三代先に残すもの
この「男女同権」の法律制定によって、優遇されていた家長=長男の特権は薄れ、アメリカと同じように個人の権利を主張する人が増えた事で、現在では親子・夫婦・兄弟・親戚間の金銭的な訴訟がとても増えています。
私はいつも「権利と責任」のバランスが一番、大切だと考えていますので法律の事は法律家と政治家にお任せするとして、民族が守るべき重要なものをどう残すか考えたいと思います。
まず日本で定住文化を始めた縄文弥生時代を考えると、人間にはどうにもできない自然の中にある物を「やおよろずの神」として祀り、畏敬の念と生き残るための知恵を部族の長は、伝え残しました。
また狩猟民族時代から部族を守る長は、衣食住の確保をする人間が一番優位な地位を得るようにしています。幼い子供や障害のある人、また出産を抱えた女性などの弱者は、強者に従うことで自らを守るという知恵がそこにありす。(※サルの集団生活も同じです)
外来諸国から文明が入り時代は進化して衣食住に不足なく生きられるようになると、人間は次の欲求として「個人の権利の主張」を始めました。
その結果、家を出る人が増えて「核家族化」が進み、さらに自分のやりたい生活を優先した結果、子供を残さない民族になりつつあります。
少子化の問題は、目先に迫る年金や介護や医療の問題ばかりではなく、その先の先の問題として、この日本の人口が突然、激減して日本という国が消滅する可能性が高くなっていることを示しています。
だからと言って、戦中の「生めや増やせや政策」では意味もなく今、考えるべきことは、団塊の世代の子供たちが父母になっていますので、団塊の世代から見たお孫さんたちの子供に大切なものを残す方法を考えることです。
物やお金はいくら争って手に入れたとしても、親がどれだけ大切だと主張しても時代や人の価値観が変わると、いずれ無くなることは明確です。だからこそ今考えるべきことは、物やお金の残し方ではなく、それにまつわる親の心や先祖の心、また大切なものを残す為の「精神文化」を創り出す必要があります。
今、はっきりしていることは、神仏にこれだけ「お願い」という依存文化が根強くなった民族は、宗教を手放すことは決してありません。
現実の宗教を超える思想として世界中に「精神世界」という概念的な思想が生まれましたが、それも大きく進化発展しその高い思想や意識をどう現実世界に活用するのか問われている時代に来ています。
現実世界を考える時に大切なことは、まず人間の「個」を尊重する事から始まり、次に「個」だけでは生きられないので「男女・家族」のあり方を考え直し、次に一家族だけでは生活を守れませんので「地域家族」という少数の人が集る集団で大切なものを守る考え方が必要です。
肉体が動くこの現実世界は、思想や概念、理想やビジョンなどの「考え方」がまず第一にあります。その思想や理想があるからこそ、人間は進化しつづけるのです。この事をあなた自身が考え始めなければいけないことに、どうぞ気づいて下さい。