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【ダイエー】就職前の会社訪問 1 会社面接

今はどうか知りませんが、私が大学生の頃は、大学に入るにも、就職するにも、結婚するにも「興信所」がついて回りました。

なぜ、学校や会社や結婚相手が「興信所」を使うのかというと、家族親族に警察にお世話になった親族はいないかどうか?

第三国人が手を組んだ「同和」に関わっていないか?

政治的な圧力をかけた一族がいるかいないか

ヤクザや反社会性に関わったことがないかを必ず、調べた時代でした。

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それほど、戦後の世の中は荒れていたし、良いも悪いもたくさんあったからこそ、いろんな人種が一緒に暮らしていく中で重要なことは、「個人の価値観」や「頭の良さ」ではなく、人間的に社会に迷惑をかけない人間かどうかが、「最低基準」だからです。

就職前の企業周りをする時も、相手の人事課の人間が見る点は、それだけだと教えてもらったことがあります。

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私の世代は、「太陽に吼えろ!」という刑事物のドラマが有名で、拳銃を打ちたいのと、正義を貫く気合いが気に入って「警察」を受けました。

コネを使えばいくらでもありましたが、「こんな人間が社会に適応できるのか?」と自分を試したくて、自力で受験して3次試験まで進み、静岡県警に合格しました。

希望は北海道警察でしたが、北海道警察は、銃剣道の何かの黒帯を持っていないと無理と人事課に言われ、静岡県警の合格通知が届きました。

一番自分が入りたいものを拒否された感覚になり、警察の合格通知を横に置いて、日本最大の売上を作っていた「スーパーのダイエー」に試験を受けに行きました。

田舎の両親は、「映画の会社か、役者の会社か知らないけど、一生懸命にやりなさい」とだけ言われました。

当時の「スーパーのダイエー」の倍率は「26倍」と出ていましたが、実際に、人事課の人に会うと、なぜか、今、スーパーが大人気で、現在、「56倍」にまでなっているので、今年の入社は厳しいものになると、説明会で言われました。(1982年当時)

「やれるものならやってみろ!落とせるものなら、落としてみろ!」と覚悟した私は、本気モードで第一次面接会場へ行きました。

第一グループだけで、百名を超えていたし、頭の良さそうなのと、バカ丸出しが一緒の部屋にいるので、高校の時のように、窓辺でタバコを吸いながら外を見ていました。

マニュアルを読んでるバカもいるし、ぶ厚い入社マニュアルを再読している奴もいたけど、そんなに受かりたいなら、「会社を勉強しろ!」と思いました。

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ふと、後ろを振り返ると、五名の男たちが立っていて、声をかけてきました。

同期)なあ、お前はさっきから外を見ているが、何か試験に関係あるものが見えるのか?

吉岡)いやあ、この部屋にいる奴のバカさが嫌で外を見ているだけだから、気にするなよ!

同期)おいおい!俺たちがバカってことか?

お前、俺をバカにしているのか?殴るぞ!

吉岡)お前よう、この狭い会場に何で百名も入れられているのか、わからんのか?

あちこちに録画のカメラはあるし、マイクもあちこちあるので、ここで俺たちの行動と発言を見ているのさ。

そんな中で喧嘩してみろよ、1発で落ちるぞ!

受かりたいなら、俺じゃなくて、面接官と喧嘩しろよ!

 

同期)俺たちは、入社させてもらいたくて集まっているのに、どうして、面接官と喧嘩できるんだよ!お前、頭おかしいんじゃないか?

吉岡)頭がおかしいのは、お前だろ!

いいか、毎日、百名づつ面接しても、今回の受験者は1200名以上いるから、面接官は顔を見るのも、話をするのも嫌になるだろ!

そんな中にで、どうやって印象つけるかは、インパクトだろ!

お前、顔が怖いからインパクトあるので、大丈夫じゃないか?

 

同期)俺はその手には、のらんぞ!

シカトしておこうっと!

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番号順に6名づつ、まとめて面接するようで、もらった番号順に並ぶと、そのバカが俺の前に立っていました。

仕方がない、一緒のグループにならないことだけ祈っていると、神様は、必ず、「欲望の反対を経験」をさせるので、同じグループになり、面接室に入りました。

全員が、名前と出身大学を言って、受験動機を話した最後に、私の番になり、こう言われました。

 

面接官)君は、岡山理科大学出身だけど、なぜ、我が社を受けるつもりになったんだい?

 

その理由をまず教えて下さい。

 

もしかして、受験する会社を間違えたんじゃないよね?

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この面接官、本当にバカだと思いました。

ここまで書類を出して、数回、書類のやり取りをして会場に来ているのに、それで「受ける会社を間違うバカ」はいないと思いましたが、どうやって、言い返すかを考えていると、こう言われました。

 

面接官)キミ、キミ、今日はたくさんの学生がいるので、一人30秒と決まっているのに、君が答えてくれないと面接が終われないじゃないか!

 

なんでもいいから、答えてくれないか?

 

俺も早く帰ってゆっくりしたいので、何でもいいから答えてくれ!

 

吉岡)えーと、「キミ」を二回、言ったので、もう、卵は焼けました。

早くお家に帰って、奥様の美味しい手料理でも食べて下さい。

私は「キミ」よりも、「白身」が好きなので、きっと、意見が合わないので、今日の面接はこれで終わりにしましょう!

さ!みんな、帰るぞ!

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6名が一緒に部屋に入ったので、6名一緒に出るのはルールだから、あえてみんなに声をかけたのに、誰も立ち上がりません。

 

吉岡)おい!立てよ!もういいだろ!

こんなバカな質問しかできない会社の面接なんて受けなくてもいいから、さ!帰ろ!

 

同期)帰りたければ、お前が帰れよ!

 

俺たちは、この会社に受かりたくて来てるのに、お前みたいな勝手なことをやれば、落ちるだろ!

 

だから、俺たちは、お前の言う通りには動かないぞ!

 

帰りたければ、一人で部屋を出ていけよ!

 

俺たちは、ここに残るからな!

 

正面にいる8名の面接官に立って一礼して、スタスタ部屋を出て行き、隣の部屋で一人でタバコを吸っていると、人事課の男の人が寄ってきて、「このあと、すぐ、集団面接があるので、出て下さい!」と言うのです。

 

吉岡)俺、受かったんですか?

 

人事課)そんなわけないでしょ!

きっと、あの面接官のオッサンたちは、怒っているでしょ!?

 

面接官)そんな言い方は、失礼だから、会ってお詫びしなさい。

特に、あなたに「キミとシロミ」の話をされた人が興味を持ったみたいで、急に後の予定を全て取りやめて、「集団面接」になったんだ。

 

この「集団面接」は、課長職以上の人たちの試験で、相当、難しい難題をグループで解決し合う面接に、あなたを入れて意見を聞きたいと言っていたけど、さっきのグループの人間でいいかい?

 

もし嫌なら、僕の方で優秀な人を選ぶけど、どうする?

 

吉岡)ぜんぜん、さっきの奴らでいいです。

 

一人はバカだけど、後の二人は、賢いし、残りは協調性があるので、問題ありません。

 

じゃあ、さっさとやって終わらせて下さい。

 

俺は、腹が減ったので、早く「開きホッケ定食」を食べたいんです。

 

久しぶりに北海道に帰ってきて、この試験を受けるのに、ホテルに泊まったけど、飯が不味くて、昨日の夜にウロウロしていて見つけたんです。

 

「開きホッケ定食」が美味しい店を!

 

面接官)おお、いいねえ、俺も「開きホッケ定食」が大好きさ!

 

あとで、一緒に食いに行こうな!

 

ご馳走するから帰らないで待っててくれな!

 

本当は、キミはもう「合格」が決まったんだけど、建前上、「集団面接をさせろ」と、さっきのオッサンが言ったのさ。

 

でも、あの人は、「人事課長」なんだぞ!

 

どこが気に入ったのか俺もわからんが、あの人は、キミのことを「即採用!」と言ったのさ。

 

だからきっと、「開きホッケ定食」も一緒に食べたいと言うと思うから、絶対に帰らないでお店の住所を受付に置いといてね!

 

さ、さっさと形だけの面接を終わらせようぜ!

 

キミのせいで、明日以降の予定が全て狂ったけど、まあ、面白ろそうだから、僕も質問者になるので、よろしくね!

 

変な会社だなあと思っていると、さっきの5名がやってきて、集団面接の説明を聞きました。

 

時間は15分間、話すテーマは、入室の1分前に紙を渡すので、それをテーマに話して下さいと、人事課の女性が言ったけど、私は無視していました。

 

吉岡)会社の言う通りにやって、いいわけないだろ!

 

ここまで日本一になったスーパーが「形通りの面接」なんてするはずがない!

 

きっと、「本人のやる気と協調性」を見るはずだから、これは勝負だ!

 

※私は、5名の仲間たちにこう説明しました。

 

どんなにお前たちが言いたいことを言って揉めても、喧嘩になっても、俺は絶対に、綺麗にまとめるので、任せておけ!

 

これは俺の能力というか、相手が何を望んでいるかが子供の頃からわかるのさ。

 

だからよ、一緒に全員、合格するか、全員一緒に落ちるかなので、覚悟して行こうな!

 

抜け駆けしたら、絶対に、落とされるので、ずるい技は使うなよ!

 

怒るなら本気で怒ってこい!受けて立ってやる!!

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実際の面接は、漫才かと思うほど、全員が本気で言い合うし、助け船を出す奴もいるし、足を引っ張る発言もする奴もいたけど、私は「あと1分」のところで全ての人が言った言葉をまとめてから、最後にこう言いました。

 

吉岡)素晴らしい会社のお偉いさんたち、こんなバカな俺らを続けて面接して下さって、ありがとうございます。

 

貴重なお時間を取らせたことを反省しています。

 

でも今、俺たちが本気で言った言葉に、嘘はありません。

 

さっき、「打ち合わせはしない!本気でやろう!」と決めたので、気持ちは一緒です。

 

だから、最後のお願いです。

 

もし、誰かを落とすのなら、全員を一緒に落として下さい!

 

もし、誰かを合格にしたいのなら、全員を一緒に合格させて下さい!

 

社員になって使い物にならない奴は、どこか遠くに飛ばすか、首にして下さい。

 

ま、落ちる覚悟をしている奴ばかりだと思いますので、よろしくお願いします!

 

同期)おい・・・!

お前は落ちてもいいかもしれないけど、俺、もうこの会社が最後の会社なので、何が何でも受かりたいのに、そんなこと言うなよ!

 

俺の母ちゃんも、「最後の会社だから受かっておいでよ!」と朝、言われたのに、お前がそんなことを言うと落ちるに決まっているだろ!

 

おい!どうすんだよ!この結果の責任を取れるのか?

 

吉岡)お前みたいなバカは、こんな素晴らしい日本一の会社にはふさわしくない!

 

土方でも、丸太担ぎでも、頭を使わない会社へ行け!

 

でも、ここまで巨大な会社なら、きっと、お前でも働ける部署はあるはずだ!

 

こんなに人情が熱い会社だから、ここまで急激に伸びたと思うから、お前、一人だけ抜け駆けするのはやめろ!

 

男として、そんな恥ずかしいことはするな!

 

ねえ、面接官の皆様、こいつを落とすなら俺も一緒に落として下さい。

 

俺、こういうバカが大好きなんで、一緒に仕事したいです!

 

他の奴らがどう思っているかわかりませんが、俺の代わりでもいいので、あのバカを合格にさせてあげて下さい!

 

お願いします!!!!

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残りの男たちも一斉に席を立って、一緒に頭を下げて「お願いします!」と声をあげました!

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1分間、そのままにしたあと、顔を上げると、ほとんどの面接官たちが、泣いていました。

 

面接官)懐かしい、懐かしいなあ、おい、昔のダイエーみたいだなあ

 

・・・と呟いていました。

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人事課)涙を拭きながら・・・今日の面接は、これで終わります。

吉岡さんだけは、待合室で待っているように!

 

「美味しい開きホッケ」のお店の名前と住所を書いたら、行っていいです。

 

以上、集団討論会を終了します!

 

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一人で「美味しい開きホッケ定食」のお店で、ビールを飲んでいると、あの人事課の担当者が走ってきました。人事課)今、専務と人事課長が走って来るので、吉岡さん、ここに座らせてもいいかな?

 

吉岡)いいですよ、俺は。まだ社員じゃないので、誰でも横に座ればいいでしょ!

 

人事課)いやあ、キミはもう「一発合格」だって、専務と人事課長が言っていたのさ。

だから、キミはもう、うちの「社員」さ!

さあ、お偉いさんたちを迎える準備をしよう!

 

タバコを吸う人のために灰皿と、お手拭きと、箸と箸置きを用意して、水をコップに入れて「下座」に座っていると、お偉いさんが二人で走ってきて、「競争した」と言ってました。

 

面白い会社だと思ったけど、お二人は同期だからと、懐かしい時代を思い出していろんな話してくれました。ビールを飲んでいろんな話をしましたが、最後に私はこう言いました。

 

吉岡)あのう、私を面白がってくれるのも嬉しいのですが、最後の最後まで私を「一般の社員」と同じに扱って下さい。

 

私、子供の頃から「特別視」されて苦しんだ経験があるので、ドンドン、私を怒ってもいいので、普通の社員と同じにペーペーからやらせて下さい。

 

なんか、専務と人事課長の目を見ていると、俺を人事課か、専務付けにしようと企んでいる気がするので、やめて下さい!

 

俺の強みは、『逆境に強い!』

 

ただ、これしかないので、辛い時ほど、燃えるタイプなので、ぬくぬくは嫌なんです。

 

さ!今日は、何杯、飲めるか、専務!人事課長!人事の担当者!

 

勝負ですよ!!!!

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大学を「女」で失敗し、留年した5回生だったので、23歳の体験談でした。

あなたの息子や娘の参考にはならないかもしれませんが、こんな人間もいるのです。

クヨクヨ悩むより、当たって砕けろ!!!!

 

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