期的に巡回して、社長指示が出ると1時間以内に次の店の売り場も変更するほど「社長指示」をミスると、即、店長は飛ばされますし、商品部もその責任を取らされました。
社長がお店を巡回する時は、いつも専務の後ろに「人事課長」はいるし、その後ろに「本社の人事労務総合本部長」が来る時もあるので、「あとで飲みに行こうな!」と誘われる時もしばしばありました。
本社と北海道の「労働組合の委員長」のお二人が、社長の後ろに立っていて、私の説明をしてくれた時は、笑顔で私の手を両手で握りながら、「ありがとう」を3回言ってくれたほど、情熱的な社長で感動しました。
決して、人前で「両手の握手をしない」ことで有名だった人だからこそ、自分のサラリーマン人生に悔いはありません。
「流通業界の風雲児」と呼ばれた中内功社長は、良いことも悪いこともたくさんしましたが、時代を変えたことに変わりはありません。
その結果、メーカー、問屋、取引先の悪い体質を改善して、みなさんが自由に安くて良い商品を買える「流通革命」が起きた結果が、今なのです。
いつでもどこでも、欲しい物が買える時代にするために、多くの人の努力があってこその「スーパー」だからこそ、家族を支えるために一番辛い汚い仕事をしているパートさんたちにも「ご苦労様」と声をかけてあげて下さい。
面白いもので、人生の出会いは・・・、最初に思ったことが全て「現実化」して、自分が「労働組合中央執行委員」になり、会社の役員と戦って組合員の賃金を上げる立場になるとは、当時は思ってもいませんでした。
だからこそ、会社で働いているみなさんにお願いします。
今、自分が思う判断で会社や世の中を見てはいけません。
「自分の無知」を自分で努力して克服していけば、必ず、あなたを支えてくれる人に出会いますので、今、自分ができることを諦めないで続けて下さい。
人生は、あきらめたら終わりです。
最も生きることを諦めていた人間が、頑張った14年間のサラリーマン生活は、私を大きく成長させてくれました。
仕事で悩んでいる全てのサラリーマンとOLに贈ります。