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漁師の息子が100万円持ってやってきた! その2

北海道の釧路市で、漁師だけが行く寿司屋で食べた時の話の続きです。

前の第一話を読んでいない人は、👉こちらからお読み下さい。

落ち着いて、椅子に座り直し、お父さんと横に並んで、日本酒を頼み、乾杯してからのお話です。

 

やあ、すまんなあ。旅行か何かで釧路まで来てくれたのに、俺のバカ息子が喧嘩をふっかけてしまって、本当にスマン。

今日の飲み代も食い物代も、全部、俺が払うから気が済むまで、ここで飲んで食べていってくれ!

俺もこの釧路で生まれ育って、子供の頃から親父の漁のお手伝いをしてきたから、1回の漁で2000万円以上稼ぐ漁師になれたんだ。

だから、親父には本当に感謝しかないんだ。

このバカ息子は、俺のそういう気持ちもわからんで、勝手に、俺が話している人間に喧嘩をふっかけるバカもんだから、俺も本当に親として恥ずかしいわ。

本当に、すまん、すまんなあ・・・

と、椅子を降りて、濡れたコンクリートに土下座しようとしたので、さすがに私はお父さんの肩を掴んで、土下座をやめさせました。

おい、若いの!

お前、本当にサラリーマンか?

なんだ、その力は!?

なんで、サラリーマンが、そんな力があるんだ!?

お前の仕事は、そんなに力を使う肉体労働なのか?

いいえ、お父さん、私のこの力の強さは、きっと、子供の頃からコメ農家の親父の手伝いをしていたので、高校1年生でコメ1俵60kgを担いて仕事をしていたし、高校2年生になった時には、両手の握力がどちらも70kgになったので、学校で一番の握力がありました。

だから、秋になると納屋の中で60kgのお米を500俵も移動させる仕事を手伝っていたので、その時についた筋肉がまだ残っているんだと思います。

最近は、だいぶ力は無くなったと思いますが・・・。

いやいや、若いの!

お前の力は機械で鍛えた筋肉じゃなくて、筋肉の中にもっと強い筋肉が入っているぞ!

そういう筋肉が付くには、重い物をずっと、持ち続けていないとつかないので、漁師でも網を1時間以上、引っ張り続ける時に付く筋肉と同じだ!

お前、すごいな!

「本気のコメ農家」に初めてあったので、俺、尊敬するわ!

お前みたいにガタイがデカくて、そういう強い筋肉を持っていたら、お前を何発殴っても、お前は、きっと、刃物か何かでコイツらを刺し殺すだろ?

お前のさっきの目は、ヤバいぞ!冷静すぎる!

ああいう目をした奴と昔、喧嘩をした時もあったが、いくら殴っても、目が死んでおらんので、俺が一瞬でも気を許したら、殺されそうで謝って負けたことがある。

そいつと同じ目をしているので、お前、相当、ヤバい奴だな?

ヤクザか?それとも・・・。

いいえ、お父さん、私はれっきとしたサラリーマンで、スーパーの店員です。

いや、違う!!!

お前は、絶対に何人も、これまで人を殺してきたろ!!

俺が唯一、戦って自分から謝って負けた相手は、もともとヤクザで、本州のどこかで人を殺して逃げてきた奴だったのさ。

だから、お前の目はそいつと同じだとすぐにわかったさ。

正直に言えよ!

お前、何人、今まで刺し殺してきたんだ!?

お父さん、私はそんなに何人も人を殺してませんよ!

逆に、女たちには、いつも殺されてますがね・・・・(^^)

うまい!それ、ナイス!

おい、酒をもっとじゃんじゃん、持ってこい!

俺、今日、コイツと飲んで、ここで死んでも悔いはないわ!

こんな熱いコメ農家の奴にあったこともないし、こんなにヤバい奴は面白しろすぎるから、冥土の土産話になりそうだ。

さあ、酒だ!酒だ!

さっき、喧嘩腰で向かってきた息子は、私の後ろに立ったままでいましたが、息子が自分から口を聞きました。

ねえ、父さん、俺も父さんの横に座っていいかい?

バカか、おまえは!!!

俺に恥をかかせたから、俺が今、こうしてこの男を「客人」として話しているのに、恥をかかせたお前が俺の上座に座るとは、ありえんだろ!

お前は、一番、端の席で座って待っていろ!

それとよ、さっき、息子の喧嘩に加勢しようとしたバカもんたち!

お前たちも、「同罪」だからな!

今度、俺に恥をかかせたら、この釧路で漁師をできないようにしてやるから覚悟しておけよ!

 

男同士の勝負ってもんは、力だけじゃないんだぞ!

だから、お前たちは「半人前」なんだ!

大した漁もできない奴らが、大人の喧嘩に入るとは、ありえんだろ!

飯も食わずに、そこに全員、立っていろ!

俺とこの人の話しが終わって、この人が店を出るまで、ずっと、そこに立っていろ!

もし、一回でも座ろうもんなら、許さんぞ!

船の上で網を引いている時に、トイレに行きたくなっても、手は離せないだろ!

それは、一人が手を離すと、100kg近い重さが周りの奴にのしかかるので、俺たち漁師はどんなに辛くても、漁の最中は、手を離せないんだ!

だから、網を弾きながらしょんべんするヤツもいるし、クソをしてるヤツもいるが、絶対に、引いてる手を緩めたらいかんのよ。

一人が力を抜いたせいで、シケた冬の海の落ちて死んだヤツもいるんだぞ!

漁師同士は、誰が力を抜いたか、すぐにわかるが、誰もそれは口にしないんだ。

その理由は、漁師は、引く力が無くなった時は、「船を降りる時だ」と、全員が知っているからさ。

お前たちの親父たちと一緒に船に乗った時に、若い俺たちが親父の力が足りない分を支えていたことを聞いたことは、ないのか!!!

バカもん!!!

漁師は、自分の船にあがっている時は、自分の体力を考えて漁をするが、大きな船に乗った時は、夜中で眠たくても、腹が減っていても、クソをしたくても、船長が「網を引け!」と言われたら、Tシャツ1枚で冬の海に出て、網を引かんといかんのさ。

魚は俺たちを待ってはくれんから、魚の動きに合わせて生きるしかないんだぞ!

「魚に合わせて生きる」ってことは、この世の中も同じで、先輩たちの動きを見て学んで、自分の立ち位置をしっかり踏まえて生きることを船の上で教わるために、漁師の学校の最初に、大きな船に乗せられるだろ!

お前たちが学校へ行けるお金も、遊ぶ金も、俺たち親父が命をかけて稼いできたのに、親父が大事にしているものもわからんで、勝手に、人の喧嘩に入ろうとするなんて、最低だわ!

俺は釧路の漁師を代表して、お前たちが恥ずかしいわ!!

もう、お前たち、今日限り、漁師をやめろ!

お前たちの親父に俺が言えば、きっと、すぐにお前たちはクビになるぞ!

わかってるよな・・・・(^^)

お父さんて、そんなに偉いんですか?

ま!偉くはないが、前の「漁業組合長」を長くやっていたので、俺に逆らう奴はおらんのさ。

だってな、船ごとに、年間、どれくらいの漁をしていいかを決められるのは、「漁業組合長」だけだから、誰も俺には逆らえんのさ。

ふーん。農家で言えば、農業委員会かなあ・・・いやあ、そんなに力はないしなあ・・・農協のボスかな・・・いやあ、違うなあ・・・

生産現場で最も力を持っているのは、農家は一家の主人(あるじ)なので、「漁業組合長」にはかないませんわ!

おみそれしました!元、「漁業組合長」!!

若いの、今、俺に「漁業組合長」って、言ったか?

それはな、俺が現役の時なら言ってもいいが、今は引退したので、そう呼ぶと、現在の「漁業組合長」に恥を欠かすから、絶対に、呼んではいけないのが、暗黙のルールなんだ。

ま、ヤクザで言えば、「組長」よ。

雇ってる奴らの全員に飯を食わさんといかんし、仕事でたくさん稼がせてやって、思いっきり遊ばせてやらんと、まともな仕事はせんだろう?

だから、「組合長」は、「組長」と同じよ。

この釧路漁港で働く全ての従業員たちに飯を食わせているのは、俺の采配だったから、コイツらの親父たちも飯が食えたわけよ。

たまに仕事がノロくて稼ぎが悪い奴がいたら、自分が釣った魚をそいつの船に乗せてやって、セリをかける前の計りの時に、そいつの上がり(売上)にしてやるのさ。

そのやり方は、ヤクザも一緒だと、地元のヤクザから聞いたなあ。

あいつ(ヤクザ)は、俺の中学の同級生だから、お互いにいいことも悪いことも全部、教えあうので、この釧路の裏も表も全部の「金の流れ」は知ってるぞ!

だから、お前たちに漁師を続けさせるか、この釧路から追い出すかは、簡単なんだ。

だから、この客人がお帰りになるまで、そこの全員、立って待ってろ!

あとで、思いっきり殴ってやるから、覚悟しておけよ!

ただの日本酒大好きなオヤジだと思ったら、結構、ヤバい人でしたが、なぜか、私は昔からこういう人たちに好かれるようで、自分でも不思議でした。

真面目な農家の次男坊で、真面目な一部上場企業のサラリーマンなのに、なんでなんだろうと、いつも思っていました。

この続きは、明日です。

 

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