【沖縄】御獄(うたき)のルール
沖縄本島へ足を踏み入れて、裏通りの民家のなかを歩いてみると、まず驚くのが、自宅の敷地の中に、ご先祖のお墓が普通にあったりします。これは、この沖縄諸島の方々が、もっとも大切にしている「先祖崇拝」の現れです。
しかし、この風習は島によって、いろいろ細かいところが違っていますので、ここで少しだけ知識を覚えて下さい。
まず、沖縄本島にある最大の御獄(うたき)は、世界遺産にも登録された斎場御獄(せーふぁーうたき)ですが、ここには、入口の神様の場所を含めて4つの拝み所があります。
以前、私が訪れた時は、入り口を守る神様から、「みんなが私を無視して通る」と怒られてしまいました。
こういう聖地を場所を訪れる時は、「他人の家にお邪魔するのと同じ」ですので、どうぞ、大切な場所で手を合わせてお礼を言うようにして下さい。
そしてこれは、必ず、覚えておいて欲しい事ですが、基本的に御嶽(うたき)という聖地は、地元以外の人が鳥居をくぐることは禁止されています。
写真の斎場御獄(せーふぁーうたき)だけは、世界遺産で観光化して公開していますのでお金を払えば誰でも入れますが、沖縄の島々にある鳥居がある御獄(うたき)の中には、絶対に、勝手に入らない!と覚えておいて下さい。
注)琉球王朝時代の斎場御獄(せーふぁーうたき)は、王族関係者のみしか入れない特別な祭事場でしたので、一般庶民は近づくことさえ許されない場所だったことも覚えておいて下さい。
●みなさんが許されるのは、御獄(うたき)の入り口にある「鳥居の前」までです。
●手を合わせて感謝する場合でも、鳥居の前までと覚えておいて下さい。
●島によって違う点を沖縄本島を基準に考えてみると、南下するほど、細かい伝統やルールが厳しく定められています。
※私が足を踏み入れた石垣島、宮古島、伊良部島でも、それぞれ、御嶽の建物や雰囲気に大きな違いがあります。
●石垣島の御獄(うたき)は、町内の神社のように、小さな鳥居があって、周りの住人の方が大切に守っていますが、中には誰も人は居ませんので、つい、気軽に入れるような気持ちになりがちですが、基本的に、沖縄の鳥居がある御嶽は先祖を祀っている霊場ですので、一般のパワースポットと勘違いして入らないようにお願いします。
●宮古島の中心にある平良市の「史跡めぐりコース」の資料を見れば、いろいろな御獄(うたき)が公開されていますので参考にして下さい。
宮古島の史跡と建造物 https://miyakojimabunkazai.jp/category/bunkazaiinfo/hiistoric-building/
※日本神道の神社のように大きな鳥居のある場所もあれば、ただ、ガジュマルの樹の周りに草ぼうぼうと放置されているように見える御嶽(うたき)もあります。
●伊良部島のような小さな島でも”神々の島”と呼ばれるほど大切な島ですから、地元の人でも把握しきれない御獄(うたき)を含めると、ゆうに100を越えるくらいの拝み所があります。
※島の人たちは、この場所のことを「拝所(うがんじゅ)」と呼び、もっとも特別な場所として、年に一度しか中に入ることを許されていません。
●一年のなかで唯一入れる日が、”豊年祭 ゆーくい”の二日間だけなのです。
なぜ、御獄(うたき)に入ることを禁じられているかというと、御獄(うたき)のなかには今でもしっかりと神さま(ご先祖)が守っていて、いつでも来る人間を見つめているからです。※島の血が入っていない人間はすぐに問われます。
●皆さんに分かりやすい言い方をすると、大きな力のある”霊”が御嶽の中にいると思って下さい。だから、地元の人でも、普段は勝手に入ることはしません。
※依頼がある時だけ、「ユタ」と呼ばれる<※沖縄本島では神人(カミンチュ>の霊媒師の女性に同行してもらいながら鳥居のまで祈りを通すことが許されます。
※ですからこういう聖地に興味を持ったり、行きたくなる方は、ある意味では、霊媒体質の方が多いでしょうけれども、どうぞ、このルールだけは、心に留めておいて下さい。
●残念なことに島の住民でさえ、こういう細かいルールを知らない人が居たり、若い人たちはそのこと自体信じない人たちも増えてきていますので、若い人に細かいルールを聞こうとしても、正確に教えてもらえることは、まず、ありません。
私が皆さんにお伝えしている内容は、「島のユタ」から直接、聞き取ったことですし、私自身もその役目を負っているので、よくわかるからなのです。
皆さんの目に見えないところで守って下さっているご先祖の方々にも、心からの感謝を送りたいと思います。
今も御嶽を大切に守って下さる沖縄の皆様、本当にありがとうございます。
私たち大和(ヤマト)の人間は、沖縄から大切なことを学ばせて頂いております。