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【白老郡白老町】 白老 カムイフム(神様の音)

12月4日、北海道白老町にあるアイヌコタン(集落)内で、「日本の先住民族アイヌとワタリガラスを繋ぐ祭典 カムイフム」が行われました。

主催は、苫小牧市から地域の人たちに愛を発信し続けている若者が中心となっていますが、サポートしているのはまったく利害関係のない他人のお父さんやお母さんたちです。

組織化はしていませんので、リーダーもいません。

全員がボランティアで、自分や誰かの歓ぶ顔が見たくて支え合っている素敵な仲間たちです。

誰かがやりたいことを始めると、支えたい人たちが自分の歓べる範囲で支え愛ます。

強制は、一切ありません。参加するもしないも、全く自由な人の繋がりです。

大切にしたい思いが同じだから、自分のことと他人の事を同じように考えられる心の大きな大人たちの繋がりです。

このボランティアの集まりを「ピリカレラ(美しい風)・ガイア(地球)苫小牧」と言います。

同じ道を通り、同じ水を飲み、同じスーパーに通う人たちの大切な繋がりを守り、本気で子供たちへ伝え残したいと思っている素敵な大人たちの活動のおかげで素晴らしいコンサートが実現しました。

まず、ポロトコタンに入ると、大きなアイヌの神様が出迎えてくれます。

熊も、「おー、よくきたな!」と言ってくれます。
会場は「チセ」と呼ばれるアイヌの大きな家を丸ごと一棟借り切って、素敵な音楽演奏が行われました。

出演者は、奈良裕之、ブルーレイバンwith中居栄幸、トヤトヤ、根繋ぎ、サヨコとナラ、かたつむりスピード、なまらなまら です。

僕は途中からポロト湖の神様に呼ばれたので、ムックリを購入して湖の神様に音奉納をしていました。
アイヌのコタンに行くと、こういう形でイナウが祀られている場所がありますが、その先は神様の世界ですので、絶対に超えてはいけない暗黙のルールがあります。
感謝祈りをしてからムックリの音を奏でると、光や風の神様が美しい舞いを見せてくれました。
久しぶりにアイヌ資料館をゆっくり散策してみました。
これは樹の皮を剥いて作ったとても貴重がジャケットです。現在も、この皮が取れる大切な樹を守ろうとしている人たちがあちこちにいます。
カムイノミ(神様への祈り)という儀式のひとつの様子です。
子供の頃に見たアイヌ民族の身長は、150~160cmほどでした。女性たちは、結婚すると顔にイレズミを入れて、悪いものが近づかないようにしていました。
子供の頃に芦別市で見た旭川アイヌの「イオマンテ(熊送り)」の儀式は、衝撃的でした。
寒さが一番厳しい2月、真っ白な雪の原っぱに小熊が太い鎖に繋がれています。
その小熊を見守るように、エカシ(長老)数名と正式な衣装を来たオバーたちが横一列に並んでいます。
若い男たちが手に弓を持って、小熊を中心に踊り始めます。
途中から、踊りながら熊の体に弓矢を打ち付けます。
一本、一本、弓矢の数が増えていきます。
小熊は必死にもがき暴れますが、踊りと弓矢は続きます。
何本もの弓矢が小熊の体に刺さり、あたりの雪は血の色に染まります。
少しづつ小熊の動きが鈍くなり、やがて、命は絶えてしまいます。
小熊の口から魂が親元へ戻るように、全員が祈りの歌と踊りをして儀式が終わります。

狩りで親を亡くした小熊を一年間大切に育てたあと、その子熊を感謝しながら殺して親の元へ送る儀式を二度、見たのですが、日本で最後の儀式だとあとで知り、驚きました。

何人もの長老と女性たちが氷点下20度以下のなか、立ったまま儀式を見守っていましたが、女性の洋服の下は裸だと部族の人に聞き、本当に神に身を捧げながら祈っていた事に驚きました。
熊の皮や肉、油は、冬の厳しい北海道ではとても貴重な栄養源だからこそ、自分たちの命を繋いでくれる熊の神様に、毎年、感謝の祈りとして行っていたのが、「イオマンテ」という儀式です。
私が産まれ育った芦別市は、旭川アイヌにとって最高の「熊の狩り場」だということも後で知りました。
特に私が産まれた常磐町は、仮の住まいを川の横に作って住み、熊を射止めては皮を剥いで川の水で洗って干していた大切な「猟場」だということも歴史を色々、調べてわかりました。

今も常盤町には何本もの川が流れ込んでいますし、植物や薬草が豊富な山が繋がっている為に、子供の頃から熊やキツネや野ウサギはよく出ました。

今年はどんぐりが天候不順で不作だったので、何度も熊が町へ降りて来た事件もありましたが、私たち北海道の人間はそれほど熊を撃退しません。
命の循環や自然の恵みを動物たちから与えられていることを身を持って学んでいるからです。
エカシ(長老)たちが示す賢い指針によって部族は命を守れてきたからこそ、知恵を持つ先人を大切にした民族がアイヌ民族です。エカシ(長老)の証は、この長いヒゲです。

私たち和人は100数十年前にアイヌの土地を奪って住んだ人間ですが、大きな自然の神様に感謝する気持ちは同じです。
だからこそ、先人や諸先輩たちから知恵を学び、全ての命を継承できる人の心を育てていきたいと思っています。
ポロトコタンを貸して下さったエカシ、また、白老の皆様、本当にありがとうございます。
この場所で和人がイベントを行ったのは初めてだからこそ、守護して下さる神々の思いを強く感じています。
共に同じ大地に生きる人間として、互いに知恵を出し合って生き抜く知恵を話し合っていきましょう。
関わって下さった全ての皆様、イライライケレー(ありがとうございます)

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