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母の教え:働かざるもの食うべからず!

小学1年生になると、母は私にこう言いました。

「働かざるもの、食う、べからず!」だよ!

お前も今日から1年生になったのだから、何か、家のために働きなさい。

幼稚園までは子供だから許したけど、世の中で働かない奴は飯を食う資格もないのさ。

人はね、どんな仕事でもいいから、働けば食っていけるよ。

賃金が高いとか安いとか文句言わないで、一生懸命に働きなさい。

あんたは、何か欲しいものがあるかい?

 

周りの子供たちは新しい自転車を買ってもらっているけど、新品とは言わないので、中古でも良いから自転車が欲しいです。

そうかい、自転車かい、中古でも◯千円くらいはするね。

じゃあ、そのためにあなたは何をするの?

仕事をした結果に対して、私が値段を決めるから、そのお金が溜まったら中古の自転車を買ってあげるよ。

 

ほんと!嬉しい!やるやる!

じゃあ、今日からスタートね!

まず、ご飯の準備をしてちょうだい。

ご飯台を出して、台拭きで拭いて、きれいにしてから、お箸を用意して、ご飯をよそって、お味噌汁をよそってちょうだい。

 

わかりました!!

フキンをぬらして、ご飯台を拭こうとすると、大声で怒鳴られました。

 

なんで、そんなベチャベチャにして拭くのさ!!!

父さんの洋服が汚れるでしょ!

もっと、きちんと絞りなさい!!

今日のお手伝い料は、ミスをしたからタダだね。

もっと真剣に、相手のことを考えてやりなさい。

 

大ショックでしたが、ルールは母が決めるので、文句は言えません。

そこに父さんが仕事から帰ってきて母から事情を聞くと、「自転車くらい買ってあげればいいじゃないか?」と言いましたが、母はこう言いました。

「父さん、あなたの気持ちは嬉しいけど、この子達は男のだから、世の中に出たら一人で多くの敵と戦いながら生き抜かないといけないんですよ!

あなたは、お姉さんたちがたくさんいたので、面倒なことは全部やってもらったと思うけど、この子たちは自分で自炊して、お金を稼がないと結婚もできないし、子供を育てることもできないバカな人間になってしまいます。

「子育ては女の仕事」だといつも言っているじゃないですか!

だから、私が厳しく子供を叱っている時は、口を出さないで下さい。

そうしないと、私が悪者になるだけなので、お願いします。」と父に頭を下げていました。

本当に母は、「お金を稼ぐ意味と重要性」を子供の頃から徹底的に教えてくれました。

でも母の実家はそれほどお金に困っていないはずなので、そこまで厳しく言ってくれる思いをある時、聞いてみました。

 

私が嫁に来た時ね、父さんが貯金してなかったので、大変だったのさ。

本家は家を建ててくれたし、田んぼも3反、頂いたので、お米を作れば自分たちが食べる分は作れるけど、生活するお金がなかったのさ。

だから、父さんにお願いして、秋の収穫が終わったあと、仕事にいってもらったんだ。

3メートルも積もった冬山に馬を連れて、山で切った大きな木を道路まで運び出す仕事や、土方でも何でも働いてもらったんだよ。

やっと、初めての給料日に父さんがお金を持って来たけど、翌日、本家の婆さんがやってきて、

「お前の亭主のお金を全てよこしなさい!」

と言われたのさ。

なぜですか、お母さん。私たちは生活するお金がないので父さんに働いてもらったのに、どうして、その生活費を取るのですか?」

「あんたのこの家や田んぼが、タダだと思っていたのかい?

世の中に、タダでもらえるものなんて、ないんだよ!

毎月の給料は全て取りに来るから、使わずに、用意しておきなさい。」

 

母がいくら頼んでも、本家の婆さんは、容赦無く、全額持っていったと教えてくれました。

また、味噌も醤油もない生活に戻ったので、実家に電話して、またお母さんにお願いしたそうです。

 

お米は本家が「貸し」で分けてくれたけど、何もおかずがないので、毎日、お湯をかけて食べていたのさ。

父さんと話して、このままだと私たちが一生、本家にお金を持っていかれるから、自分たちで田んぼを増やして大きくしないと、子供も育てられないと話しあったのさ。

翌年、あんたの兄ちゃんが生まれたけど、隣の田んぼを少し借りていたので、産後3日目から働いたよ。

普通は、1週間くらい休みなさいと産婆さんにも言われたけど、食べるためには私が働かないとあんたたちの養うお金がないから働いたよ。

 

農家の収入は、一年に一度しかないでしょ!

だから、隣のお店に秋にお米が収穫できてから払いますと言って、この帳面に買った日付と値段を書いて、秋の収穫後に農協からもらったお金で払うんだよ。

だから、家に現金はいつもないのさ。

葬儀とか結婚式とか、どうしても必要なお金は農協にいって、「クミカン」という「前借り制度」で農家は暮らしているんだよ。

でもね、毎年、ちゃんとお米が取れればいいんだけど、一度、冷害の時があって、収入が半分になったのさ。

どうやっても、1年間で使ったお金が払えないので、農協にお願いして、来年返す約束をさせられたのさ。

農家はね、最後の最後に田んぼを没収することで借金をチャラにできるから、農協はどんなことがあっても潰れないのさ。

 

お金はある時だけのことを考えたら、ダメだよ!

働けない時があるかもしれないし、親が急に病気になってお金がいる時もあるから、いつでも対応できるお金くらいは貯めておきなさいよ。

そんなことも考えていないサラリーマンや公務員のバカ女たちは、夫が会社を首になると泣き叫ぶけど、バカなのは自分だと気づいていないのさ。

私もね、あんたにお金のことを厳しく教えるのは、人生で苦労させたくないからなんだよ。

決して、憎くて厳しくしているわけじゃないので、わかってね(^^)

 

大丈夫です、貧乏にはなれているし、じいちゃんはもっと厳しい生き方をしてきたのがわかるので、大人になって働けるようになったら「恩返しできる人間」になりますので、子供の時代だけ、よろしくお願いします。

小学3年生と母の会話でした。

 

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