伊良部島ユークイ2011の元(ムトゥ)

2011年10月20日、7年目にして初めて伊良部島の伝統行事ユークイ(豊年祭)の中心である字伊良部のウタキ全てに正式なご挨拶をすることができました。

人口6000人ほどの小さな伊良部島にある7つの集落のうち、最初に住み着いた伊良部部落と仲地部落が700年前にこの行事を始めたことがユークイの始まりですが、そのあとに住み着いた長浜部落、国仲部落、佐和田部落だけは前夜祭を行っています。
また、池間島から住み着いた佐良浜地区の二部落はお祭りの意味やルールが違いますので、19日を「ユークイ」として女性だけでお祭りとして行い、男性たちは「ミャークヅツ」として別の日に行います。
伊良部部落と仲地部落の「ユークイ」は朝8時からそれぞれの公民館から始まりますが、6箇所のウタキを回る意味は、ご先祖たちが住み着いた場所の神様(ご先祖)たちに豊年の御願(うがん)と感謝を伝えるのが目的で行われています。
こういう大きなお祭りを裏で支える役目の人たちを「シジュウナラ」と呼び、息子が数え27歳を迎えた人たちが祭りを支える役目なのですが、島外に出た息子の代わりにお父さんたちがお祭りの準備をしていました。それでも人数が足りない為に、今は青年団の若者たちが一緒に祭りを支えています。
開催前夜には、先輩・皿主(さらのしゅ)と現役・長主(ちょうのしょ)に連れられて「シジュウナラ」の皆さんが集まる元(ムトウ)の家にご挨拶へ伺い、明日の参加を許可して頂きました。こういう大事な集まりは、全て男性だけで行われています。
「沖縄の神ごとは昔から女性が行う」と思っている方が多いようですが、実際に神行事のルーツを調べると、女性が産んだ男神を「命をつなぐ命種」として崇めたことが始まりですので、本来は最高地位の神役目は男と決まっていました。
しかし、男たちが戦いや狩りで出かけて不在が多いために、男たちに代わって女性たちが神を守る役目についた習慣が今も沖縄には残っている為に、沖縄では神役目をしている女性が多いと覚えておいて下さい。
女性たちは命の種である男に感謝し、また、男たちは産み育ててくれた女性たち、母たちに感謝を伝えるのが神行事の考え方の基本だとご理解下さい。翌朝8時、伊良部ユークイは、伊良部公民館(ブンミャー)からスタートします。
拝所(うがんじょ)の中には皿主(さらのしゅ)、長主(ちょうのしゅ)、前任の皿主、司(つかさ)オバーたちしか入れませんが、その前で着物を着て座っているた女性たちも全員、過去に司オバーやご主人が神役目をした奥様たちですので、一般の方はここには座りません。
その後ろに座っている男たちは、過去に皿主や長主をしてきた先輩オジーたちが順番に座っていますが、座のどこの位置に座っているかによって神役目の経験や重要度を表し、一般の方は少し離れてお祭りを見守ります。
息子さんが「シジュナラ」の役目に当たるお父さんたちは、先輩オジーたちにお酒をまわし(宮古流オトーリ)、これまで息子を支えてくれた島の皆さんに感謝のご挨拶をして回ります。
伊良部部落が今日一日で回るウタキは次の六ヶ所ですが、神役目の方達はこのユークイが始まる前に、伊良部島全てのウタキの元であるトウンピャーズ(牧山にあります)で「前ユークイ」の御願(うがん)も行っています。
前任の皿主である川満照一オジーに連れられて、伊良部部落の弟格にあたる仲地部落のウタキにお酒二本を添えてお礼のご挨拶に伺いましたが、座っている座の違いを見てわかるように、それぞれの部落によって細かいルールは違うようです。
ちなみに、ユークイの日は小中学校もお休みで、学校の先生たちもウタキに来て神様たちにご挨拶に来る風習があります。
<伊良部部落のユークイで回るウタキの順番> ※島人も年に一度しか入れません。
1.伊良部公民館(ブンミャー)
明治まで琉球王朝を倒した薩摩藩が管理統括していた場所
2.ナハドウ御嶽
牧山展望台にある豊見親比屋地御嶽 (トウンピャーズ)のウタキが伊良部島全てのウタキの大元ですが、そこと伊良部部落と仲地部落をつなぐ重要なウタキです。昔はここで住民登録もされていました。このウタキは大きな神様が降りている事を光りのエネルギーが教えてくれました。
ナハドゥウタキのすぐ横には「フナハ井戸」があり、豊かに溢れ出ている水は製糖工場で使われています。
3.アダンニ御嶽
原生林の中にあるウタキで2005年に川満オジーと出会った場所 一番右端が現在の皿主(さらのしゅ)平山英治オジー。次が、日取りを決める長主(ちょうのしゅ)、そして、前任の皿主、川満照一オジーです。
  
4,ヌーシ(乗瀬)御嶽
兄弟部落である伊良部部落と仲地部落が合同で行う重要なウタキ
今年1月から伊良部部落と仲地部落の青年団をまとめている平山団長が挨拶をしていますが、現在の皿主(さらのしゅ)である平山栄治オジーの長男だと聞いた時には驚きました。
平山団長とは7年前からなぜか気があった男で、神様は必要な時に必要な人を選びますが全ての采配に感謝が溢れました。このあと、伊良部部落と仲地部落のお互いの決意を深める為に、奉納相撲も行われました。
今年は、仲地部落が勝利しました。ちなみに、平山団長の奥さんとは知らずに偶然、仲良くなったこの女性は、もう二人のお母さんとして立派に子育てをしています。こういう元気な若者たちのおかげで、大事なお祭りが次の世代が引き継がれていくのですね~。
5、パイヌフツ御嶽
ヌーシウタキの浜の向かいにある原生林のウタキ
前任の皿主、川満オジーは皆さん一人一人にお神酒をまわして感謝を伝えていました。奥様も同様に、あと三年間は現在の平山オジー夫妻を支える役目がありますので、どうぞ、宜しくお願いいたします。
6,カーイ(井戸)
伊良部部落が住み着いた最初の命の水を頂いた井戸の神様
井戸の神様の場所に来た頃には、夜の7時半くらいなので、12時間もかかる大切なお祭りを700年支え続けてくれた皆様、そして、暖かく私を迎えて下さった伊良部部落の皆様、本当にありがとうございます。
伊良部部落の方達は、最初から「吉岡さん!」と名前で呼んでくれる人がいるほど多くの方が私が来ている意味や想いを理解してくれていますが、反対に、島のルールや伝統のしきたりを理解せずに勝手にユークイに参加しているヤマトの方たちが居る為に、「全部、吉岡が連れてきた!」と勘違いしている方がいることを聞いたので、昨年から私はこの「ユークイ」に人を連れて来ない事にしています。
観光でこの島に来て頂いている皆さんには心から感謝していますが、伊良部時島の伝統行事「ユークイ」は最も伝統的なだからこそ、外部の人には教えない無言のルールが多くあるお祭りですので、島人の心がわからないままユークイのウタキに入ることは絶対にご遠慮下さい。
本土のお祭りのルールと違って伊良部島のお祭りは、皆さんに観光目的で見せる為に行っている訳ではなく、島民同士が互いに支え合う絆を深める目的で先祖に感謝するお祭りです。
ここ数年間の宮古島ブームのおかげで、伊良部島にも移住する人が増えていますが、ぜひ、自分のルールを相手に押し付けるのではなく、島人が大切にしている「無言のルール」を自分から教えてもらう心を持って島の人に接して下さることをお願いします。
沖縄で最後に残された秘境の地だからこそ、神は私に人の心や神の心を気づかせる為に白龍を見せたのだと思います。
だからこそ、相手の心を思いやる気持ちが無い興味本位だけで「伊良部ユークイ」に参加することはご遠慮下さい。
最後に、今回、まわらせて頂きました全てのウタキにお酒二本づつ「龍球王国」の名前で奉納させて頂きましたが、地球を愛する地球創生の皆様の想いを込めて奉納させて頂きました事をここにご報告させて頂きます。ありがとうございます。

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