長ラン・リーゼントの学級委員長 1 初めての学級委員長
この写真は、私の高校2年生の時の写真で、「学級委員長」を2年生と3年生の2年間、やりました。
今の時代ならきっと、あり得ないと思いますが、当時は、学生でも「自己責任」が強い時代でしたので、先生でさえ、クラスの全員が決めたことは反対できない時代です。
私のように「いつも死ぬことを考えていた人間」が学級委員長になったのかをお話ししますので、あなたの子供たちもどういう友達と付き合っているのか、子供達の思いに気づいてあげて下さい。
私の高校一年生のクラスは、まだ、誰が誰なのか名前さえ知らない時に、先生が「お前たちで学級委員長と副委員長を決めて報告しなさい」と言われたので、同じ中学の優秀な男と女が二人で相談して、「自分たちが学級委員長と副委員長をやるけどいいですか?」と入学早々のクラスで発言し、決まりました。
私は、世の中が平安な時は自分ですることがないので、何もしません。
これは幼稚園時代から同じで、誰かが喧嘩を始めると、自分からすすんで仲裁に入る子供だったのです。
高校一年生のクラスの学級委員長と副委員長はとても人間的に素晴らしく、問題が起きたり困った人がいたり、仲間ハズレが起きると、一人一人と真剣に話し合い、先生に問題を持っていく人など出ないくらい、全員が全員のことを信頼し合い、大切にしあっている最高のクラスでした。
しかし、2年生になって進学コースのクラス編成に変わり、新しいクラスに問題児が一人いました。
工業高校に入学して、喧嘩で退学してから私がいる普通高校に入学した20歳の高校生が、同級生だったのです。
同じ町の同級生たちは◯◯さんと呼び、町内でも有名なゴロツキだったようで、誰もが一目、置いた対応をしていました。
最初は見て見ぬふりをしていましたが、あまりに偉そうにクラスを仕切ろうとするので、私はこう言いました。
「なあ、お前。俺たちは同じクラスの同級生だろう?
なぜ、他のヤツらと同じように名前で呼び合わないんだ。
こいつだけ、年を食ってるからって、先輩扱いするのはおかしいぞ!
それ自体が、仲間外れだとわからないか!
こいつもよほどの理由があって、工業高校から普通高校に来たのだから、頭は良いはずだ。
お前たち同級生がそういう態度をすれば、こいつは、当然、つけあがるし、一生、同級生としては付き合えないぞ!
10年後、20年後を考えてみろ!
この短い高校生活を一緒に過ごす人間は、宝だと思うんだ。
だから、こいつをみんなも呼び捨てにしろ!
俺はお前を◯◯と呼び捨てにするけど、いいな!
年は食ってるから学校以外では先輩として対応するけど、このクラスにいる間は、同期の桜でお互いに同等の付き合いをしようじゃないか!
どうだ、俺の提案は?」
ひとつ間違えると、殴り合いの喧嘩になる覚悟はしていたけど、そんなことより、20歳の男の心の中がとっても混乱し、家庭の問題を抱えていたのを感じたので、自分がその思いに寄り添ってあげたいと思って言いました。
しばらく考えたあと、「いいぞ、吉岡の好きに俺を呼べよ。
でも、他のヤツらは子供の頃からの付き合いなので、俺を呼び捨てにするのは無理なんだ。
だって、こいつの兄貴と俺は中学の同級生だから、さすがに兄貴の同級生を呼び捨てにできないだろ。
お前は俺を呼び捨てにしてもいいが、こいつらが俺を「さんづけ」で呼ぶことは許してやってくれ。」
言うことは理屈が通っていたので、私も「それでいい」と答えました。
そこに先生がやってきて、「これから卒業までの2年間を一緒に過ごすクラスだから、お前たちで学級院長と副委員長を決めなさい。決まったら報告しなさい。」と言って、教室を出て行きました。
ザワザワ、女も男も誰にするかをヒソヒソ話していましたが、どうやら20歳の男が陰でみんなの思いを集めているようでした。
20歳になっても学級委員長になりたいのならなればいいし、威張りたい奴には威張らせてやるさと思っていました。
全員が、推薦で誰かの名前を呼び、多数決で決めることになったので、前の列から一人一人が名前を言いました。
すると、三人目の男が「吉岡がいい!」と言います。
「お前、アホじゃないか!
俺が学級院長の器かよ!
優等生ぶっている奴らと、一緒にするな!
俺なんか、最低のお掃除係でも、給食係でもいいぞ!」
と叫んだのに、次々に、私の名前が上がり、簡単に過半数を超えてしまいました。
「さあ、学級委員長の挨拶!挨拶!」と全員コールが上がり、20歳の男が私にこう言いました。
「お前が一番やりたくない役目だろう。
だから、俺が選んでみんなを説得したんだ。いいきみだ!」
頭にきながらも、選ばれたので壇上に立ち、私はこう言いました。
「お前たち、俺で本当にいいのか?
※全員、うなづく。
じゃあ、やってやるけど、俺が決めたことに一切、文句を言うなよ!
もし、俺が決めたことに文句を言った奴は、すぐに次の学級委員長と交代するぞ!
それでもいいのか!
※全員、うなづく
じゃあ、俺が最初に決めることは、ひとつだ。
俺の「副官」になる副学級委員長は俺が決めるぞ!
※全員、ウンウン
◯◯雅子、前へでろ!
私が呼びつけた女性は、私の家の向かいに住む農家の娘で、親同士も知り合いだし、幼稚園の頃から一緒に育ってきた絶対に信頼のおける女性です。
だから、本人の意思など確認しません。
おい、雅子!
お前が今日から副学級委員長をやれ!
これは俺の命令だ!
いいな、みんなこれがお前たちが選んだ人間の結果だぞ!
いいのか!
※全員、自分じゃなかったと安心したので笑顔でうなづく
じゃあ最後に、副学級委員長に伝えておく。
俺は、一切、「生徒会」には行かないからな!
お前が代理で出席しろ!
どうせ、学校からの文書や命令を伝えるだけだから、わざわざ俺が行く必要などないからだ。
もし、問題が起きたらいつでも言って来い!
俺が生徒会に殴り込んでやるから、安心しろ!」
幼稚園時代からの同級生の女の子は、諦めた様子でした。
子供の頃から言い出したら聞かない私の性格を一番知っているし、同級生を一番、大事に思って動く人間だということも、一緒に過ごした小学生、中学生の体験で、彼女は全て知っているからです。
初めての生徒会に行かず、副学級委員長を行かせた私に、生徒会長が文句を言いにきました。
「なぜ、君は、決めたられたことを守らないんだ!
それは生徒としておかしいんじゃないか!!!」
「お前は学校の回し者か!
お前は生徒会長に選ばれた立場で、俺に文句を言いたいのなら、お前の気持ちで本音で俺に文句を言えよ!
先生の代わりに喋るだけなら、お前なんかいらない!
お前に文句を言った先生は、誰だ!
名前を言え!俺が、抗議してやる!」
でも・・・、だって・・・とゴチャゴチャ言いましたが、結局、最後に生徒会長は、
「俺のほうで来ていることにするから、先生の問題にならないように、うまくやってね!」と言いました。
「バカ言うんじゃない!
俺が俺の意思で決めたことに文句をつけるなら、俺は学級委員長なんてやめてやる!
自分たちで決めろと言った先生が、生徒の決めたことに文句を言うのは、筋違いだ!
そんなこともわからんのか!馬鹿者!」
生徒会長は、逃げるように帰って行きました。
2年間、卒業までいろんなことがありましたが、同窓会で会った20歳の同級生と飲んだお酒が最高に美味しかったです。
また、ご報告します。
以上