父と母は、私を見捨てなかった
私が赤ちゃんの時、身体は1歳なのに、50歳の大人の記憶と感情と判断力を持っていました。
しかし、それよりも前の「生後100日」の時に、衝撃的なことがあったことを父から教わりました。
二人目の子供が産まれて育児が大変な母は、毎日、父と喧嘩して泣きながら炊事仕事をしているのに、父は母の涙を無視していた毎日だったそうです。
本気で怒ると相手を殺してしまいそうになる「父」なので、喧嘩するのが嫌な「父」は、母が抱いていた赤ちゃん(私)を取り上げて、「いい子、いい子」して抱いていましたが、私は突然、目を開けて、
どうして、二人は喧嘩するの?
過去世でも、何度も喧嘩しているのに、まだ、今世も、喧嘩するの?
と突然、言葉を口にしてから眠りに落ちたそうです。
父は絶句して、この子供が、なぜ、二人の間に産まれてきたかを仏壇を通して「先祖と天」に問いたそうです。
その答えは・・・、
この子が生まれたことで、あなたたち二人は、「過去のカルマ」を超えるところに行けるのですから、これまでの生き方を変えて、新しい生き方をしなさい。
と、言われたそうです。
その時から父は、自分が母に怒った感情をぶつけることができなくなり、苦しくなると私を抱いたまま、壁に頭をぶつけて、額から血が出るまで同じことを続けたそうです。
自分の感情を抑えきれず、
多くの人を殺めた罪を問うかのようにお前が生まれたんだな・・・。
と呟いた父は、自分で「自分の感情を抑える」ことを決めたからこそ、家の中では一切、言葉を話さない父になったそうです。
もし、そうできないなら、この子供は、一生涯、あなた以上の苦しみを体験する人生になりますよ。
と、先祖と神様にも言われたそうです。
父は、初めて今までの自分の人生を振り返り、じっと、見守ってくれている先祖や神様の想いに気づき、言葉にならないまま、一人で泣き続けたそうです。
お前が生まれた意味は、俺を制するためなんだな。
だから、わかった、もう、これからは一生、誰も殺めないし、必ず、人を助けることをするから、このことはお前の兄ちゃんにも、母にも黙っておけな!
と、ご先祖と神様に誓ったことを幼稚園生になった時に教えてくれました。
父の腕に抱かれた赤ちゃんの私は寝ていますが、魂はその言葉をしっかり聞いていたので、父と母のために生きることを一人で誓ったことだけは覚えています。
この世の中に初めて肉体を持って生まれた赤ちゃんたちは、自分の周りにいる人たちの意味がわかりません。
母と祖母の違いも、親と他人の違いもわからないからこそ、誰にでも笑顔で接することができるのが、赤ちゃんなのです。
そんな「口を聞かない父」の急激な変化を不思議に思いながらも、母がある時、一人で泣いていたので、「どうして泣いている?」と母に聞いた時、母はこう答えました。
お前がいろんなものを見えたり聞こえたりしているのに、私は何も感じないし見えないので、お前がどれくらい辛いのか苦しいのかをわかってあげられないのさ。
だから、そのことの「足りない自分」が情けなくて泣いているのさ。
兄ちゃんだったら、いくらでも屁理屈で殴れるけど、お前は辛い時ほど涙を流さず、じっと我慢しているし、誰かが死んでも感情移入しないし、涙も流さず、ただ、じっと、相手の目を見ているお前の心をわかってあげられず、私は辛いのさ・・・。
だから、ごめんね、あんたの気持ちは全然、わかってあげられない母親なので、私は「普通の母親以下だ」と思って泣いていたのさ。
母さ、それは違うと思うよ。
僕は「自分の意思」で見えたり聞こえたりしているのではなく、僕じゃない誰かが、僕の体を通して相手の思いや過去の映像を見せているだけなのさ。
それが先祖なのか、神様なのかわからないけど、どう見ても、この世にいる存在たちではないと思うんだ。
だって、いろんな宗教の神様や仏様に聞いても、誰も僕の苦しさをわかってくれないし、「どうするかは自分で決めて下さい」としか言わないんだよ。
それなのに、母が僕のことで泣かれると、僕は母にも父にも、してあげることがないし、そのうえ、自分で死ぬこともできないように生まれているのに、頼むから僕のことで泣かないで、「まともな兄」を少しでも大事にしてあげて下さい!
「僕の命」は僕のものじゃないと思っているので、必要な時はサクッと死ぬと思うし、そうではなく、誰かのために必要ならば、どんなことをしても神様たちが生かすと思っています。
だから、頼むから僕のことで泣かないで!
父は、母の思いも知っているし、僕のことも知っているので、僕にはあえて怒りもせず、褒めもしないように、自分の感情を抑えることに必死なんだよ!
だから、父が何をしても、それはきっと、「僕という存在」が生まれたことで、一生、苦しむと思うので、頼むから父を支えてあげて下さい。
兄は、唯一、「普通の人間」だから、普通に怒って褒めてあげて下さい。
僕という人間の存在理由が、母と父を苦しめるために生まれてきたなら、僕は生まれた意味がないでしょ!
きっと、僕を生まれさせた神様たちは、父と母とをもっと素敵なところに行けるように、少しだけ僕に「神様の思いを伝える役目」を与えてくれただけだと思うんだ。
だから辛い時は、僕じゃなくて、「父」に話して下さい。
そして、普通の子供に願うことは、どうか、「兄」に願いを託して下さい。
僕はきっと、どうやっても、自分の好きなようには生きられないので、一生、父と母と兄を苦しめるかもしれないけど、僕は父と母と兄が大好きです。
僕が生まれて、ここまでの時間を心から感謝しています。
そして、これからも、どうぞ、よろしくお願いします。
小学4年生の時に、母に言った言葉です。