【ダイエー】サラリーマン時代のクレーマーのおばちゃんと対話 2
札幌中心街にあるスーパーに、「問題のおばちゃん」がやってきたので、二人の対話が始まりました。
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あのう、今まで長い時間をかけて商品に興味を持って下さり、ありがとうございます。何か、お気に召したものはありますか?
私は、この店の接客が素晴らしいので、ついつい、話し込んでしまったの、ごめんなさいね。
説明を聞いていると、ここの商品を全部買いたくなったけど、私ね、買い物をする「権利」がないの。
え!どういう意味ですか?
私ね、息子を社会へ出したあと、主人とゆっくり過ごそうと思っていたのに、急に主人が病気で亡くなったので、とても寂しい思いをしていたの。
そしたらね、一人息子が優しい言葉で、「母さん、一人は寂しいでしょ。僕も、もうすぐそっちに転勤になるので、その時に一緒に住もうね!」と言うので、楽しみにしていたの。
そしたらね、本人だけでなく、女の子を一人連れてきて、「この娘と結婚するから、しばらく一緒に住むことになるのでよろしく!」と言うのさ。
それからが大変でねえ・・・。
息子は転勤を機に出世したみたいで、忙しく朝から晩までいないし、連れてきた女の子は、結婚するからと会社を辞めてきたみたいで、昼間は、その娘と私の二人なのさ。
最初は、お互いに遠慮していたけど、どんどん自分勝手が出てきて、
「お母さん、私はいづれあなたの息子の嫁になるので、今日からお料理全てを任せて下さい。
お母さんの味も覚えたいので、教えて下さい。」
と言うので、私も喜んで台所を渡したのさ。そうしたらね・・・、
「お母さん、私自分のお金は、一銭もないんです。
あなたの息子と結婚の約束をするまで、いろいろお金を工面したり、食べ物を食べさせたり、遊びに付き合ったおかげで、貯金も全部無くなったのです。
だから、お母さん、今日の料理をするお金を下さい。
お母さんの好きなものを作りますので、ご希望を教えて下さい。」
と言うのさ。いい娘だと思ったよ、最初はね・・・。
一週間、毎日、3食作ってくれて、息子のお弁当も作るので良い嫁になると思っていたんだけど、次に、こう言うのさ。
「お母さん、毎日、毎日スーパーに言って、頂いたお金でやりくりしていましたが、今は、売り場の野菜の値段が値上がりしたので、頂いたお金が足りなくて、自分のカードからキャシングしてお買い物をしているんです。
言わないでおこうと思ったのですが、お母さん、少しだけ多めにもらえませんか?
それと、どうせ、この先も私が買い物をして調理するので、できれば、一週間分、でも、よければ、1ヶ月分の食費のお金を先にいただければ、私も予定が立つので楽なんです。
だから、お母さん、お願いします!
買い物をするお金をいただけませんか?
って言うのさ。
まだ、どんな女なのかもわからないので、1ヶ月分として5万円、あげたのさ。
それ、少し、多めですよね?
そうなのさ。私たちの時代なら、大根の葉っぱ付きを探して買って、その葉っぱをおしたしにしたり、刻んでゴマとあえて、お酒のつまみに出して、コツコツ、お金を貯めたものだけど、今の若い人たちは、包丁で切った野菜の端を全て捨てるのさ。
言いたいことは山ほどあるけど、息子の嫁になる人なので、だまってじっと我慢するしかないでしょ!
自分としては情けないけど、息子のためだと思って口を摘むんで我慢してる毎日なのさ。
いやあ、僕だったら我慢できないなあ・・・。
お母さん、すごいわ・・・。
あら、あんたみたいに若い人に「お母さん」って言われると、ちょっと恥ずかしいわねえ。(^^)
私のいい男になるかい?
いいえ、それは無理でございます(^^)
ところで、その嫁になる女は、そのあと、どうなったんですか?
あんた、聞くかい?最低の話しだよ!
いいでしょ、私は人の気持ちを途中で切るのも切られるのも大嫌いな性格なので、他の仕事を放っておいてでもお母さんの話の決着を聞きたいです。
どうぞ、教えて下さい。絶対、誰にも話さないですから。
そうかい、そんなにこの婆さんの話が聞きたいなら、あのベンチの横に椅子を置いてくれないかねえ。
もう、朝からずっと立っているので、足腰が痛くて、休みたいのさ。いいかい、男前のお兄ちゃん!
この人の言葉使いを聞いていても、良い家庭で育って人だとわかるので、自分で椅子を用意して、お昼も過ぎていたので、少しだけ食べ物を持ってくるので、待ってて下さい、と伝えました。
食品売り場の全ての社員は、私が労働環境の問題を会社と戦っているのを知っているので、全員が私の味方です。
なので、事情を説明して、「問題のおばちゃん」に食べさせるためのサンプル用の食材をトレーに乗せて準備していました。
すると、ふと、もし、「問題のおばちゃん」が自分のおばあちゃんだったら、こんな残り物を食べさせるか?と気づいたので、自分のお金で最高の仕出弁当を買って持って行きました。
椅子に座って眠りかけていた「問題のおばちゃん」を起こして・・・
「ジュースだけ、自分で買って下さい。お好みの味があると思うので、そのジュースか、お茶でこのお弁当を食べて下さい。
僕も今から「従業員食堂」でお昼ご飯を食べるので、そのあと、またここにきます。そしたら、さっきの話の続きをお願いします。」
、と伝えて従業員食堂にダッシュで行きお昼ごはんを食べました。
5分で急いで食べてから、このあと、どうするかを考えながら売り場に降りて、さっきの「問題のおばちゃん」を探すると、いないのです!
焦りました・・・、自分勝手にお弁当を買って持って行ったことが「問題のおばちゃん」を怒らせたのか?
それとも、大通公園かどこかでゆっくり食べたのかと予測しましたが、できれば後者であってくれと祈りました。
仕方なく、午後の仕事に集中して、午前中にサボったことをやりましたが、また、売り場から電話があり、あの「問題のおばちゃん」がまた来てると報告がありました。
待ってたよ!とダッシして、売り場に行って、「問題のおばちゃん」と話ししました。
奥様、どちらへ行かれていたんですか?心配したんですよ!
あら、ごめんなさいね。あなたに心配かける気はなかったんだけど、あなたが買ってくれたお弁当を見ていると、涙が出て止まらなくなったの。
それで一人でトレイに行って泣いたんだけど、それまでご迷惑をかけてきた、いくつかのデパートの人たちに、あなたのお弁当を見せてあげたくて、今、行って、戻ってきたところなの。
みんな、驚いていたわよ!
一人の若い女の子なんてね、「奥様、いつも、本当に失礼いたしました。私どもはいつもできる限りの対応をさせて頂いておりましたが、お昼のお弁当のことなどに気づない馬鹿者ばかりでございます。本当に、申し訳ありません。」と言われたのさ。
そしてね、「奥様、ちなみに、あの向かいのスーパーの、どんな人がこのお弁当を買ってくれたのか、良かったら、教えて頂けませんか?
私どもデパートの人間は、常にお客様の視点で接客するようにと教わって努力しておりますが、そのスーパーの男性に、ぜひ、お礼を言ってご教授願いたいと思いますので、背格好や年齢などを教えて頂けますか?」って言うので、あなたの名前と売り場を教えておいたから、あの綺麗なお姉さんたちが来たら、よろしくね!
ああいういい女を「嫁」にもらえばいいのに、うちの息子ときたら、ろくでもない女を連れてきて・・・。
あんた、結婚してるのかい?
もしまだなら、私、あのデパートの女の子を紹介するわ!どうだい?
いやあ、お母さん、ありがたいお話ですが、なぜか、私には「一人妻」がいるんです。
何人でも妻を迎えていいのなら嫁にしますが、今は、そういう時代じゃないので、「お妾さん」にでもしようかな?
いやあ、あんた大したもんだね!その若さで、お妾さんかい?
女を養うってことは、お金がかかるんだよ!
あんた、稼いでいるのかい?
はい、一応、「出世街道」には載っていますし、そのトップチームの次くらいにはいますので、「お妾さん」も可能かも・・・(^^)
まあ、僕と綺麗な女性の話はいいので、お母さんの息子の嫁の話をもっと詳しく教えて下さい。お願いします。
じゃあ、15分後に、また、ここに来てちょうだい。
もう、デパートを3軒と、専門店を五軒、今、回って、このお弁当の話をしてきたのでお腹が空いたの。
だから、食べ終わる15分後以降に来てね!
そう言われたので、授業員食堂のおばちゃんに頼んで、ちゃんとした急須にお茶を入れてもらって、お盆に乗せて、湯呑みとお茶を急須で持って行きました。
実は、頼んだ食堂のおばちゃんは、従業員用の色味もないお茶を出そうとしたので、自分でお茶っ葉を地下の食品売り場から買ってきて、封を切って、母に習った煎茶の入れ方通りに美味しいお茶を入れて、エスカレーター横に座っている「問題のおばちゃん」に持ってきました。
目をまんまるにしたおばちゃんは、「私、お煎茶が大好きなの!知ってたの?この男、やるわねえ〜。もう少し、若かったら私が食べてあげるのに・・・(^^)
いえいえ、奥様、もう十分、私はあなたに食べられております。
だって、ほら!こうやっておなたにお茶を出すほど、上手に私の思いを食べてもらったのすから・・・ご馳走様です(^^)
この続きは、明日です。