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【ダイエー】北海道を占めていた暴走族の裏バン 2 出勤2日目

元暴走族の「裏バン」の新入社員は、意外に真面目に仕事をしているように見えましたが、柱の影から仕事の様子を見ていると、私がいない時は、アルバイトと一緒にサボっているし、パートのおばちゃんたちには、頭ごなしに、「マネージャーの命令です」と言って命令していました。

ものすごく頭に来たので、ダンボールの影から思いっきりダッシュして、新入社員のケツを思いっきり、蹴飛ばしました。

3mほど吹っ飛んだあと、振り返って私を見た彼は、その場に土下座して、頭を下げました。

その土下座は「やってはいけない土下座」だったので、さらに頭に来たので、売り場はまずいので、首根っこを掴んで宙吊りにしたまま、バックルームの段ボールの箱に思いっきり投げ捨てました。

やたらに体重が軽いと思ったので、奴に聞いてみると・・・

新入社員

マネージャー、来るなら来ると言って下さいよ!

 

いつもなら腰に錘のベルトをしているのに、さっきは、アルバイト相手だったので、外したあとだったので、軽いに決まっているじゃないですか!

 

もう、嫌だなあ。

 

また「絞首刑の首吊り」ですか?

 

やるなららどうぞ、やって下さい。

 

俺、もう諦めました。

 

あなたは怒ると怖いし、力も恐ろしいほど出るので、喧嘩をする気にもなりません。

 

過去に一度だけ、あなたみたいな大男と喧嘩したことがあるんですが、最後の最後まで殴り合って、五分に持ち組むのが精一杯でした。

 

でも、なんで、そんなに強いんですか?

 

俺が殴りつけた親父たちより恐ろしく強いし、その気迫は、親でも殺しそうで、怖いです。

 

あなたのお父さん、お母さんは、まだ、生きているんですか?

 

俺、心配になりました。

 

まだ、生きているかどうか、親御さんに電話してみようかな?

アマミカムイ
アマミカムイ

おう、いいぞ!

 

俺の母親なら家にいるはずなので、電話しろ!

 

番号は、〇〇〇〇〇〇〇〇だ!

あ!お母さんですか?

 

私はあなたの息子さんの会社の部下で〇〇と言いますが、今、お母さんの話になったので、お元気かどうかを電話させてもらいました。

 

お変わりないですか?

あんた、誰だい!?

 

なんで、あんたがうちの息子の部下だとわかるんだい?

 

私はあんたのことなんて知らないし、うちの息子は、自分のことは自分で決めて、一人でやれる人間に育てたので、仕事の最中に電話するようなバカ息子じゃないからね!

 

あんた、何かい?

 

私に興味があるのかい?

 

私には、まだ夫がいるので、あんたみたいな若い人を相手にはできないので、諦めなさい。

 

まあ、父ちゃんが死んだあとなら、考えてもいいから、顔を洗って出直しなさい!ガチャ!

・・・・・・・・・・・

新入社員

マネージャーのお母さんて、本当に「人間」ですか?

 

人情も愛情も、ひとかけらも感じないし、今、俺、誘われたんですよ!

 

どういうお母さんなんですか!

 

俺、あなたも信じられないけど、お母さんもさらに信じられないなあ・・・。

 

僕のお母さんは、とても優しくて、いつも笑顔でいたので、僕の中では最高の女性は「母親」なんです。

 

いろんな女とたくさんセックスしたけど、みんな「お母さん」には、なれない女ばかりなので、俺、一生、独身かも?

 

残念だなあ・・・。

 

マネージャーって、結婚しているんですか?

 

あなたを選ぶ奥さんて、どんな人かいつか見てみたいです。

 

相当、バカか、賢いかのどちらかだと思うので、とても興味あります。

 

あれ!

 

なんで、そんな怒った顔をするんですか?

 

俺、素直に、思ったことを言っただけなのに・・・。

パチーーーン!パチン!パチン!パチン!パチン!

もうビンタしないと気が治らないほど、頭に来ました。

母親と妻の両方の悪口を言ったのに、悪びれた顔はしないで、自分は間違っていないというドヤ顔なので、もう無理です。

首根っこを締め付けながら、往復ビンタを続けていると、後ろに二人の部下が立っていて、どうやって私を止めるか相談していました。

アマミカムイ
アマミカムイ

おい!お前ら!

 

どうやって止めるかを相談するより、早く止めに入れよ!

 

このままなら、俺、一生、コイツを殴り続けるから、さっさと止めろ!

 

もう首を掴んでいる左手も疲れたし、右手も痛くなってきたから、終わりにしようぜ!

 

さあ、コイツの体を二人で持って、医務室へ連れて行け!

 

顔が赤く腫れているので、タオルを冷やして、寝かせておけ!

そう言って左手を離すと、新入社員は、目をキラリと開けて、右手で拳を握って、殴ろうとしたので、髪の毛を右手で掴んで、振り回しました。

一周、360度の回転を何回かして目を回してから、また、段ボールの山に思いっきり投げると、綺麗に吹っ飛んでいきました。

右手には、髪の毛の束が、ごっそり抜けているけど、まあ、いいかと放っておきました。

部下二人に命じて、

奴が起きたら、もう2度と、俺の前に顔を見せるなと行っておけ!

もし、明日、仕事に来たら、俺には顔を見せず、売り場の掃除でもしていろ!」

と命令しておけよ!

・・・・・・・・・・・・

翌日、出勤するかどうかを見るために、早めに売り場に行くと、背が低い男が暴走族っぽい派手なツナギを着て、売り場をお掃除をしていました。

誰かをそっと確認すると、うちの「新入社員」でした。

あいつ、違うバイトでも始めたのかと思って見ていると、開店前にスーツに着替えて、普通に朝礼の列に並びました。

「顔を見せるな!」と言ったせいなのか、後ろ向きに朝礼に立っているので、笑ってしまいました。

アマミカムイ
アマミカムイ

おい、そこの小僧!

前を向け!

 

これから朝礼を始めるので、きちんと隣の人と列を乱さないように並びなさい!

くるりと振り返った新入社員の顔に、マジックで「髭」が書いてあったので、大笑いしてしまいました。

パートのおばちゃんたちも、その顔を見て、大笑いして、朝礼にはなりません。

全員が新入社員の真面目な顔に書かれたマジックの髭が左右ズレていたので、おかし過ぎたからです。

「登りひげと下りひげ」の両方を描くバカを見たことがないので、もう、真面目な朝の挨拶はできませんでした。

なんで、そんな顔にしたのか聞いて見ると、真面目な顔をしてこう言いました。

新入社員

僕は、初日に、マネージャーにボコボコにされて、居酒屋へ連れて行かれて、マジックで顔にヒゲを書かれました。

 

でもそれは、自分が足らずに、失礼なことを言ったので、仕方がないと思っています。

 

さらに昨日、居酒屋で、また、マネージャーを怒らせてしまったので、これはもう、ヒゲを描くしかないと思ったのですが、自分で鏡を見てマジックを書いても面白くないので、左右を逆にしてみました。

 

ウケて頂いて、幸せです。

 

こんな私ですが、どうぞ、皆様、末長くおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

もう、真面目なんだか、不真面目なんだかわからないので、私はこう答えました。

アマミカムイ
アマミカムイ

よし!お前の気構えは、買った!

 

ならば、今日一日、その顔で売り場で仕事をしろ!

 

お前の顔を見たお客さんたちは、きっと、いろいろ悩みがあっても、お前の顔を見ただけで気が晴れると思うから、これも仕事だ!

 

お前には、まだ、何も仕事のことを教えていないので「接客」はできないと思うけど、人をこれだけ笑わせられたら、もうそれで十分だ!

 

もし、お客さんが笑ってくれたら、そのあとに、「何か、お探しですか?」と質問して、欲しいものを一緒に探してあげなさい。

 

初日の仕事は、これでよしとする!

 

さあ、解散して、開店準備をしなさい!

お店が開店して、お客様の対応を見ていると、意外に、お年寄りに人気があり、ドンドン、レジにお客様を連れてくるし、40代、30代の女性たちにとても人気のようで、子供売り場まで一緒に行って、買い物を手伝う場面もあったので、感心しました。

これは、「お母さんの教育の賜物」だと思いましたが、同世代と、男と、自分より若い子供には、なぜか、喧嘩腰で話しているので、バックルームに連れて行って、どうして、若い人と男に対して厳しいのかを聞きました。

新入社員

だってそうじゃないですか?

 

あの若い奴らは「世間知らず」というか、「ワガママ」というか、俺が頭を下げて「欲しいものはありますか?」と聞いているのに、「自分で探します」と言いやがるんですよ!

 

親のスネをかじって生きている癖に、言うことだけは一丁前なので、俺、ああいう奴らは許せないんです!

 

だから、俺、頭に来てました!

 

でもよく、我慢できますね!

 

マネージャーって、若い子供が好きなんですか?

アマミカムイ
アマミカムイ

まあ、嫌いじゃないが、小学生は別だ。

 

あの子供たちは、「大人が守らないといけない世代」なので、俺は守っているだけさ。

 

家に戻りたくない子供もいるし、学校でいじめられて辛くて、うちのスーパーのエスカレーターを一日中、登ったり、降ったりしている子供たちもたくさん見てきたからな。

 

話を聞けば、簡単なことなんだが、今のお母さんたちは、自分が忙しいせいか、子供の話を最後まで聞いてやらないのさ。

 

それはいいとして、なぜ、男たちには挑むんだ!?

 

お客さんだぞ!

新入社員

俺、まだ、親父が許せないのか、大人の男を見ると、つい、殴りたくなってしまうんです。

 

どうして、俺を放って、他の女のところに行ったのか、それが悔しくて悔しくて・・・。

 

母ちゃんは、いつも泣いていたけど、ある日、突然、「もういいわ!もう、諦める!」と言ったので、そのあと、いろんな男と付き合うし、家に連れ込むので、家にいずらいので、家を出たんです。

 

だから、大人の男たちを見ると、誰か俺の母ちゃんに手を出したんじゃないかと思って腹の虫が治らないんです。

 

すいません。悪いことだとわかっているけど、この感情はどうしようもないんです。

アマミカムイ
アマミカムイ

お前もいろいろあって大変だと思うけど、俺の母ちゃんと親父より、まだ、いいぞ!

 

うちの家族は、兄貴を除いて、みんないつも俺を殺すことばかり考えているので、食事をする時は毒が入っていないか?

 

それとも、下痢をさせて弱らせるものが入っていないか、いつもヒヤヒヤしていたんだぞ!

 

たまに、ネズミの尻尾が味噌汁に入っていたので、母に聞くと、「薬だよ!」と言うんだが、あとで他のおばさんに聞いてみると、「ネズミの尻尾は猛毒だよ」と教えてもらったのさ。

 

だから毎日、飯を食うのも戦いよ!

 

お前の感情もわかるけど、これも仕事なので、諦めなさい。

 

お前の大嫌いな人間が、お金を落としてくれるからこそ、お前の給料が出るし、いつか、結婚して子供を養うお金をもらえるんだから、将来を見据えて諦めなさい。

 

いいか、これが「仕事に向き合う心根」だから、ノートにメモして飲み込みなさい。

 

覚えが悪い奴は、書いた紙を飲み込むと、覚えが良くなると、母が教えてくれたんだ。

 

だから、お前もやってみろよ!

新入社員

マネージャー、もしかして、その時、飲み込んだ紙は毒が塗ってありませんでしたか?

 

俺、そんな気がしますが・・・。

アマミカムイ
アマミカムイ

まあ、紙を飲み込んだあと、急に下痢になって、ずっと、そのあとも腹が痛くなったことがよくあったけど、これも修行だと思って我慢したさ。

 

人生は、一生、修行だと、じいちゃんも言っていたからな!

新入社員

いやあ、俺には無理っす!

 

頭がおかしいんじゃないですか?

 

普通、母親に毒をもられたら、殴るでしょ!

 

どうして、そのまま毎日、家にいたんですか?

アマミカムイ
アマミカムイ

俺か?俺は次男だから、長男のバックアップ要員なのさ。

 

兄貴が結婚して男の子が生まれたら、いつ死んでもいいからねと母親にも言われていたので、その思いだけで、ここまで生きてきたのさ。

 

でもやっぱり、死のうと思っても死ねないので、嘘だとやっと気づいたのさ。

新入社員

マネージャーも、相当、バカですね?

 

俺もバカだけど、そういうバカな人は好きなので、また、バカさを教えて下さい。

 

マネージャーの話を聞いていると、俺、元気になります。

 

まだ、俺の方がマシだと思えるので・・・(^^)

アマミカムイ
アマミカムイ

バカも、休み休み言いなさい。

※笑点の口調で

 

さあ、今日の一席は、これで終了!

 

仕事が終わったら、また、第二席をやろうな!

新入社員

はい、了解です!

 

マネージャのお供なら、タダ酒が飲めるので、いつでもどこへでもついていきます!どうぞ、よろしくお願いします!

つづく

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