祖父の教え:男は、立てて従い、女は、まどろう。
中学生の頃、母から「男の操縦方法」を教わったことがあります。
本当は、お前が女だったら教えてあげたいことなのだけど、男二人を産んでしまったから、お前に話しておくね。
お前が小さい時によく真っ赤なセーターを着せて楽しんでいんだけど、覚えてないよね?
え!タンスの奥にあったあの真っ赤なセーターは、僕に着せるためのものだったの?
そう、小さい時は、男か女わからないほど可愛い顔をしてたので、たまに、真っ赤なセーターを着せて、女の子なんです!って言って楽しんでのさ、ごめんね。
私、・・・・・・・。
そういえば、「女が男を操縦する方法」って知ってるかい?
知らないよ、でも覚えておいて損はないから教えて下さい!
いいかい、昔から「男は立てて従い、女はまどろう」と言ったものさ。
どういう意味?
人の前や社会へ出たら「男は何があっても立てること、そして、どんな理不尽なことを言っても従うこと。そして、最後に女は”まどろう”のさ。
「まどろう」って、一般的な意味ではウトウトして眠たい時の様子だけど、実は、女の技の意味があるんだよ。
なになに?眠たい顔が、女の技???
そうじゃなくて、人様の前へ出たら、どんなことがあっても男は男同士で負けてはいけないから何があっても、立てて従うのさ。
でもそれだけじゃ、女は自分の中にイライラが溜まるでしょ。
だからね、少し眠たいような顔をして、モジモジするのさ。
気の利く男なら、「どうした?」って聞いてくるのさ。
その時に、なかなか言えない不満を上手に伝えるのさ。
どうやって?
例えばね、「いつもご主人様には本当に感謝しております。無事に子供も産めましたし、元気に育っています。ありがとうございます。ただ、少しだけ気掛かりなことがありまして・・・・」
男「なんだ!言ってみろ!」
女「よろしいのでしょうか?旦那様には迷惑なことかもしれないので、なかない言えず、どうしたら良いものかと一人で悩んでおりました。」
男「だから、早く言え!何を言っても怒らんから、言ってもみろ!」
女「本当に、怒らないで下さいね。先日、私の同級生から同窓会の誘いの電話があった時、行ってよろしいでしょうか?と尋ねると、そんな男と女が集まる場には行かせられん!と怒られたことが気に病んで気に病んで、夜もゆっくり寝れないのです。
もし、一生、同窓会へ行かせてもらえないのなら、一度でいいから同級生に一生、会えないと言いたいけど、きっと、そのこともご主人様は怒ると思うので、どうしたらいいのか悩んでおりました。
子供の頃から私を助けてくれた男子たちや女子たちは、私の家が貧乏なのと、父が足を一本無いことをよく知っていて、何かと気遣ってくれたおかげで学校生活が過ごせたんです。
だから、今後一生、同級生にそのお礼さえできないのなら、私は「人非人(にんぴにん)」扱いされて、きっと陰口を言われ続けますので、同窓会へ行かせてもらえないのなら、いっそ、子供を連れてこの家を出て実家に帰ろうかと悩んでおりました。
男「馬鹿なことを言うな!そんなに俺は最低の人間ではないぞ!
よし、わかった、気の済むまで同窓会へ行って楽しんでこい!
毎年、行ってもいいぞ!」
これは母が実際に、農協スーパーの前で父に言った言葉だと教えてくれました。
家の中では絶対に聞いてもらえないからこそ、公の場で話した「女の知恵」でございます。
子供の頃から「女こどもは、三歩下がって師の影踏まず」と父に言われ続けた母は、言葉のとおり、人前では男を立てますが、家に戻るといつも父と大喧嘩していました。
子供ながら毎日、喧嘩するなら別れればいいのにと母に言うと、お前たちがいなければ、とっくにこの家を出ているさ。
でもね、私が実家に戻れば、兄嫁に迷惑もかかるし、私の母が一番、イジメられることを考えると、実家には戻れないのさ。
何度も、兄ちゃんが生まれた頃、辛すぎて、芦別ダムに飛び込もうと赤ちゃんを抱いて立っていると、寝ていた兄ちゃんが、突然、大声で泣き出すのさ。
先祖様たちもきっと私と同じ辛い思いをしているから私には言わないけど、子供を通して気づきなさい、守っているからと泣かせたんだとわかり、正気に戻ったよ。
本気で死のうと思っていたから、そのあと何度も芦別ダムに立っていたけど、お前の同級生のお父さんが声をかけてくれて、車に乗せてくれて家で話を聞いてくれたんだ。
私は姉妹がいないし、兄は気の効かない人だから、いつも、じいちゃんが殴っていたよ。
本当に長男って要領が悪いから嫌だったけど、うちの父さん(夫)は六男なのに、輪をかけて、気の効かない人で驚いたのさ。
お前は次男だから、長男の馬鹿なところはわかるでしょう?
ハイ、いつも下手だなあって思って見ています。
お前は要領はいいけど、短気だから、それだけは気をつけなさい。
刑務所に入ったり、人様を殺めたりしたら、私がお前を殺して死んでやるから、覚えておきなさいね。
世の中には、男と女しかいないんだから、上手に女に喜ばれる男になりなさいね。
まあ、お前は大丈夫だと思うけど、兄ちゃんが心配だわ・・・・。
中学3年生の時に、母が教えてくれたことでした。ありがとうございます。