「四方文殊褒章」をもらった祖父 3
前北海道知事 堂垣内尚弘さんの息子さんに会った時の対話記録です。
高校1年生生になった時の先輩たちとの対面式で、卒業生の一人が急に私の前にやってきて、
お前は、吉岡家の次男で、マナブ君か?
「はい、そうです。何かありましたか?」
お前のことは、父から聞いている。
そうか、芦別高校に入ったか・・・。
俺は、親父に言われて、わざわざ、札幌からこの田舎の芦別高校に入学したし、勉強もスポーツも頑張って俺はもう卒業したけど、お前のことは一生忘れないから、いつでも困った時は連絡しなさい。
「でも、どうやって先輩を探せばいいんですか?」
俺はこれから北大に入る。そして、このあとは、父の跡を引き継いで政治の道に進もうと思っている。
だから、どこの政治家でも、俺の父の名前を出せば、俺がどこにいるかはすぐにわかるはずさ。
俺たち家族は、そういう立場に生まれたので、俺もやりたくはないが、父を支えなければいけない立場なんだ。
お前のじいちゃんにも、この前、挨拶に行ったが、厳しい人だなあ。
俺も自分の父親が一番、厳しい親だと思っていたが、あのじいちゃんの前に座ると、体が震えてくるのさ。
お前は、大丈夫なのか?
あんなに気迫がある老人は、初めて見たぞ!
「僕は、大丈夫です!
中学生の頃から、毎週のように学びに行っているし、今でも時々、生き方に迷った時にはじいちゃんに会いに行っています。」
そうか、だからお前もドスンとした落ち着きがあるのか・・・。
俺も早くそうなりたいなあ・・・。
お前のじいちゃんに毎週、習いに行くかな?
「良いことだと思いますが、じいちゃんは一言でも甘えた言葉を言った瞬間に、「帰れ!」と本気で言いますし、僕でも容赦無く、いつでも殴られます。
殴られるのは「自分が足りないせい」だと思うので諦めますが、「帰れ!」と言われた時は、相手の気持ちに沿えなかった足りなさを気づく必要があるので、しばらく会いに行けなくなります。
あのじいちゃんは、家族でも他人でも、同じように教えてくれますが、規律を一番、重んじる人なので、どうか、その点をご注意下さい。
私からも次回、言葉を添えておきますね。」
おう、頼むわ!
ああいう、すごい人間に会うことは一生のうちに何回かだと思うからこそ、うちの厳しい父が頭を下げて教わりに行った意味が、今はよくわかるわ。
今度、行った時に、頼むな!
爺ちゃんに、「お願い」しておいてくれな!
「あのう、それはダメだと思います。
うちの爺ちゃんは、「情」では動かない人だし、「人情」なんて、最も嫌いな人なんです。
だって、戦争に行った人間が、「情」で生きれるわけないじゃないですか?
毎日、戦友が死んでいくのを横目で見ながら、「次は自分か?」と毎日、自問自答する日々だと言っていたので、私でもお願いなんてできません。
先輩が会った時に、「本気のお願いの所作」をして、その空気が本気だと伝わった時には、「許可」が出ると思います。
それは、他人が教えるものではないと、爺ちゃんも言っていました。
足りない人間は、一生、自分の足りなさに気づけないから「足りない人間なんだ」と言っていたし、賢い人間は、一生、「自分が足りない」と思って努力しているから、毎日、少しづつ成長するものだと教えてくれました。
だから、僕もまだ、「半人前」です。
先輩も「半人前」なので、じいちゃんの前に出たら、「半人前なので、どうか、一人前になる指導をお願いします!」と言うと、話が通ると思いますよ!」
おー、わかった!次に、会った時に、そう話すわ!
俺は半人前、俺は半人前・・・。
先輩は、この言葉を忘れないように口づさみながら手を振って別れました。
私は岩渕家の祖父から「生きることと、死ぬことの重要性」をトコトンと教えて頂きました。
その祖父の「教訓」を皆様に伝え残します。
死ぬ覚悟があるなら、生きろ!!!
死ねないほど、大事にしたいものがある時は、死ぬほど頑張れ!
どうしても、死にたくなったら、誰か一人くらい、自分のことをわかってくれる人間と、付き合え!
人生は辛いし、寂しいものだ!
だから、絶対に、ひとりぼっちに、なってはいかん!
バカでも、チョンでも、アホでも、一人いれば、お互いに支え合うことを学べるもんだ!
だからこそ、頑張る時は、一人で頑張れ!
でも、弱った時に、支えてくれる人間を一人だけは、持てよ!
いいな、この人生も命も、お前だけのものじゃないんだぞ!
この世に生まれる意味は、ご先祖様たちが大事にしてきたことを、どれくらい自分が引き継げるかを問われているだけなんだ。
だから、苦しくなったら、ご先祖様に手を合わせなさい。
俺も、自分一人でどうしようも無くなった時は、仏壇か、神棚から、ご先祖様に手を合わせて祈りをする。
そういうもんだと思うぞ、「神仏」というのは・・・。
祖父に教わった言葉が、今も心の奥底にしっかりと残っていますので、物事を考える「価値観」の土台を作ってくれています。
いつも、ありがとうございます、岩渕家のおじいちゃん!