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抜き手、脇手、差し手の意味

忍者の「抜き足、差し足、忍び足」と同じ、「抜き手、脇手、差し手」を相撲の言葉だと思っている人がいますが、実は、もともとの意味は違うことを今日はぜひ、覚えて下さい。

 

この言葉のルーツは、「武士が向き合っている時に気をつけるべき所作」のことで、男同士の正式な場所でこの動作をすると、相手の思いを無視したことになり、「敵か!お前は!攻撃するぞ!」の意味になってしまいます。

 

本来の「抜き手」の意味は、刀を抜く時の手の動作を示す言葉ですので、羽織の懐(ふところ)や袂(たもと)に入れていた手を抜いて刀に近づけると、相手も同様に相手を斬り殺す準備をするので、最もやってはいけない動作なのです。

「脇手」の本当の意味は、刀を抜かずに、仲良しのふりをして、相手に近づき、相手の脇に手を当てて、脇差し(隠した小刀)が無いかを探る動作ですので、これも絶対にやってはいけない動作なのです。

男同士の知り合い武士がハグをするように見せかけて、そのあと、一瞬で斬り殺すこともよくあった武士の時代は、相手の警戒を解きながら、「相手を斬り殺す手段を考えている人の所作」だと教えて下さい。

この「脇手」の動作は西洋文化が日本に入ってから大きく意味が変わり、信頼している男女がハグをし、相手の脇や腰に手を回しても拒否されなければ交わっていいよという意味に変わりました。

 

「刺し手」の本当の意味は、相手が何かを取ろうとした時に、その手を制して、自分が手を出し、相手が取ろうとしている物を奪う意味の動作なので、これは公の場ではとても失礼な動作と判断されます。

日常でも、親が子供に物を取ってあげたり、知り合い同士の食事の場でも、手で相手を制する動作はたくさんありますが、公の場で、誰かが物を取ろうとしている時に、相手の手を制して、自分の手で物を取ることは、とても失礼な意味になります。

そういう時は、「お取りしましょうか?」と一言、声を掛ければ相手も手を引きますので、決して、言葉を言わずに相手を、自分の手で制してはいけないことも覚えておいて下さい。

 

小学生までの小さな子供がテーブルに載っている食べ物を取れない時に、母親が取ってあげるよという意味で、勝手に自分が手を出して物を取る動作を、昔はものすごく怒られたものです。

 

私も小学生の時に、本家に40名近い親族一同が集まり、一人一人に漆器の御膳が出た親族同士の公(おおやけ)の場で、一人で礼儀作法をできない子供は親の席の横に座らせて、「この子はまだ子供なので失礼します」の意味で、母親の下座に子供を座らせて食べ物を取る時だけは「差し手」が許されます。

しかし、いくら子供でも、大人と同じ「一席」を与えられた場合、その子供も、大人と同じように礼儀作法がわかっていると周りの大人たちは判断しますので、母親の躾次第で、子供が大人たちに認められるかどうかが決まる場面なのが、「公の場の所作」なのです。

よく、お店やレストランで親子が向かい合って座っている場面を見かけますが、子供を自分の目の前に座らせただけで、この子は「恥をかかない所作ができる子供」という意味になりますので、まだきちんと所作ができない子供は、親の横に座らせるのも「公の場の暗黙のルール」なのです。

 

周りの大人たちに迷惑をかける子供を居酒屋に連れて行ってはいけないのも、「正式な所作」を知っている大人たちのマナーなのだと覚えておいて下さい。

 

私もお正月の本家の食事の時、小学4年生の私にひとつの御膳が与えられたのに、中学一年生の従兄弟は「母親の下座に座らせなさい」と、祖母に怒られたことがありました。

一番の上座に祖母が座り、年功序列で男たちが座り、その次に、女たちが男の序列に沿って座るのが「正式な座のルール」なので、長男嫁がいくら若くても、女性の座では一番上座に座らせるのが正しい所作の座り方なのです。

 

常に、正式な所作は、「公の場を守る男たちの所作」が庶民に広まったものですので、茶道も華道も武道も、この序列で座らなければいけないのは、社会通念上、当然のルールなのです。

そんな古いルールは関係ない!と言う人もいると思いますが、今の時代でもきちんとした家庭教育がなされている家庭もありますので、男でも女でも、

公の場で周りの大人たちの前で恥ずかしいことをしている家の娘は、嫁にも貰ってもらえず、男子も礼儀作法を知らない家の子として結婚を許されない家は、まだ、たくさんあります。

なぜ、日本にはこういう礼儀作法がたくさんあるのかというと、日本を外敵から守っていたのが「武士」だからこそ、今の自衛隊の人たちのようにお国を守る人たちは、世界のどこへ行っても恥ずかしくない所作ができるように子供の頃から親は教えたものなのです。

昔は、家長の男性は、風呂も、食事も、物事を始める時も「一番」な理由は、誰かが急に家に入ってきて襲ったり、近所で火事や災害が起きた場合に、一番最初に「家長」が席を立って出ていかなければ家を守れませんので、常に最初に物事を済ませて、余裕を持って準備させておくという「日本独自の母親の躾」の結果なのです。

 

平和ボケした現代の家庭の子供は「男女同権や平等」を口にし、家長より先に娘が食事をしたり、男より先に食べ物に口をつける風景を時々、見かけますが、賢い家のお母さんたちは、「他人(ひと)の振り見て、わが振り直せ」ということわざのごとく、家に帰ってから子供たちにしつこく躾を繰り返したものなのです。

 

実際、「国賓」として扱われる官僚たちが国の代表として海外の食事会に招かれた時は、「世界共通のルール」として今も大事にされているマナーがたくさんあることを、子供を持つ親は知らないと恥をかくことになるのです。

私が出会った官僚の奥様たちは、こういうことをきちんとできないと出世もできないうえに、海外の領事館で恥をかく人間をトップには決してしませんので、家の中でも「公のルール」で教育をしています。

家の中のルールが、世の中へ出た時に、子供たちが恥をかかないように教えるのが「母親の役目」であり、夫はその見本として「背中で教える」ことが日本の常識なのです。

自分の息子が自衛隊に所属している人たちも多いと思いますが、こういう社会的な所作を知らない親の子供たちは、自衛隊に入ってから、とても苦労しています。

先輩たちに怒られながら覚えた所作も、親の足りない教育を責めたくない子供たちは、親に恥をかかせないように家に帰ると親に合わせますが、自衛隊の幹部になると、必ず、「世界共通の公式の所作」を身につけないと相手に恥をかかせますので、教育担当の先輩たちから「今の子供たちに躾を教えるのはとても大変だ」と聞いています。

お母さんたちは、「自分が育った価値観」だけで子育てをしてはいけないからこそ、賢い経験を積んだ先輩たちからたくさん学んで「子供の躾」をして下さい。

自分の価値観の良い悪いを言う前に、まずは、この言葉を覚えておいて下さい。

「聞くは、いっときの恥、聞かぬは一生の恥」

どんなに自分が「普通」だと思っていても、目の前で自分と違う綺麗な所作をする先輩がいたら、すぐに、「教えて下さい」と言ってから教えてもらって下さい。

30代でも、40代でも、50代でも、60代でも、年齢は関係ありません。

自分にも足りないことがあると思っている人は、素直に他人に聞くことで日々、成長していくものなのです。

私も家で教わったこと以上に、素敵な大人にたくさん会いましたので、その時に、すぐ聞いたことをできるように努力しています。

基本的に、「男所作と女所作は違います」ので、教育する時に気をつけて下さい。

 

「あとで聞こう」と思っている人は、必ず、タイミングを逃しますので、必ず、「失礼ですが、ちょっと教えて下さい。」と会話を遮っても良いので、すぐにその場で教えて貰って下さい。

本当に恥ずかしいことは、知らないことではなく、素直に聞けないことなのです。

人生で学べる相手に出会うチャンスは、そうそう無いので、どうぞ、お気をつけ下さいませ。

賢い先輩たちが口にしないことを、あえて皆さんに教える理由は、こういう躾のひとつひとつが日本を守る男たちの役目だからこそ、戦わずに物事を収める心を教える意味で、どうぞ、賢い先輩たちから教わって下さい。

今日の教えが、日本の未来を導く人たちのためになることを願ってお伝えしています。たくさんの人にシェアして下さいませ。

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