1. HOME
  2. ブログ
  3. ・1989年〜日銀・社長会・ガイヤの夜明け・カンブリ宮殿・労働組合・政治家
  4. 【社長会】北海道内宿泊業大手の野口観光(登別市)野口秀夫社長(74)にアドバイス!

【社長会】北海道内宿泊業大手の野口観光(登別市)野口秀夫社長(74)にアドバイス!

30年前に、ある知り合いを通して、どうしても会って欲しいと頼まれたので、会うことにしました。

全国の社長たちを毎週、集めて経営アドバイスした「社長会」も終了したのにと思ったのに、ススキノのある店で待ち合わせると、自分は北海道内宿泊業大手の野口観光(登別市)代表の野口秀夫だと言います。

バブル崩壊後の経営悪化が影響して、ホテル業をやめるか迷っていた最後に、私の噂を聞きつけて、ツテを辿って会いたいと思ったそうです。

本州の幾つもの会社やホテルを見事に再生した噂を聞き、お金はないがどんなことをしても会いたいと思ったと思いを教えてくれました。

・・・・・・・・・・・

問題は、何で、どうしたいのかを具体的に教えて下さい。

今のままでは息子に渡す会社がなくなりそうなので、何とかしてホテル業を続けたいのですが、新しいホテルを1棟建てる資金しか残っていないので、教えて下さい。

・・・・・・・・・・

私がもし最後に、北海道に1棟新しくホテルを建てるとしたら、今までどこも建てたことがないホテルを作りますね。

1、まず、土地が安くて温泉が出ること。

地元の農家の食材を使って、「全量買い契約」をして、一年間、毎日、納品してもらえる契約をすること。

冬は、北海道は野菜ができないので、農家のハウスと暖房費を補助してあげて、新しい大きな「野菜ハウス」を作って、毎日、納品してもらうこと。

2、次に、道内や本州の男の客を取り込む戦略は辞めて、全く新しいニーズを掘り起こします。

まず、千歳空港は、これからどんどん国際線を増やすので、アジアのお客様たちに喜んでもらえる施設のホテルを作ること。

中国やアジアは、昔は食べるものがなかったからこそ、食べ物を大事にする風習があるし、お客をもてなすのも、まずたくさんのおかずを作って出すのが、「おもてなし」です。

そして、家族との食事を大事にするので、家族3世代が一緒に泊まりに来たくなるホテルを作ります。

そのためにも従業員の多くは、「アジア圏の労働者」を安く雇い、日本の接客業を教え込んで、フロアに出します。

覚えが悪い人間は、厨房のなかで、何か一つでも美味しく作れるよう教育して一人前にします。

人は、褒められれば伸びる人が多いのですが、日本も世界も怒られて育ってきているので、きちんとお金を払って教育してあげて、腹一杯食べ物を食べさせてあげれば、アジアの若い従業員も真面目に働くはずです。

アジアの授業員は30歳までとし、そのあと家族を持ちたい人は自分の国に戻って結婚してもいいし、自国の女の子を連れてきて一緒に働ける環境を作ってあげれば、なかなか辞めませんよ。

一人では弱いからこそ、同じ国の人たちと会話する時間も大事にしてあげて下さい。

先祖祈りや文化や風習は、違いを教えれば、必ず、納得して理解するので、「挨拶」だけは徹底して下さい。

若い女の子は、「笑顔」だけで喜ばれるので、笑顔が綺麗な女性を雇って下さい。

・・・・・・・・・

そんなたくさんの人を教える人はいないし、そんなお金もありません。

・・・・・・・・・

だったら新しいホテルで働く日本人の従業員は、全て「アジアの従業員の教育係」として雇用して下さい。

働きながら教育されるこことが一番、覚えるので、OJT、つまり、現場で物事を教えるように徹底して下さい。

現場なら間違えてもすぐにやり直せるし、お客様に日本人が謝れば大概の問題は解決します。

 

3、ホテルの最上階は、最高級にして、温泉付きの大きな部屋にして下さい。

世界のゴージャスホテルに負けないように、一番お金をかけて下さい。

 

4、一般のお客様が泊まれる1万円前後の部屋(平日)は、オートロックにしないこと。

家族連れは、よく鍵を忘れたり、無くしたりし安いので、「鍵式」なら絶対に無くしません。

5、一般のお客様が来るフロアに、来る椅子や障害者の人が泊まりやすいトイレや洗面台にして下さい。

病院や介護施設をまねればいいだけです。

6、授業員の全員に自分が働いているホテルの売り上げと経費と収益を教えること。

それが一番やる気が出るし、自分たちで仕事を改善する気力も出るものです。

経営者はとかく、利益を隠したがりますが、将来のための必要なお金は抜いて残りをどうやって人件費や改修費用にするかも従業員たちに考えさせることが仕事です。

7、子供達は少なくなるので、必ず、子供中心で物事を決めるようになるからこそ、子供たちがまた行きたくなるアトラクションスペースを大事にして下さい。

子供が行きたいと言えば、子供の思いを大事にする世代が、次の顧客になりますので、今までの顧客ターゲットでは失敗します。

8、決して、自分たちのこだわりを妥協せず、お客様から常にクレーム言いやすいようにしておけば、一番いろんなホテルを知っている人たちから、情報を学べますので、絶対にクレームを大事にして業務改善して下さい。

9、あなたの子供がこのホテルを受け継ぐとしたら、最初から「息子の名前で借金」して、保証人をあなたがなってあげて下さい。

隣にいる息子がそれでも本気で父親の経営学を一緒に学びたいと覚悟させるためにも、本人に借金を背負わせて下さい。

10、「お客様は神様」ではありません。

常に、お客様は、自分勝手なことを言うので、業務改善にはつながりますが、あまり重要視しすぎると、従業員のやる気をなくしてしまうので、一番大事にするべきことは、「従業員は神様です」と、あなたと息子は思って従業員に接して下さい。

以上

・・・・・・・・・・・

お父さんは、私が教えたことをすべてメモしているし、息子はボイスレコーダーに録音したら大丈夫だよと言って、「俺は自分の手で書かないと覚えない性格なんだ!」と言っておられました。

北海道内宿泊業大手の野口観光(登別市)は6月20日、野口秀夫社長(74)の息子の野口和秀副社長が社長になられたので、この会話を公開します。

 

このホテルの名前は、「北湯沢 森のソラニハ」https://www.mori-soraniwa.com/

 

 

アーカイブ