現在の地球の状態を考えた時に、「地球の未来に希望を創造できる子供」はどれくらいいるでしょうか?
国連の永久議長の私は「日本ユニセフ」にこのことを投げかけた結果、「世界子供白書」ができました。
ユニセフの代表的な報告書「世界子供白書(The State of the World Children)」は、世界の子どもたちに影響を与える様々な課題を、データをもとに分析し、その解決に向けた政策や取り組みを提言しています。
「世界子供白書2024」は、「2050年の子どもたち」をテーマに、世界を変える大きな要因(メガトレンド)が、2050年までに、またそれ以降に子どもたちの生活にどのような影響を与えるかを予測しています。
3つのメガトレンド
人口動態の変化、気候危機と環境危機、先端技術の発展という3つのメガトレンドは、子どもたちの未来を大きく左右する要因であり、すべての子どもの権利を守るために、積極的な政策と投資が求められています。下記は3つのメガトレンドの概要です。
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1.人口動態の変化
2050年代までに、世界の子ども人口は23億人程度で横ばいになると予測されていますが、地域による差が大きいとされています。南アジアやアフリカ諸地域では、子ども人口が非常に多く、気候危機やインフラ不足といった課題を抱えています。一方、高所得国では子どもの割合が大きく減少し、19%未満になると見られています。人口構成の変化は、経済成長の機会(いわゆる「人口ボーナス」)をもたらす一方で、高齢化社会における政策の見直しなど、新たな課題を引き起こす可能性があります。
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2.気候危機と環境危機
子どもの身体は発達の過程にあり、環境の変化に対して特にぜい弱です。異常気象や大気汚染、気候関連の災害などは、子どもたちの健康や教育、将来の可能性に直接的な影響を与えます。2050年代には、異常気象による災害にさらされる子どもの数が、2000年代と比べて大幅に増加すると予測されています。
世界の子どものほぼ半数が、気候や環境災害のリスクが高い国で暮らしており、異常気象や汚染の影響を受けています。特に大気汚染や感染症、食料不安、心の健康への影響は深刻です。気候ショックは教育や住環境にも悪影響を及ぼし、子どもの権利を脅かしています。こうした危機に対処するためには、温室効果ガスの排出削減、クリーンエネルギーへの移行、そして気候変動への適応策の実施が急務です。各国の気候政策においては、子どもの福祉を最優先に考える必要があります。
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3.先端技術の発展
人工知能(AI)や次世代再生可能エネルギーなどの先端技術は、子どもたちの生活を格段に良いものにする可能性があります。そのためには、公平なアクセス、規制、そして子どもを中心に据えた設計が求められます。
デジタル化は、学びやつながりを促進する一方で、性的搾取や虐待といったリスクも伴います。特に低所得国ではインフラ不足により、多くの子どもたちがその恩恵を受けられていません。こうした地域でのデジタル格差は、不平等を拡大させるおそれがあります。
また、AIやニューロテクノロジーは教育や医療の質を高める可能性を持ちますが、適切なガバナンスがなければプライバシーの侵害や差別の助長といったリスクもあります。
一方で、ワクチン開発やグリーンテクノロジーの進歩は、命を守り、クリーンエネルギーへの移行を後押しするなど、子どもたちの未来に希望をもたらします。
未来は私たちが形作るもの
© UNICEF/UN0831648/Andriantsoaranaテントの仮設教室で授業を受ける中学生。サイクロンの影響で2 週間中断していた授業が再開された(マダガスカル)
ユニセフは、政府や公共部門、企業、非政府組織や人権団体、市民社会が結集して、上述のメガトレンドに対応し、子どもたちの最善の未来を確保することを提言しています。以下の3つの主要分野において早急な行動が必要です。
1. 人口動態の変化に備える
2. 気候と環境をめぐる適応、緩和、教育に投資する
3. すべての子どもにインターネット接続と安全に設計された技術を提供する
2050年を見据え、私たちは重要な選択を迫られています。現状を維持し、多くの子どもが取り残される未来を受け入れるのか、それともすべての子どもが生き、成長し、社会を形づくる力を持つ未来を選ぶのかが問われています。
『世界子供白書2024』は、すべての人々に向けた行動の呼びかけであり、子どもたちのより良い未来のために今こそ行動を起こすことを求めています。
「50年後の未来」を見たいなら「50年前」を調べれば、何が問題なのかがわかります。
- 「エネルギー」:経済危機(オイルショック): 中東の産油国が供給を絞ったことで原油価格が暴騰し、世界的なインフレと深刻な不況を招いた。日本でもトイレットペーパーの買いだめ騒動などが起きた。
- 「お金」:国際通貨体制の混乱: 1971年のニクソン・ショックを経て、固定相場制から変動相場制へ移行し、為替や金価格が安定しなかった。
- 「戦争」:冷戦下の政治紛争: 米ソ対立が続く中、ベトナム戦争(1975年終結)やチェコスロバキアでの「プラハの春」の弾圧など、民主化運動と体制の摩擦が起きていた。
- 環境と生物多様性の悪化: 公害問題や資源枯渇への懸念が強まり、1970年から2016年の間に生物多様性指標が68%減少するという、急速な自然破壊が進んでいた。
- 「お金」:世界的な経済恐慌(1929年~):ニューヨークの株価暴落に端を発し、銀行・企業の連鎖倒産や失業率の急上昇が世界全域に波及しました。
- 「戦争」:不戦の誓いの機能不全:第1次世界大戦の反省から国際連盟が設立されたものの、実効性が弱く、紛争や武装した paramilitary(準軍事組織)が社会を乱していました。
- 「病気」:パンデミック後の混乱:1918年から1920年代にかけて大流行した「スペイン風邪」により、全世界で5億人が感染し、1億人以上が死亡した後の社会復興。
- 「政治」:軍国主義・ファシズムの台頭:経済的困窮を背景に、強硬な政治体制を求める動きが強まり、後の第2次世界大戦へとつながる環境が醸成されました。
- 日本における昭和初期の不況:1930年の世界恐慌の直撃を受け、農村部の深刻な不況や都市部の失業率上昇、軍部の台頭といった課題に直面していました。
理由は、「1942年アメリカ大陸発見後」、政治・経済・食物循環に失敗したからこそ、アメリカは世界を支配することばかり考える国になったことは明白です。