【ダイエー】上司に歯向かう「ベテランパート社員」
転勤4店目のダ○エー札幌店に着任して、すぐに、とんでもないことが起きました。
出勤初日は、自分の課の社員、パート、アルバイトたちの約40名の名前と役割を覚えて、今までどんな仕事をしてきたかを聞きながら、その人の特徴と癖をメモして回りました。
出勤2日目は、パートさんの「担当の売り場」で、商品をひとつひとつ手に取り、ホコリがついていないか?棚は清掃されているかを細かくチェックして、メモしていました。
私の担当は「日用品」がメインですが、同じフロアに専門店と契約した大きな「ペットショップ」はあるし、大工園芸コーナーもあるし、生地手芸毛糸も専門店かと思うほど大量に商品があるので、季節ごとの仕入金額とその月の月末在庫の一覧表を作り、いくら売れて、いくらの商品を処分して、いくらの利益が残ったのかが一目でわかる「一覧表」を作りました。
3日目は、その一覧表を持って、担当のパートさんと具体的に、どこの売り場を改善するのか、具体的に話し合いを始めました。
自分の課の全ての従業員の「人事カード」も手に入れて、時給がいくらで、子供がいくつで何人いて、ご主人がどこの会社に勤めているかをわかるようにしていました。
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その資料を持って、最もこのお店のパートさんの中で時給が高いパートさんのところに行ってこう話しました。
こんにちわ、〇〇さん。
毎日、お仕事、ご苦労様です。
私は吉岡と言いますが、名前は覚えてくれましたか?
「あんた」ねえ、私も馬鹿じゃないので、朝の朝礼で言った「あんた」の名前くらい、覚えているさ!
バカにするんじゃないよ!!
「あんた?」・・・2回言ったよな・・・あと1回まで我慢しよ!
ところで、あなたの担当する売り場の過去5年間の売上、在庫、利益を計算すると、年に数回、大きく在庫を処分していますが、どうしてなのですか?
「あんた」ねえ、そんなの当然じゃないか!
当時の売り場のマネージャー指示で、「今月は利益が出るので、処分したい商品があったら、リストを作ってくれ!」と言われたので、昔からある不良在庫を叩き売った時に利益が下がったのさ。
また、「あんた」って言ったよな・・・・。でも、自分の部下だし、年上だしなあ・・・。
あのう、僕はそういう大雑把な商売は好きじゃないし、バックルームに商品があることも嫌いなので、在庫の管理の方法と、売り場の在庫の販売方法を大きく変えますので、ご協力下さい。
「あんた」ねえ、なんてことを言ってるんだい!
この売り場はもう10年以上、私の売り場で、どんな優秀なマネージャーが来ても、絶対に口を出させないで通してきたし、誰が頑張ったって、この店は赤字続きだから、いづれ、倒産するさ。
ま、「あんた」も、最後のお店になると思うから、適当に頑張ってやりなさいな。
でも、私の売り場にケチをつけたり、文句を言うことは許さないからね!
この日用品の売り場も、生地手芸の売り場も、ペットショップのヘルパーも全て私の言うことを聞く人たちだから、「あんた」は黙って店長に言われたことだけやっていればいいだけさ!
さ!忙しいんだから、あっち行ってよ!!!
このオバはん、絶対に、家の中でもご主人を無視しているし、子供たちも全部、「自分の言いなり」に支配しているとわかったので、こう言いました。
ねえ、奥さん。
あなたも家に帰れば「奥様」なんだから、そんな「はしたない言葉」を使わないほうがいいですよ!
ほら、後ろにお客さんも見ているし、聞こえたら、恥ずかしいでしょ。
この店は、たかが「スーパー」ですが、目の前には「デパート」も数件あるし、きっと、そういう素敵なお客様も売り場を見にきているので、言葉使いは気をつけてもらえませんか?
おばさん、ブチ切れて、顔が真っ赤・・・・。
「あんた」ね!
どういう了見で私に口答えしてるんだい!
ここの「売り場の責任者」は、私だって言ってるでしょ!
「あんた」みたいな転勤したての「若造」が、何を言ってるんだい!!
私は家に帰ればいい妻をしているし、子供たちも、お母さん、お母さんと甘えてくれるし、もう、その二人の子供と父ちゃんを支えるので大変なんだから、こんな売り場の仕事のことくらいで、余計なことを言わないでくれるかい!!!
さ、掃除の邪魔だから、どいてどいて!!!
ブチ、ブチ、ブチ、ブチ、プッチーーーーん!
もう無理だ、我慢できない・・・・・でも、感情的になってはダメだぞ・・・。
あのう、〇〇さん、私はこの売り場全ての「責任者」なので、あなたの売り場も「私の責任」なんですよ!
だから、在庫管理の方法も、陳列の仕方も、販売価格も、全て私の許可がないと好き勝手に変更してはいけません。
いくらお年を召しているとはいえ、この売り場の「責任者」は私なので、どうか、「私の指示」に従って下さい。
そうでなければ、このお店で最も高い時給のあなたの時給を下げるか、他の課に転課させるか、退職していただかなくてはいけなくなりますよ。
私は今までの上司と違って、問題があれば、担当者と一緒に考えて、絶対に良い結果に導く努力をすることが「仕事」だと思っているので、どうか、私の言うことを聞いて下さい。
どうか、よろしくお願いします。
「あんた」!頭がおかしいのかい!
さっきから、私はこの「売り場の責任者」だと言っているだろ!!!
もう、面倒臭いから、「あんた」の言うことは一切、聞かないことにするわ!
この日用品売り場のパートやアルバイトで、私の言うことを聞かない人間は一人もいないので、いいかい、マネージャーとやら!
金輪際、「あんた」の話も指示も聞かないし、誰も「あんた」を「上司」と思わないから覚悟しておきなよ!
もう、朝の朝礼もいらないから、やめなさいよ!!!
頭にきたので少しだけ言い返そうとしたが、顔をこちらに向いていないし、一切、言葉を返さない「でかケツのオバはん」になってしまいました。
まるで、「ゾウアザラシのケツ」みたいだなあ・・・。
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面倒臭いので、バックルームに行ってタバコを吸って、頭を整理してから作戦を練って、さあ!と思って売り場に行くと、どのアルバイトも、パートも、全員、私を避けるようにいなくなりました。
さすがにこれはまずいので、社員2名をバックルームに呼んで、詳しい話を聞きました。
前にも同じようなことがあった時、店長と課長を抱き込んで、有る事無い事を言いふらし、そのマネージャーをお店に居られなくしてました。
過去に、売り場にいた他の店の社員たちに電話で聞いてみても、同じようなことを何度も繰り返しているようで、確かにマネージャーの在職期間が短いので変だと思っていたところでした。
パート、アルバイト、店長と、課長まで、抱き込んで、社員を飛ばすようなパートがいるとは思わなかったので、二人の男社員にこう言いました。
おい、お前たち!
お前たちは俺の課の社員だから、俺は「自分の家族」と同じだと思っている。
ただし、「仕事」をしにきているので、感情的に言い合いしたりするつもりは全くない。
もし、俺の部下でいるのが嫌なら、どこへでも飛ばしてやるので、すぐに言えな!
俺が、「労働組合中央執行委員」なのは、知っているよな?
俺の発言は、店長でも逆らえないし、もし、会社の誰かが俺に文句を言おうものなら、その人間を本州に飛ばすことも簡単にできる人間さ。
でも、お前たちは可愛い部下だから、言うことを聞けな!
そうじゃないと、俺は気が短いので、すぐに飛ばすぞ!
最悪は、「食品センター送り」もできるので、一生涯、営業には戻れないけど、どうする?
あのバカな「パートババア」のオバサンたちの言う通りに生きるのか、それともアルバイトや他のパートを説得して、俺の指示に従わせるのかを、今、ここで決めなさい。
その返答を聞いて、お前たちに処遇を今、決めるから、さあ、自分たちの意見を正直に言いなさい。
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「人事権」を持っている私に言われた社員二人は相談しあって、「あなたの言うことを聞きます」と言いました。
でも現実を見ていると、社員たちは何も変わりなく好き勝手に仕事をサボって遊んでいるので、一人の社員だけを残して、「二人の新しい社員を部下に入れてくれ」と、人事課長に言いました。
自分の部下に言ったことが「1回でできない人間」は、永遠に、同じことを繰り返すし、言い訳するので、そういう部下を私は許しません。
アルバイトより高い給料をもらっている社員なのに、朝から晩までアルバイトと一緒にいるし、タバコも食事も遊びも一緒に行くなら、アルバイトに降格した方がいい奴ですが、最後のチャンスとして道内転勤にしておきました。
残りの社員1名に、次の社員が来るまで、こう言いました。
俺の言うことを聞く人間になれない場合は、お前もすぐに飛ばすから覚悟しておけな!
お前は独身だから、本州にでも飛ばしてやろうか?
さあ、これから1週間だけ、お前がやることを指示するので、あとは自分で考えて仕事をしなさい。
それと、仕事の基本は、「ほうれんそう」と昔から言われているように、「報告、連絡、相談」だから、困った時は自分勝手に判断せずに、電話でもいから俺に知らせろよ!
さあ、ここの紙に書いてある「業務指示」を全て1週間以内にやり遂げなさい。
もしできない場合は、「本州送り」になるので、覚悟して仕事をしろよ!
お前一人でできない仕事もあるはずだから、その時は、あのうるさいパートやアルバイトたちを使って、自分の仕事をやり遂げなさい。
全ての責任は俺が取るので、死ぬ覚悟で仕事をやり切りなさい!以上!
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翌日からこの社員は、朝6時に売り場に出てきて、夜9時10時になるまで一人で仕事していたし、困った時にはうるさいパートたちに頭を下げてお願いして手伝ってもらっていたので、意外にパートと部下に「信頼」があることがわかりました。
私の直属の部下は「代行」と呼ばれ、私が不在の時は「マネージャー代行」として売り場と人の問題を解決する担当ですが、次の「代行」にしてもいいかと思っていると、人事課から電話があり、
ヨーカドーをやめてきた社員が途中入社したので、あなたに部下として送り込みます。
ヨーカドでは、売り場の責任者だったので、できれば、「代行」として仕事をさせて下さい。
と言いました。
あのね、人事課長、ヨーカドーで売り場の責任者でも、うちの会社でどういう動きをするかはわからないでしょ。
今、いる一人の部下を次の「代行の候補」に考えているで、ソイツが来たら、二人を競わせて、どっちを「代行」にするか決めるので、あなたは口を出さないで下さい。
そう、店長課長たちにも言っておいて下さいね。
これ以上、ぐちゃぐちゃ言われるなら、店長も課長も全て「総とっかえ」しますので、覚悟しておいて下さいね。
吉岡よう、やめてくれよ!
お前が「一人を飛ばせ!」と言うと、三人は移動させないといけないし、その度に、店長と課長たちに状況を説明して、やっと受け入れてもらっているんだから、もう、そんなに人を、次々に飛ばすのはやめてくれよ!!頼むぞ!
わかりましたよ、人事課長!
俺も部下を持つ最後の店だと思っているから我慢するけど、「もうだめだ!」と思った時は、誰でも、どこにでも飛ばすから、その時は覚悟しておいて下さいね!
もし、そんな俺にグチャグチャ言うなら、あんたを本州の果ての果てに飛ばすので、よろしく!ガチャ!
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結果的に、私の課の古株パート5名は三週間、一切、私と口を聞かなくなったので、社員を通して指示を出し、社員3名体制にして、アルバイトも入れ替えをして「新体制」を作りあげました。
私が3年半、この店を出て札幌本社のスーパーバイザー(SV)になったあとは、ヨーカドーから来た「代行」がマネジャーを昇格させて、もう一人の古株社員が「代行」にし、すぐに他の店のマネージャーに昇格として転勤させました。
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最後の最後に、なぜ、問題のパートさんが口を聞くようになったのか?
実は、あの傲慢な「古株パートさん」が、毎日、売り場で泣いているし、NO3の社員に口をこぼしていたので、内情を聞き出してもらいました。
どうやら、ご主人が会社の上司と喧嘩したみたいで、会社を辞めるか地方に転勤するかを迫られていたみたいだし、大学に入った子供の仕送りもできないと泣いていたそうです。
人事カードを引っ張り出して、ご主人の会社の名前の業種を調べると「建設業」だと分かったので、昔、お世話した「ゼネコン」のある会社のトップに連絡して、そのご主人を引き抜いてもらい、一部上場企業の課長職にしてもらいきました。
ゼネコン大手の社長の名前は出ないようにしたし、私の名前も一切、出ないようにしてもらったのし、ご主人を新しい会社の課長待遇で受け入れてもらい、さらに、給料も1.3倍にしてくれたゼネコン大手の社長さんは、「吉岡さんに頂いた恩を少しだけ返せたのが嬉しい」と言ってくれました。
だてに、いろんな業種の人たちと毎晩のようにススキノで飲んでいたわけじゃないのです。
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最も問題を抱えていた店内最高時給額の古株パート(48歳)は、その家庭の事件を私が解決したことをそうとうあとでご主人の口から知ったのは、売り場に御礼にやってきたご主人を見て話を聞いた時でした。
ご主人から全ての事情を聞いた古株パートのおばちゃんは、私に売り場で土下座してお詫びをしてくれました。
だから、私の部下たちは、何があっても命をかけて、私を守り支えてくれる仲間になってくれたのです。
それが、お金や時間や「個人の価値観」を超えた「人と人の強い信頼」を作る方法なのです。
どんなことがあっても仲間(家族)は守ること!
言い訳、愚痴、不満があるなら、その分、働け!と教えました。
普通の奥様たちは、若い頃に自分が社会で短い期間、仕事したことを「基準」に子供達に話をしますが、10年20年30年と、仕事をし続けているご主人たちの苦労は、絶対にわかるはずはありません。
涙を飲んで我慢しているお父さんたちや、上司や部下の嫉妬やイジメに行き場のない辛い時間を過ごしているご主人が、もしいるのなら、ぜひ、言葉を言わずに美味しい料理を作ってご主人を支えてあげて下さい。
「虚勢を張る男」ほど、本来、中身は弱いので、そんな男たちに育ててことを反省して、社会へ出て荒波に負けない強い心を教えてあげて下さい。
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一緒に苦労して悩みを解決しあった私の部下たちは、札幌店が閉店したあと、人事課を通して、全て一人一人、行きたい店に送り出しましたし、新しいお店の店長、課長、マネージャーに頭を下げて「よろしくお願いします」と言いに行ってから、売り場にいたオバサンたちの顔を見に行きました。
誰もが抱きついて、泣いてお礼を言うほど、全ての人たちから大事にされていると言うし、
「無理して教え込まれたパソコンで発注もできるだけで、全てのパートさんたちから「教えて下さい」と言われるので、パート人生で最高の時間を過ごしています」と教えてくれました。
あの問題のパートさんは、両手で握手して、売り場で抱きつきましたが、「父ちゃんの方が、抱き心地がいいわ」と言って大笑いしたくらい、太い信頼関係を作れました。
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人生で「あなたが許せない人」に出会った場合は、あなたの「幼い心」を成長させてくれる人だからこそ、自分のこだわりや価値観を超えて「学ぶ心」がある素直な人は、幾つになっても成長し続けていくものなのです。
そういう素直な心がある人は、どうぞ、「人間関係修復学」で学んで正しく人を導く心を学んで下さい。