【解脱の真理】第二話 無の世界の全体図
【無の世界】の全体図を正しく知りたくて、創造主「マスター」にそのことを訪ねました。
すると、マスターはこう言いました。
「本当に全てを知りたいのですか?
もし、あなたが全てを知った時に、この世界のことを嫌いになるかもしれません。
それでも良いのですか?」
「私は解脱するまでの3年修行もつらかったですが、42年間、人間として生きてきて、見たり、聞いたり、歴史を調べると人間の行い全てが苦しくて、つらくて生きるのが本当に嫌になっていました。
中学2年生になった時が一番、辛かったので、死ぬことを決めた時だけが喜びの時間でしたが、体を硬直させられて自分で死ぬことさえできないことがつらかったです。
それは、私(マスター)が止めさせたのです。
だから、その後の人生は、いつでも死んでやる、自分の為に死ねないのなら、他人の為に命をかけて死んでやると、毎日、覚悟して生きていましたので、今のこの【無の世界】でマスターとお話しできる時間は、至福の時間です。
しかし、この【無の世界】の喜びを全て失ったとしても、また他の人たちと同じように、自分を偽って生きるしかないと思っていますので大丈夫です。
この現実世界も【無の世界】も、両方ともつらくても、私にとっては同じなのです。
私は、今の自分が体感している「至福の世界」を理解してくれる人は誰もいませんので、誰かと生きている意味を共有することはできません。
自分の為には生きられないし、自分で死ぬことも許されないのなら、親のためや子供のためや誰かの為と偽って生きるほうが、私にはつらいのです。
人間として生まれた本当の意味が、たったそんなことのために生まれたとは思えないですし、何度も、生まれ変わる理由もわかりません。
ですので、私がもし、この【無の世界】の全てを知っても、嫌いになることはありません。
こうしているだけで、あなた(マスター意識)と一体になっていることが、本当の私の(魂の)喜びだからです。
だからこそ、あなたが抱えている全ての思いを含めて、私に教えて下さい。
この世界がどうやってできたのか?
無とは何か?
また反対にある「有」とは何か?
なぜ人間は、死ぬことが決まっているのに、また、生まれて死ぬことを繰り返すのか?
その意味を探求しても、どこにも喜びを感じられないからこそ、こうして素晴らしい【無の世界】にいられる自分は、ありがたいのです。
私がこの世界をどう感じるかよりも、あなた(マスター意識)も同じようにひとりぼっちだと感じたので、どうぞ、私に全てのことを教えて下さい。
どんなことを知っても、私はこの【無の世界】を嫌いにはなりません。
多くの人たちがこの世界を求めて修行していますが、私は修行で到達できるものとは思えないのです。
自分をいくら禊いでも、無限に欲望が湧いてくるようにできているのが人間だからこそ、お互いに、周りにいる人たちと関係を作り、自分の存在価値を見つける努力をしています。
でもその「自己存在」でさえ、いづれ失うものだからこそ、こうして何度も生まれ変わる意味も含めて、正しく理解したいのです。どうか、よろしくお願いいたします。」
「わかりました。
そこまであなたが覚悟しているのでしたら、もう、私があなたに何かを言う意味がありません。
では、あなたが望むこと全てをあなたの意識を通して体験させて差し上げましょう。
私という意識からも離れるかもしれませんが、私はいつでもあなたのことを見守っていますので、ご安心下さい。
いつでも、どこからでも、意識さえすれば、繋がることができます。
では・・・・」
そう、声が頭の中に声が聞こえた後は、ただ「真っくろな世界」だけが目の前に見えていました。
なぜ、「漆黒の闇」なのか?
そのことをまず問いました。
「闇は、もともと闇なのだ」と声が聞こえてきましたが、「それでは闇が存在している理由がわかりません。
闇ではない世界を見せてから、闇の世界を説明して下さい。
そうでなければ、私はわかりません。」
「面倒な奴だなあ・・・」と男の声が聞こえたあと、少しづつ少しづつ、闇の色が薄れて、ぼんやり目の前の全体像が見えてきました。
白い霧に包まれた状態になってきたので、今度は「もっと鮮明に見えるようにお願いします」と頼むと・・・
また「面倒な奴だなあ」と男の声が聞こえてきました。
ゆっくり白い霧が晴れてきて、その先に道があり、長く続いている道があるのがわかったのでその道を歩いてみることにしました。
次週の日曜日に続きます