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【ダイエー】北海道を占めていた暴走族の裏バン 1 出勤初日

低迷していた売上もお店全体が盛り上がり、従業員たちの活気も出てきた良い時期に、店長から「お願い」があると言われました。

お前、いつも、「新入社員を一から教育したい」と言っていたが、ちょっと問題がある新入社員が入ったので、お前、育ててみないか?

そいつは、男ですか?女ですか?

女は口答えするので嫌なので、男ならどんな男でも教育しなおします。

親に反抗した若者や、世の中に迷惑をかけるような人間は、「再教育」が必要ですからね。

おー、それはありがたい!

今な、人事課から電話があって、履歴書を詳しく読んで調べてみると、「暴走族の裏バン」を何年間もしていたことがわかったので、お母さんに電話してみたそうだが、1日で2日でもいいので、立派な会社に就職したという実績が欲しいらしくて、「どうしてもすぐに辞めさせないでくれ」と泣きが入ったのよ。

人事課も、新入社員研修(一週間)の様子を担当者に聞いたところ、毎日、体のどこかを殴られてる奴が増えるうえに、その理由をやられた奴らに聞いても、全員、「全て自分が悪い」としか言わないそうなんだ。

そういうヤヤコシイ奴だけど、大丈夫か?

嫌なら、いつでも辞めさせていいからな!

ま、一週間でも持てば、御の字よ。

あとは、お前の判断に任せると、人事課長も言っていたので、お前に預けるわ。

俺もさっき、面接したけど、態度の悪さは最悪だし、言葉遣いも酷いので、危うく俺も殴りそうになったくらいだ。

ま、喧嘩ならいくらでもしていいが、死人だけは出すなよ!

お前は、本気で怒ると怖いからと、人事課長も言っていたので、頼むから死人だけは出さないでくれな!

わかりましたよ、店長!

私の「お褒めの言葉」として聞いておきます。

もし、間違えて殺した場合は、魚屋と肉屋に頼んで切り刻んでミンチにして犬か猫に食わせますわ。

たまに、そういうのを食べたい奴もいるらしいので、俺、自分で処理しますので店長にはご迷惑はかけません。

だから、安心して、私に任せて下さい。

じゃあ、売り場に戻りますので、11時にバックルームに来させて下さい。

売り場のおばちゃんたちに紹介して、会社の規則を一から教えますので、どうぞ、ご安心下さい。

・・・・・・・・・・・・・・

予定の11時にバックルームで待っていても、新入社員は現れないし、店長が代わりに奴を探していると電話が入り、仕方がないので、バックルームで仕事をしていました。

そこに1時間近く遅れて、態度と目つきが悪い新入社員が、ポケットに両手を入れたまま肩を揺らして、私の前に立ち止まりました。

おい!お前!

お前がうちに来る新入社員か?

なんで、1時間も遅れたんだ!

まず、その理由を説明しろ!

いやあ、なんかねえ、腹も空いたし、昼飯まで早いし、仕方ないから缶コーヒーを買って、トイレでタバコを吸いながら休んでいたら、眠ちまったみたいで、さっき、気がつきました。遅れて、すいません。

ほほう、謝ることはできるんだな、よしよし。

じゃあ、次に聞くけど、お前、トイレでタバコを吸うのは、いけないことって知ってるか?

俺もタバコを吸うからわかるけど、トイレにタバコの灰皿は無いだろう!

「灰皿がない場所」では吸ってはいけないと、お母さんに教わらなかったのか?

俺の母ちゃんの話はやめて下さいよ!

俺は「一丁前の男」なので、もう、家を出て何年も経つし、連絡もしたことはありません。

母ちゃんは田舎で飲み屋をやってますが、いい女ですよ!

親父たちにはウケてるみたいだけど、俺はああいう女は嫌いなんです。

だから小学生が終わった時に家を出て、いろんなダチの家に泊まり込んでいました。

だから、今、母ちゃんが俺のことを知っているとは思えません。

この会社に入ったのも、一生で一度でいいから有名な会社に入ったという実績を作りたいだけなので、上司のあなたが俺を気に入らないなら、俺、すぐにやめますから、そう言って下さい。

そうなのか?

お前の母ちゃんから、うちの会社の人事課に電話があって、「色々ご面倒をおかけしますが、どうぞ、よろしくお願いします」って、電話があったらしいぞ!

人事課は、何でも知っているので、俺が電話して、お前のお母ちゃんに電話してみようか?

お前が言ったことが確かかどうかを確認しないと、今後のこともあるので電話してみるわ!

 

そう言った途端、その新入社員は、俺に向かってダッシュしてきて、俺の体に体当たりしました。

でも、ビクともしないし、倒れない私を見て、こう言いました。

ねえ、「マネージャーさん」、あんた、合気道か何かやっているのかい?

もし、そうなら、俺も本気でやらないと負けるから、ちょっと、準備させて下さい。

そういうと新入社員は、スーツの上着とワイシャツを脱いで、ズボンの裾を捲り上げて、革靴を脱ぎました。

 

おい、なんで喧嘩するのに、革靴を脱ぐんだよ!

お前、新しい靴が汚れるのが嫌なのか?

 

あのね、「マネージャーさん」、俺はあんたのために靴を脱いだんですよ!

これから蹴りを何発かお見舞いするので、革靴の硬いので当たったら、内臓破裂とかなるので困るでしょ。

だから、あんたのために靴を脱いでやったのに、そういう言い方はしないで欲しいなあ。

俺は自分の身を守る方法は色々、心得ているので、あなたみたいにデカくてデクの棒みたいな奴は、たくさんやっつけてきたので、俺、自信あります!

さあ、かかってきて下さい。

どうぞ、「マネージャーさん」!!

 

もうダメです、さすがに冷静を保って話しているのに、自分の上司を「マネージャーさん」と3回呼んだので、もう「堪忍袋の緒」が切れました。

 

私の母の教育は、

「お前は短期だから二度までは我慢しなさい、三度目は手を出していいからね。」

と言われているので、もうバリバリ、全開でキレました。

さらに、売り場の裏にあるバックルームで、新入社員が上司に喧嘩をふかっける部下なんて前代未聞ですので、殴る蹴るをすると、うめき声や言い争いの声が売り場に聞こえるので、黙って、その新入社員の前に立って、左手で奴の首を絞め上げました。

 

握力70kgで本気で締め上げると、足をバタバタさせて、手を伸ばして私を殴ろうとしましたので、首を絞めたまま思いっきり、壁まで持っていって、そのまま壁に体を押し付けたまま上に引き上げて、足が30cmくらい浮いた状態で止めました。

 

声も出ないし、顔も真っ赤になってくるし、もうすぐ失神するとわかったので、その手前で下ろそうと思っていると、急に全身の力が抜けてダランとなったので、右手を緩めて、床に新入社員を倒しました。

 

失神しているかどうかは、目と息を確認するとわかるので、顔を近づけてみると、右手を振り上げて私を殴ろうとしたので、寝たままの体の上に乗っかって、首をしめて、失神するまで締め続けました。

 

もし、オチても、3分以内に目覚めさせれば死にませんが、放置すると脳に血がいかないので廃人になるか死ぬことは、従兄弟の柔道部の主将に教えてもらっていたので、時間を測りました。

 

2分30秒で目を覚まさせてから、「おとなしくしろよ!」と言いましたが、何とか私を殴ろうと手足をばたつかせて、もがくので、仕方なく、荷物を縛る紐でグルグル巻きにして、口にタオルを詰め込んで、さらに「さるぐつわ」をして、紐で手足を縛ってバックルームの奥に押し込めました。

 

トイレットペーパーの箱と箱の間に寝かせて、

「声も出すな!動くな!」

と言ってから、数時間、放置しました。

 

パートさんたちには事情を話し、今日は、トイレットペーパーの品出しは社員がすると、伝えて、バックルームに入らないように指示を出しました。

私の社員は他に2名いるので、二人に、「アイツの警護と、バックルームのドアを施錠させて、他の従業員にも見つからないように!」と指示を出しました。

「昼飯も食わさず、水も飲ませるな!」

と言ったのに、優しい社員が水を飲ませようとした時、足で蹴られたみたいなので、

「もっと紐でグルグル巻きにしろ!」

と命令し、退社時間まで待ちました。

他の課の従業員が全員帰ったのを確認したあと、寝ている新入社員を起こして水を飲ませました。

もう、体に力が入らないらしくヨレヨレになったので、仕方なく担いで会社を出て、道路に放置しようと思った時、こう言いました。

すいません、マネージャーさん!

何でもいいから、食い物を食わせて下さい!

俺、食い物が腹に入っていないと何にも力が出ないんです。

できれば、コメを食わせて下さい。

もう、それだけで十分です!

どうか、お願いします!

飯くらいは食わせてやるが、俺にもう一生、歯向かわないと約束しろ!

もし、この約束を破ったら、すぐに殺すからな!

殺した遺体をお前の母ちゃんに送り届けてやるわ!

それが嫌なら、何があっても、俺の言うことはきけよ!

ちょっとでも反抗的な目や態度をしたら、俺は殴る蹴るをするが、それはお前に対する「教育的指導」なので、グダグダ言うなよ!

まあ、もしどこかに文句を言っても、俺は労働組合の中央執行委員なので、こういうお店の中の問題を解決する立場だから、お前が何を言っても誰も信用してくれないから諦めろよ!

俺はこの店では、「優しい人」で通っているんだから、絶対に、俺が暴力を振るったなんて言いふらすなよ!

もしやったら、すぐにコンクリート詰めにして小樽港に落とすから、お前の母ちゃんは、お前の遺体を見ることもできなくなるさ。

さ、わかったら、頭を3回下げろ!

それが終わったら、飯を腹一杯、食わせてやる!

・・・・・・・・・・・・

居酒屋に連れて行き、「開きホッケ定食」を食わせたあと、二人の部下を呼び、新入社員を紹介してこう言いました。

もし、コイツが、偉そうな口を聞いたり、先輩を敬わない言葉使いをしたら、すぐ俺に報告しろ!

電話でいいからすぐに連絡しろ!

俺はそのまま、コイツの母親に電話して、コイツを引き取りに来てくれと電話するわ。

コイツな、小学生が終わったあとから家を出て、あちこち、ほっつき歩いていた奴なので、母親には迷惑をかけっぱなしなんだ。

だから、最後の綱は、「母親」よ。

だから、お前たちにもコイツの母親の電話番号を教えておくので、いざとなったら電話しろ!

俺は、店長からコイツの処遇は、全て一任されているので、煮ても焼いても自由なのさ。

もし、お前たちに手を出したら、ソク、殺すから覚えておけな!

 

俺、お母ちゃんには迷惑はかけてないっすよ!

新しい他の男ができたから、自分が邪魔だと思って家を出ただけです。

それに、俺、そのあと、仲間のためにあちこちで喧嘩したので、喧嘩は強いんですよ!

 

だから、俺は、北海道で一番でかい「暴走族の裏バン」なんです。

 

でも、さっきのは参りました。

片手で俺を宙に浮かせて、失神しても放置する人間なんて、あったことありません。

このマネージャーって、「普通の人」ですか?

これからこの人の部下になるので、どうか、先輩たち、俺にこの人の扱い方を教えて下さい!

また、上司に向かって「この人」と言ってはいけない言葉を使ったので、居酒屋全部に聞こえるくらい大きな「ビンタ」をしてやりました。

目が点になった新入社員は、こう言い返しました。

俺、今まで何発殴られても痛くないし、そういう訓練をたくさんしてきたのに、なんでビンタがこんなに痛いんですか?

なんか、涙が出てきました・・・。

俺、頭がおかしくなったのかなあ。

 

その涙はな、俺にビンタされて、魂が喜んでいる涙よ。

この前のヤクザ者のごっつい男をビンタした時も、同じように泣いていたのさ。

まあ、こういう公の場でビンタしたのは俺が悪いが、お前、さっき、俺のことを「この人」と呼んだろ!

その言葉は、上司の俺を馬鹿にしている言葉なんだぞ!

だってな、お前の親父がもし、俺なら、自分の息子に「この人」と言われたら頭にくるだろ!

俺は自分の部下は、家族だし、親子程近い存在だと思っているので、そういう言葉は、二度と、使うな!

二度目は、ビンタじゃ済まないからな!

 

じゃあ、「俺の魂」が喜んでいるんですね!

俺、初めての体験なので、すいませんが、もう1発、ビンタで殴って下さい。

俺、小学生の小さい時に親父が他の女の家に行って帰ってこなくなったので、「親父の愛情」って知らないんです。

こういうのが「親父の愛情」なら、俺、何発でもビンタを受けます!

 

お願いします!

ビンタして下さい!

隣にいた二人の部下たちも私の「愛情ビンタ」を受けたい顔をしていたので、三人揃えてビンタをしました。

もっと、もっとと言うので、ビンタし続けていると、周りのお客さんが従業員を呼びに行き、「喧嘩なら外でお願いします!」と言われました。

 

腹一杯、「開きホッケ定食」を三人の部下にご馳走したのが、新入社員のお祝いだと言うと、「さすがにそれはないでしょ!」と二人の部下が言うので、仕方なく、ビールジョッキを一人づつ頼み、乾杯して終わろうとしました。

まだ、飲みたそうにしている新入社員の目は、物欲しそうな目をしていたので、こう聞きました。

お前、ビール飲みたいのか?

飲ませてやってもいいんだがよ、お前、まだ18歳だろう?

未成年は、公の場で酒を飲ませると、問題が起きた時に、俺に責任が来るので、飲ませられないなあ。

他の二人は、お祝いで飲ませてやるけど、お前はまだ未成年なので我慢しておけ!

 

目が悲しいショボショボの目をしたので、そんなに飲みたいかを聞いた時、こう、答えました。

俺は今まで自分がやりたいことを我慢したことはありません。

酒が飲みたければ、かっぱらうか、恐喝して金を奪うし、もし、揉めたらボコボコにしてやりますが、さすがに「マネージャーさん」にそう言われたら、我慢するしかないんですね。

これが、厳しいサラリーマンの「しきたり」なんですね。

俺、修行だと思って我慢します。

 

また、私を怒らせる言葉を吐いたので、思いっきり、ゲンコツを頭の上からゴツンとしてやりました。

 

また、目から涙が出たので、本当に、「泣きじょうご」だと思いましたが、こう言い返しました。

俺、頭を殴られたことは一度もないし、もし、喧嘩でこんなことをされたら俺、我慢できずに鉄の棒で相手を殴り殺しそうです。

でも、「マネージャーさん」は親と同じだと言ったので、これも愛情だと思って我慢しています。

でも、もうやめて下さい。

これ以上、愛情ゲンコツをもらったら、俺、手を出しそうなのでお願いします。

気づかせようと思って殴ったゲンコツにも、言い返したので、もう1発、頭をゲンコツしてやろうとすると、「割り箸」を右手に握って、左手に「木の箸入れ」を持ったので、笑えました。

お前よう、俺にその割り箸と箸入れで歯向かおうとしているのか?

笑えるなあ・・・。

そのポーズは、どう見ても、修行僧が「ご飯下さい」と言ってるみたいだから、笑えてしょうがないわ。

おい、写真でも撮って、会社に貼っておけよ!(他の部下に指示)

 

そう言われると、顔が真っ赤になって立ちあがろうとしたので、思いっきり、長い足で腹を蹴って、うつ伏せに倒れた顔に肘を乗せて、体重をかけました。

顔と頭の骨が折れるくらい思いっきり体重を乗せると、手足をばたつかせたので、部下二人に体を押さえさせて、腹を何発も蹴り続けました。

お前、さっきから何回、「マネージャーさん」って言ったんだ?

他にも言ってはいけない言葉を使ったけど、それはあとで別に殴るけど、人を脅したり、恐喝して金を巻き上げることは禁止だぞ!

喧嘩も絶対してはいけないし、誰もこの手で人を殴らないと言いなさい!

それができないなら、お前のバカな頭を半分くらい潰して、道路に放ってやるから覚悟しろ!

 

しばらく考えたあと、頭を3回、うなづいたので、手を離し体重を乗せるのをやめました。

あのう、すいません、マネージャー。

あなたの教えは十分、わかりましたが、さっきのは、やりすぎじゃないですか?

 

俺も喧嘩する時は、相手を見て、力加減をするけど、あなたはさっき、本気で俺を殺そうとしたでしょ!

 

体重の掛け方と、俺をつかんでる手の強さを考えても、この人、絶対に人を殺していると思いました。

俺は、喧嘩は早いし強いけど、こんな理不尽な喧嘩の仕方をされたこともないので考えていると、失神しそうになったので、うなづきました。

でも、本当に、あなたが「俺の親父代わり」になってくれるなら、俺、あなたの言うことを聞きます!

あなたみたいな熱い親父だったら、俺、大好きです!

「お父さん」と呼んでいいですか?

 

もうこれは、無条件で「言ってはいけない言葉」なので、また、思いっきり大きな音がするくらいビンタしました。

 

でも、新入社員は黙って、顔を差し出し、「何発でも叩いて下さい。親の愛情だと思って我慢します!」と言ったのでビンタはやめました。

もう1杯づつビールをみんなに飲ませて、こう言ってやりました。

お前の気持ちは嬉しいけどよ、お前の本当のお父さんが聞いたら、泣くぞ!

自分の子供が「他の男」をお父さんと呼んだら、お前のお母ちゃんの「色男」みたいだろ!

まず、そういう言葉は、二度と俺に言うな!

いつか、自分の父親に会いに行って、ここまで成長できましたと、お礼の挨拶をしに行けな!

約束だぞ

それが、お前に「種をくれた男」に対する礼儀だぞ!

まあ、今日はお祝いだからビールは飲ませてやるが、お前、顔が可愛いから未成年とわかるので、マジックで髭をかいておけ!

それが終わったら、腹一杯、ビールを飲ませてやるわ!

 

(部下に)マジックを2本もらってこい!油性でいいからな!(^^)

つづく

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