備蓄米を放出しても「コメの値段は下がらない」 国内屈指の利益団体と農水省のカラクリ
<備蓄米の9割はJA農協(全農)に。国民は、JA農協が「儲かる値段」でコメを買わされ続けるだけ…。農水省の備蓄米放出の本当の目的とは>
石破茂首相が政府備蓄米を追加放出するように農林水産省に指示した。放出は7月まで毎月実施する。今度こそコメの値段は下がるのか。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、「政府備蓄米の売り先はJA農協だ。JA農協が卸売業者に販売する相対価格を決めている。この相対価格が下がらない限り、小売価格は下がらない」という──。
備蓄米放出後も価格上昇が止まらないワケ
備蓄米を21万トン放出しても、コメの値段は下がるどころか上昇している。
農水省の調査でも13週連続して値上がりして3月末には5キログラムで4206円に高騰している。1年前の2000円程度の水準から倍増である。
とうとう石破総理の指示で、農水省は7月まで10万トンずつ備蓄米の放出を行うことを決めた。私にはマスコミからこれでコメの値段は下がるのかという問い合わせが来ている。
私の答えは、「3400円くらいには下がるが、それ以下にはならないだろう」というものだ。エコノミストの株価や為替の予想と同じで当たるかどうか分からないが、根拠を示しておこう。
私は昨年から、今回の米価上昇は、24年産米を昨年8~9月に「40万トン先食い」した結果、本来同年産が供給される24年10月から今年9月までの「供給がその分減少したからだ」と説明してきた。
現に今年の2月まで民間の在庫は前年同月比で40万トン程度減少している。
政府が既に放出した21万トンに加え、4月、5月に10万トンずつ放出すれば、40万トンの不足は解消される。消費者が購入するコメの値段は1年前の2000円程度まで下がるはずである。
しかし、既に21万トン放出したのにコメの値段は逆に上昇している。備蓄米を追加放出してもコメの値段は下がりそうにない。
それは、農水省の備蓄米放出に米価を下げないカラクリが巧妙に用意されているからだ。
JAの「仕入れ値」と「売値」
一つは、消費者に近い卸売業者や大手スーパーではなく、米価を低下させたくない「JA農協(全農)に備蓄米を売り渡した」ことである。
その量は、放出された備蓄米の9割を超える。
米価は、「需要と供給」で決まる。
備蓄米を放出しても、その分JA農協が卸売業者への販売を減らせば、市場への供給量は増えない。
また、JA農協が備蓄米を落札した値段は60キログラム当たり2万1000円である。これより安く売ると損失を被るので、これ以上の価格で卸売業者に販売する。
もう一つは、「1年後に買い戻す」という前代未聞の条件を設定したたことである。米価の上昇によって、農家は25年産の主食用米の作付けを増加させることが予想される。
しかし、7月まで売り渡す予定の備蓄米61万トンと同量を市場から買い上げ隔離すれば、1年後も米価は下がらない。
そもそも、「放出して買い戻す」のであれば、市場への供給量は増えない。
備蓄米の放出には、「米価を下げない」という農水省の意図が隠されているのだ。
卸売業者がスーパーや小売店に販売するコメは主としてJA農協から仕入れている。
その時の価格が「相対価格」と言われるもので、現在60キログラム当たり2万6000円まで高騰している。
農家が「米価が上がった実感がない」と語るワケ
相対価格からJA農協の手数料を引いたものが生産者(農家)価格となる。
農家は、まずコメをJA農協に引き渡した時に概算金という「仮渡金」を受け取り、JA農協から卸売業者への販売が終了した後、実現した米価(相対価格)を踏まえて代金が調整される。
つまり、昨年の出来秋時の60キログラム当たり1万6000円程度の概算金から現在の2万6485円(2025年2月)まで上昇した部分は、24年産米の取引終了後に追加払いされることになる。
今の時点で、農家が「米価が上がった実感がない」と言うのは当然である。
価格を操作しているのは「JA農協」
卸売業者は相対価格をベースに自らのマージンを加えてスーパーや小売店に販売する。
相対価格が下がらなければ、小売価格も下がらない。
相対価格を操作できるのは「JA農協」である。
その市場シェアは減少したとはいえ、5割を占める。
この独占事業体は、在庫量を調整(増や)して市場への流通量をコントロールする(減少させる)ことで、相対価格を高く維持できる。
農水省は、JA農協以外の流通ルートが増えたから米価が上昇していると説明しているが、これは全くの虚偽である。米価を高く操作してきたのは、JA農協そのものである。
その手段として利用してきたのが「在庫調整」だった。
JA農協は米価を操作したいために、2005年には全国米穀取引・価格形成センターを利用して架空取引によって米価を高く設定する「全農あきた事件」(※編集部注)を起こしたし、2011年には価格を操作しやすい相対取引に移行するために同センターへの上場を減少し廃止に追い込んでいる。
また、農家にとってはリスクヘッジの機能を持つ先物取引に反対してきた。公正な価格が形成されると価格操作ができにくくなるからである。
農水省の主張は経済学的にもナンセンスである。
「JA農協」という独占事業体の市場占有度(独占度)を高めれば、価格は下がると言っているのである。
他の事業者の市場参入を増やさなければ、米価は下がらない。さまざまな事業者がコメの集荷に参入することは、コメ市場をより競争的なものとし、JA農協の独占的な価格形成を防止する効果を持つ。
※2005年1月に発覚した全国農業協同組合連合会秋田県本部(全農あきた)の「米横流し事件」と「米架空取引事件」。
全農あきたの子会社のパール秋田が、取引先の経営不振により2億5100万円が不良債権化した。
「パール秋田」は赤字に陥ることを防ぐため、農家から販売目的で預かっていたコメを横流しして「簿外販売」し、取引先から「債務弁済」があったように装い利益を計上した。
また、全国米穀取引・価格形成センターにおいて、全農あきたはパール秋田等との間で架空取引を行い、パール秋田等に高値で落札させ、米価を高く操作した。
追加放出でやむなく20%は下げる
ただし、JA農協もある程度相対価格を下げなければ、政府から何のために備蓄米を放出したのかという批判を受ける。しかし、備蓄米を2万1000円で買っているので、それ以下に下げると損をする。
つまり、現在の相対価格2万6000円を2万1000円に20%減少させることが限度となる。
同じ割合で小売価格が低下すると仮定すると、それは3400円となる。
今回の備蓄米放出には、JA農協救済というもう一つのカラクリがある。
追加放出はJA農協の在庫積み増しが目的
7月まで10万トンずつ放出すると、農水省は合計して61万トンの備蓄米を放出することになる。
今回JA農協の集荷量が減少したことを、農水省は意図的に問題とした。農水省自身の調査で否定されたが、様々な業者が集荷に参入したので、米価がつり上がったという虚偽の主張を展開した。
既に放出した21万トンの根拠は、JA農協と卸売業者を合わせた民間在庫量が減った40万トンを補填(ほてん)すると言うのではなく、JA農協の集荷量が21万トン減ったからだというものだった。この時点で、「JA農協救済」という疑いが持たれるものだった。
米価維持のためJA農協が在庫調整すれば、61万トンのかなりの部分は市場への供給量の増加ではなく、JA農協の在庫積み増しとなる。
JA農協の独占力が向上し、卸売業者との相対価格交渉に有利に働く。
さらに、農水省は1年後に61万トンを買い戻す。
これだけの量を市場から買い上げ隔離すれば、農家が25年産の生産を相当増やしたとしても米価は下がらない。JA農協は米価操作をやりやすくなる。
追加放出されるのは「古古米」
最後に、農水省は毎年20万トンを備蓄米として玄米で積み増ししている。
備蓄米として放出した21万トンは、24年産米が中心である。
4・5月に放出されるのは、23年産米の古米が中心となる。
さらに、6・7月に放出されるのは、22年産米の古古米となる。
もみ貯蔵なら食味は維持されるが、技術が進歩しているとしても、玄米の保管で品質や食味はどうなのだろうか?
70年代から80年代初めに、政府が過剰米在庫を抱えていたころ、古米は食べられても古古米はかなり食味が落ちた。
古古米を放出しても消費者が食べなければ、流通量を増やして米価を下げることにはつながらない。
タイ等から大量のインディカ種のコメを輸入して消費者に嫌われて廃棄処分した平成のコメ騒動の二の舞になる。
輸入拡大を招き、自らの首を絞めたJA
石破総理が本気でコメの値段を下げようとするなら、無税で輸入しているミニマムアクセスのうちの10万トンの主食用輸入枠(SBS米)の輸入量を拡大するか、キログラム当たり341円という枠外輸入の関税を引き下げるかして、ジャポニカ米の輸入量を増やすしかない。
「JA農協」は猛反対するだろうが、身から出た錆びとはこのことだろう。
コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由…政治家・農水省・JA農協の歪んだ関係
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<最も効果的な食料安全保障政策は、減反廃止によるコメの増産と輸出である。欧米にはない「特殊な組織」であるJA農協が「減反政策」で発展するカラクリとは?>
なぜコメの値段は下がらないのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、「価格高騰の根本原因は、減反政策による生産量の減少だ。価格を下げるには減反政策を廃止すべきだが、JA農協がある限り、それはできないだろう」という──。
ウソをつき続ける農林水産省
農林水産省は昨年夏、長年続いた減反による生産量の減少と猛暑の影響で深刻なコメ不足を招いた際、卸売業者がため込んでいるという虚偽の主張を行い、何の対策も講じなかった。
昨年8月には「新米が出回ると価格が低下する」と主張したが、価格は逆に史上最高値まで上昇している。
価格が上がるのは、需要に対して供給が足りないからだ。
この経済学の基本を無視して、農林水産省は投機目的で業者が21万トンものコメをため込んでいるからだという虚偽の主張を繰り返している。
農林水産省がかたくなにコメ不足を認めないのは、備蓄米を放出して米価を下げたくないからだ。
官邸筋から言われてしぶしぶ備蓄米放出に応じたものの、卸や小売業者ではなく集荷業者のJA農協に売却したり、1年後に買い戻す条件を付けたりして、放出しても米価が下がらない仕組みを考えた。
それにしても、国民・消費者を敵に回してまで、なぜ農林水産省は米価を下げたくないのか?
それは農家のためではない。
高い米価で利益を得ている「特殊な組織のため」である。
コメ農家は価格高騰に困惑している
肥料等が高騰する中で、農家が今回の高米価でやっと一息ついているという報道がある。
これはウソである。
赤字だったのは1ヘクタール以下の零細農家だ。この規模の農家は肥料が高騰する以前から何十年も赤字で米作を続けてきた。
これらの零細な農家は戸数ではコメ農家の52%を占めるが、水田面積ではわずか8%のシェアしかない。
数が多いので、取材しようとするとこれらの農家に当たってしまうが、これらはもはやコメ農業を代表するような存在ではない。
逆に、コメ農業を担っている農家らしい農家、「主業農家」は高米価に戸惑っている。
米価上昇で輸出が困難となる一方で、高関税を払ってまで外米が輸入されるようになり、彼らにとっての国内外のコメ市場が縮小してしまう懸念があるからだ。
実際、今年1月だけで昨年1年間分の368トンを上回る523トンの外国米が輸入される事態となっている。
高米価はJA農協のため
米価が下がっても、欧米のように財政から直接支払いすれば、「農家の所得」は確保できる。
これがOECDをはじめ、世界中の経済学者が支持する農業政策である。農家にとっては、高い価格でも直接支払いでも、収入には変わらない。
なぜ、日本の農政は価格、特に高い米価に固執するのか? それは欧米にはない “特殊な組織” があるからである。それはJA農協だ。
JA農協は、肥料で8割、農薬や機械で6割のシェアを持っている。
このような巨大な独占企業が、独禁法の適用除外を受け、農家に独占的な高価格を押し付けている。そもそも農協は農家が肥料等を安く購入するために作られた組織だった。
しかし、肥料価格が高くなると農協の手数料も高くなる。
農家の中でも零細な農家は、言われるままに高い資材価格を農協に払っている。JA農協は農家の利益ではなく自己の利益のために活動しているのだ。
とっくの昔にJA農協は農家のための協同組合ではなくなっている。
米価が高くなれば、JA農協の販売手数料も増える。しかし、高米価で得るJA農協の利益は、その程度のものではない。
農業は衰退しているのに、JA農協は日本有数のメガバンクとなり、日本最高・最大級の機関投資家に発展した。このことに高米価・減反政策と関係しているのである。
| 順位 | 地方銀行 | 預金量(億円) | 貸出金(億円) | |||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 三菱UFJ銀行 | 200兆0645億円 | 103兆4449億円 | |||
| 2 | ゆうちょ銀行 | 192兆8007億円 | 6兆8483億円 | |||
| 3 | みずほ銀行 | 154兆4078億円 | 87兆2803億円 | |||
| 4 | 三井住友銀行 | 153兆4944億円 | 101兆1247億円 | |||
| 5 | JAバンク | 108兆3824億円 | 23兆5398億円 | |||
| 6 | 農林中央金庫 | 62兆8519億円 | 16兆9907億円 | |||
| 7 | 三井住友信託銀行 | 37兆1518億円 | 33兆7731億円 | |||
| 8 | りそな銀行 | 35兆0966億円 | 23兆8537億円 | |||
| 9 | 信金中央金庫 | 33兆0644億円 | 8兆8583億円 | |||
| 10 | 横浜銀行 | 17兆9716億円 | 14兆6129億円 | |||
実は、私も農林水産省にいるときは、このカラクリに気が付かなかった。退職して農業・農政を全体的に見るようになって、やっとわかったことである。
JA農協の正体
終戦直後の食糧難の時代、政府は「食糧管理法」によって農家からコメを買い入れ消費者に安く提供してきた。配給制度と言い、貧しい人もコメが買えるようにしたのである。
しかし、農家は高い値段がつく「ヤミ市場」にコメを流してしまう。
そうなると、配給制度を運用している政府にコメが集まらない。
このため、農林省は戦前の「統制団体(ヤクザ)」をJA農協に衣替えして、農家からコメを集荷させ、政府へ供出させようとした。これがJA農協の起こりである。
食糧管理制度が存続している間、農協は95%程度のシェアを維持していた。
農協(農林中金)は政府から受け取る巨額のコメ代金を農家に渡す前にコール市場で運用して大きな利益を得た。
ヨーロッパやアメリカの農協は、酪農、青果等の作物ごと、生産資材購入、農産物販売等の事業・機能ごとに、自発的組織として設立された専門農協である。
これに対し、JA農協は、作物を問わず、全農家が参加し、かつ農業から信用(銀行)・共済(保険)まで多様な事業を行う “総合農協” である。欧米に金融事業等なんでもできる農協はない。
日本でも銀行は不動産や製造業など他の業務の兼業を認められていない。日本に銀行事業と他の業務の兼務が認められている法人は、JA農協(と漁協)以外にない。
「JA農協」は本来農業者のための協同組合なのだから、その組合員は農業者である。
しかし、農協には、地域の住民であれば誰でもなれる「准組合員」という独自の制度が認められた。
正組合員と異なり、准組合員は農協の意志決定には参加できないが、農協の信用事業や共済事業などを利用することができる。
「准組合員」は他の協同組合にない制度である。これは、利用者が組織をコントロールするという協同組合原則からは完全に逸脱している。
「減反政策」でJA農協が発展するカラクリ
米価が高くなると、コストの高い零細な兼業農家はマチで高いコメを買うより、赤字でも自分で作った方が安上がりとなるので、コメ産業に滞留した。
酪農家の84%が農業で生計を維持している主業農家であるのに、コメ農家の74%は副業農家で、主業農家は8%しかいない。
農家全体でみると、多数のコメ農家の存在を反映して、2003年当時で農業所得に比べ「兼業所得」は4倍、年金収入は2倍である。
これらは、JAバンクに預金された。
地価高騰による宅地等への巨額の農地転用利益もJAバンクに預金された。
農地面積は1961年に609万haに達し、その後公共事業などで約160万haを新たに造成した。770万haほどあるはずなのに、430万haしかない。
食料安全保障に最も重要なものは「農地資源」である。
日本国民は、造成した面積の倍以上、現在の水田面積240万haを凌駕する340万haを、半分は転用、半分は耕作放棄で喪失した。
160万haを今転用したとすれば、農家は少なくとも200兆円を超える転用利益を得たことになる。
耕作放棄の多くは生産条件の悪い中山間の傾斜農地等である。しかし、転用されているのは、平場の優良農地である。食料安全保障からは後者の方がはるかに重要なのに、農家が転用で利益を上げていることはほとんど報道されない。
コメの値段が安いので耕作放棄するという、お涙頂戴式の報道ストーリーに合わないからだ。
こうして、JAは預金量100兆円を超すメガバンクに発展した。
減反で米価を上げて兼業農家を維持したこととJAが銀行業と他の事業を兼業できる日本で唯一の法人であることとが、絶妙に絡み合って、JAの発展をもたらしたのだ。
減反政策の非国民性
減反は、国民の税金から約3500億円の補助金を出してコメの生産量を減らし、米価を上げるというものである。
備蓄も米価維持のため20万トン市場から買い上げ隔離するもので、毎年500億円ほど財政負担がかかっている。米価が高いので輸入せざるをえないミニマムアクセス米にも500億円。
国民は合計4500億円を毎年納税者として負担して、かつ消費者として高い米価を払うことで二重の負担を強いられている。
医療のように財政負担で消費者負担を軽くするという政策とは真逆である。
「減反」は水田面積の4割に及ぶ。
また、コメ生産を減らすことが減反の目的なのだから、コメの面積当たり収量(単収)を増加させる「品種改良」もタブーになった。
今では、カリフォルニアのコメ単収(生産性)は日本の1.6倍、1960年頃は日本の半分しかなかった中国にも追い抜かれている。
仮に、日本の水田面積の全てにカリフォルニア米ほどの単収のコメを作付けすれば、長期的には1700万~1900万トンのコメを生産することができる。
単収が増やせない短期でも、1000万トン程度のコメは生産できる。国内仕向けを650万トンとすれば350万トンを輸出できる。
今回のように40万トンコメが不足したとしても、輸出量をその分減少すれば、問題は起きない。
食料安全保障のために「減反」を廃止せよ
1960年から世界のコメ生産は3.5倍に増加しているのに、逆に日本は補助金を出して4割も減少させた。
今輸入が途絶すると、戦中戦後の配給基準量、2合3勺の半分しか供給できない。半年後にほとんどの国民は餓死する。
最も効果的な食料安全保障政策は、「減反廃止」によるコメの増産と輸出である。
平時にはコメを輸出し、食料危機時には輸出に回していたコメを食べるのである。
平時の輸出は、財政負担の必要がない無償の備蓄と同じ役割を果たす。4500億円の財政負担は解消される。主業農家への直接支払いは1500億円で済む。国民は納税者としての負担を減少し、なおコメを安く消費できる。食料自給率は60%以上に上がる。
農政トライアングルの形成
減反・高米価こそJA農協繁栄の基礎であることは先に述べたとおりだ。
この既得権に依存しているのが、農林水産省や農林族議員なのだ。
私は、『農協の大罪』(宝島社)という著書のなかで、JA農協、農林水産省、農林族議員の利益共同体を “農政トライアングル” と呼んだ。
これは極めて強力な利益共同体だった。
農協は多数の農民票を取りまとめて「農林族議員」を当選させ、農林族議員は政治力を使って農林水産省に高米価や農産物関税の維持、農業予算の獲得を行わせ、農協は減反・高米価等で維持した零細農家の兼業収入を預金として活用することで日本トップレベルのメガバンクに発展した。
しかし、最初から農林水産省はこのように堕落した組織ではなかった。
1900年に農商務省に入った柳田國男は、米価を上げて農家所得を上げるのは貧しい工業労働者等を苦しめるので、生産性向上によってコストを下げ農家所得を向上させるべきだと主張した。これは、1961年の農業基本法まで農政本流の考え方だった。
米価を上げると零細農家を温存してしまい、コメ生産の合理化は進まない。
食糧管理制度時代、政府によるコメの買入制度を利用してJA農協が自民党農林族とともに行った生産者米価引上げの大政治運動に、農林水産省の役人は強く抵抗した。構造改革を進めようとする彼らにとって、JA農協は味方ではなく敵だった。
しかし、コストを下げるために農家一戸当たりの規模を拡大しようとすると、農地面積が一定の下では農家戸数を減らすしかない。
そうなると農業の政治力が減少して天下りのために必要な農業予算が獲得できなくなると考える役人が増えてきた。
かつては農協に天下ることを忌避する風土が農林水産省にあったが、今や農協は同省にとって重要な天下り先となっている。
こうして「農政トライアングル」が誕生した。
「減反廃止」を潰す自民党農林族
2008年、当時農水大臣だった石破茂内閣総理大臣は、「減反に参加するかどうかは農家の自由とし、参加した農家にだけ補助金を交付する」という減反見直しを提案した。これは後に民主党が実現した「戸別所得補償」と同じ仕組みだった。
しかし、この微温的な改革案に対しても、米価低落を心配する自民党農林族は大反対して潰した。
2013年安倍首相が主張した「減反廃止」が本当なら米価は暴落する。こんな抵抗では済まない。
自民党農林族だけでなく農業関係者すべては、安倍首相の発言がフェイクニュースだとわかっていた。
当時は林農相以下農水省は、農協の機関紙である日本農業新聞とともに減反廃止をこぞって否定していた。騙されたのは、農政に素人のマスメディアだけだった。
ところが、今では江藤農相をはじめ農水省自身が減反は廃止したというフェイクニュースを主張している。
悪事はなくした方がいいと判断したのだ。情けないことだ。
今回のコメ騒動で、農林水産省は農業関係者、中でも「JA農協の利益」しか考えていないことが、一般の国民の目にも明らかになっただろう。
農協と農水省を解体すべき
事態を改善する方法として、三つの道がある。
一つは、JA農協の解体である。
農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企業等協同組合法の4つの協同組合法を全て廃止して、「共通の一般協同組合法」を作ることである。
農協法の前身の「産業組合法」は、そのようなものだった。
新しい協同組合には、金融事業を兼務することは認めない。
農業金融のための協同組合が必要なら、今のJA農協から金融部門を独立させ、一般協同組合法の下で、農業信用協同組合を作ればよい。
信用組合等があるので必要なのかどうか分からないが、「准組合員」の金融機関が必要なら、地域信用協同組合を作ればよい。これによって零細な兼業農家を温存するために、減反・高米価を続ける必要はなくなる。
もう一つは、農林水産省の解体である。
JA農協が政治力を発揮できるのは、同省の存在があるからである。これがなくなれば、「農政トライアングル」は消滅する。
戦前の農林省は、小作人のために地主階級の利益を代弁する帝国議会と対立した。
70年頃まで構造改革を主張する同省は零細農家を温存したいJAと対立した。
農政トライアングルの一員となり、国民の利益ではなく既得権者の利益しか考慮しなくなった農林水産省の終活をするときが来た。
これは農業振興のためにもなる。
大手食品会社幹部に、オランダはなぜ世界第2位の農産物輸出国に発展したのかと聞かれ、私はとっさに「農業省を廃止し経済省に統合したからです」と答えた。
オランダは政府による無償の農業技術指導を廃止して民間のコンサルタントによる技術支援に移行した。
技術の高い農家は、お金を払ってでもより高い技術指導を求める。
高い技術指導を受けるためには、収益が高くなければならない。
そうした農家の技術や収益は技術指導でさらに高まる。
農業を弱者だとか特別だとする発想では、農業は発展しない。
オランダは高い技術で世界トップクラスの輸出国となった。
重要なことは、国民が食料・農業政策にもっと関心を持つことである。
その関心が薄れた結果、食料・農業政策は国民の生命・健康に大きな影響を与えるものなのに、農政トライアングルの狭い世界だけで決まられてきている。
今回のコメ騒動でも、これだけ国民生活に影響を及ぼしているのに、米価を下げたくないという視点が農政トライアングルにとっては最も重要となる。
国民の多くは、戦前のように農家は貧しいと思っているので、農家所得向上のために高米価や補助金が必要だと言われると納得してしまう。
しかし、「農家だから貧しい」という現象は1960年代半ばに終わっている。
所得の低い一般国民の税金で所得の高い農家への所得補填が行われている。
辛い汚い作業のはずの稲作も、今では機械を使うので標準規模の1ヘクタールの水田なら年間27日働くだけで十分だ。農家特にJA農協の利益は最重要事項だが、こども食堂やフードバンクを利用する人たちのことを農政は考慮しない。
減反・高米価政策に政治は無関心
かつて自民党農林族は生産者米価引上げを政府に強硬に要求した。
政治の暦の中で7月はまさに米価の季節だった。しかし、江藤氏など自民党農林族が悪いからといって、立憲民主党、国民民主党、共産党がましかというと逆である。
これらの野党も、いまだに農業保護の視点を最優先する。
食管制度の時代、米価を自民党が5%上げろと言うと、民主党の一つの前身だった社会党は10%上げろと言い、共産党は15%上げろというような図式だった。
与野党問わず、農業政策と言うと農家票がまず大切に思えるのである。
食料品の消費税ゼロ税率で党内が盛り上がっている立民党も減反・高米価政策には無関心である。
今の選挙制度では、数の上では少ない特定の既得権益を持っている人たちの意見が反映されやすい。
衆議院は小選挙区制、参議院も地方区は都市部を除いて一人区である。
二人の候補者が50対50で競っているときに、少なくなったといえ、JA農協が組織する2%の票が相手側に付くと、48対52と4%の差がついてしまう。
これを回復することは容易ではない。
現に、自民党は全体では圧勝したものの、農業の盛んな東北・新潟・長野の参議院地方区では、農政に対する不満もあって1勝7敗(2016年)、2勝6敗(2019年)と惨敗したことがあった。
米価が低迷したこともあって、コメどころの新潟県での2024年衆議院選挙では全5選挙区で自民党は敗北した。これに国会議員はおびえる。
地方選出の国会議員は、選挙で当選するためにはJA農協の言うことを聞かざるをえない。
TPP交渉に参加するかどうかが大きな争点となったとき、JA農協はTPP反対の運動を展開した。
選挙で自民党に投票した有権者の多数はTPP賛成だったのに、選挙で選ばれた自民党議員の大多数はTPP反対を主張した。JA農協の小さな既得権益が国民全体の大きな利益に優先してしまう。
既得権益を足しあげても国民全体の利益にはならない。むしろ、減反政策に見られるように、既得権益は国民全体の利益からすれば、マイナスの利益である。
既得権打破の政治改革を
各党の公認候補を選ぶときに、アメリカのような予備選挙を実施してはどうだろうか。これによって世襲候補が続くことを排除できる。いくら親が国会議員でも、本人の能力がないと候補者になれない。現職でも他に説得力がある候補者が出てくれば、安閑に構えられない。
皆さん方は、どちらを党の候補者にしますか?
A候補「農家や農協は地域で重要だ。米価をもっと上げて零細な農家でも農業を継続するようにすべきだ。」
B候補「Aさんはこども食堂で食べている人たちのことを理解していない。米価を下げても、直接支払いをすれば農家は困らない。豊かな農家よりも国民・消費者全体のことを考えるべきだ。」
既得権者より一般の国民の方が数では圧倒的に多い。A候補が勝てる保証はない。
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1990年代に私の父から、「国から日本の備蓄米を20年分から10年分にすると文書が回ってきたが、もし、戦争にでもなったらどうするつもりなのかな?お前達の時代は大変なことになるぞ!」と言われました。
だから、私は農家が作った米を全て「農協」に収めるのではなく、当時は「ヤミ米」と呼ばれた「買付業者に生産量の一部を売る」ことを勧めて、他の農家にも伝えてもらうように頼みました。
「北海道の米農家」は、北海道に一番最初に入植して米農家を始めた「吉岡一門頭領」が最初なので、翌年から一気に北海道の米農家は農協に米を納めずに「買付業者のほうが高く買ってくれる」のでどんどん農協へ米を渡す量が減りました。
この噂は、一気に日本全国に広がったので、日本の農家が農協に渡す米の量は現在、半分までに減ったのです。
そうした理由は、「JA農協」が米農家から抜く「自分達の手数料」を抜けなくしたあと、「農林水産省の予算を30年分、先に使える申請書」を使って、「全国の農家の田んぼを大きくする工事」や、「高価な農業機械の購入代金を補填する補助金」に使ったので、農林水産省の予算から官僚達が抜いて「弘道会のヤクザ」に渡す「高額な賄賂」を抜けなくしてやりました。
同時に、「ヤミ米」と呼ばれていた「買付業者に売る米」のことを「自主流通米制度」を2004年に国会で法案を通して作ったので、全国の米農家は自信を持って自分が売りたい「買付業者」に売ることができた結果、米農家の収入も少しは改善することができたのです。
※「自主流通米制度」は、「食糧法」という法律に基づいて運営されています。この制度は、米の流通を自由化し、市場の競争を促すことを目的としています。具体的には、米の流通ルートに関する規制が緩和され、自由にお米を売り買いできるようになったため、生産者や販売業者はより多様な価格設定や流通方法を選択できるようになりました。
農林水産省が備蓄米を20年分から10年に変更した理由は、消費者が「主食のお米」を食べずに「パンや麺類」にした結果なので止めることはできなかった為、米の専業農家が多い北海道と東北の農家には私から「ある文書」を流しました。
国の言うことを聞かなくてもいいので、「備蓄米を20年分のまま保管」して下さい。
古い米でも味が劣化しない「特別な保存技術」を私が開発したので、その「特別な保存方法」と「備蓄倉庫を大型に改修する工事代金」として「返さなくてもいい補助金を付けます」ので、どうか「20年分の備蓄米」を保存して下さい。
毎年、新しいコメができたら、一番古いコメはお菓子メーカーや煎餅メーカーがいくらでも欲しいと言っているので、この「買付業者リスト」に連絡して買ってもらって下さい。
日本はいずれ必ず「戦争」が起きたり、大きな「自然災害」に見舞われると思いますので、最後に国民を助けられるのは「コメ農家」しかいないので、どうか、子供や孫のためによろしくお願いします。
日本で一番最初に米農業を始めた吉岡一門 南朝頭領 吉岡学
という文書を日本全国の都道府県の米農家にFAXして自分で全国の米農家に会いに行き具体的な話をしました。
北海道の美味しい甘いお菓子を奥様に渡し、ご主人には日本酒と北海道の珍味を持っていき、日本酒を飲みながら若い米農家のための美味しいお米通販サイト【ツナギ】 を作る許可をもらい、「無農薬や減農薬の健康に良くて美味しいお米」を自由な価格で売れるようにホームページも作って無償であげたので、日本の農家を守る気持ちがある人は「ツナギ」で購入して下さい。
「日本の武士」は大東亜戦争に負けるまで「小作」を持っていましたが、小作の土地を小作人に渡す法律は、第二次世界大戦後に制定された「自作農創設特別措置法」で、1946年10月21日に公布されて、政府が地主から「小作地」を安く買い上げて、「小作人に安価で売り渡す」という仕組みの結果、「地主の年貢制度」は無くなりました。
「日本海側の北朝の武士達」は、天候不順で生産量が低下した年も「年貢」を取ったので「百姓一揆」があちこちで起きましたが、「南朝のトップの吉岡一門頭領」は集めた年貢をまた小作に放出したので、「百姓一揆」は起きていません。
「南朝のトップの吉岡一門頭領」が明治時代に北海道芦別市へ富山県から移住した結果、「北海道の上川地区、空知地区、石狩地区」に大きな水田を作る米農家が誕生した結果、本州の兼業農家が廃業しても「日本の米の生産量」は減らないようにしたのです。
しかし、現在の一件の米農家が取り扱う田んぼの面積は、40年前の10倍から20倍になっているので、10年ごとに大きな農業機械を借金して買うので「赤字の米農家」も増えているし、「平均年齢が75歳」なので次世代の後継者が不足しています。
今の米価格の高騰は、皆さんが浪費しているものに使うお金で考えれば安いものなので、子供にスマホを持たせなければ楽勝です。
甘い親が子供の好き勝手させた結果ですが、「新しい日本」のためには必要なことなので、「家で料理をする女を増やすこと」と、「米を食べる習慣」をぜひ増やして下さい。
それが新しい日本を子供達へ渡す方法です。
