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【宮古諸島】2012 伊良部島ユークイ

2012年10月26日に行われた「伊良部島ユークイ」に参加してきました。

この「伊良部島ユークイ」という神事は、伊良部島にある南区の5つの集落と、北区にある2つの集落が、先祖霊が集まる御嶽(うたき)の中で、一年間の豊年を先祖と一緒に願う最も重要な神事ですが、実に、700年間も島の皆さんが支え続けている事実に感動します。

2005年に、伊良部島の佐和田御嶽に入らせて頂いたおかげで様々な人の導きがあり、伊良部島の全ての神事を司る中心人物が、伊良部部落の司主(つかさしゅ)=(皿主:さらのしゅ)と呼ばれる男性であり、各御嶽の責任者は、司オバーと呼ばれる女性たちであることがわかりました。
2012年は「伊良部ユークイ」に初めて参加してから8年目を迎えますので、今年は、ただひたすら島の皆様とご先祖に感謝する為に参加しました。
前夜祭を行っている佐和田地区、長浜地区、国仲地区にはお酒を二本づつ奉納し、特に、お世話になった佐和田地区には、タオル200本も奉納させて頂きました。
佐和田部落からお礼状を頂きました、ありがとうございます。
翌日の朝8時から夜8時まで12時間続く伊良部地区のユークイは、三日前から28歳の仕従習(しじゅうなら)と呼ばれる家を元(ムトゥ)と呼び、一年間の神事の会合場所になりますので、仕事が終わった青年団と神役目の方たちがユークイの成功を祈願して「オトーリ」を回しながら、心を合わせる話しあいをします。
元(ムトゥ)の奥様たちは、ユークイで振る舞う全ての食べ物や飲み物を準備しています。
伊良部島全体の最高祭司役である皿主(さらのしゅ)は年間42日の御願(うがん)をする決まりがあり、司オバーたちはさらにその倍の祈りをする神役目がありますが、それ以外に個人的な祈りの為にご先祖様と繋いだり、工事を行う時や家を建てる時に、土地の神様に許可を頂く神役目と責任が与えられています。
こういう司たちが仕切る伊良部島の「ユークイ」という行事は、五穀豊穣と島に子孫が続く事を願う神事だからこそ、神役目になった人たちは島を守る特別な役職として三年間の任期を努めています。
翌26日、伊良部地区と仲地地区のユークイは、朝8時に公民館(ブンミャア)から始まります。
午前9時頃になると、次の「中取り(ナハドゥ)御嶽」へ移動します。
この「ナハドゥ御嶽」は、伊良部島の御嶽の大元である豊見親比屋地(トゥンピャーズ)御嶽に繋ぐ重要な神役場としての意味がありますので、神役目の方たちが「前ユークイ」の祈りをしてくれているからこそ、この日に豊見親比屋地(トゥンピャーズ)御嶽まで行かなくて済んでいます。
この御嶽の神様には、200本のタオルとお酒二本を奉納させて頂きました。
11時頃になると、三箇所目の林の中にある「アダンニ御嶽」へ移動します。
この「アダンニ御嶽」は、子供を授ける力がある神様ですので、男たちは自分の子供たちに新しい孫が生まれることを願って踊り、女性たちは右奥の林の奥に集まって、神様を祝福する歌を歌い続けます。
年に一度、伊良部地区・仲地地区で生まれた子どもたちを祝う「抱増御願(ダツマスうがん)」も、この御嶽で行われます。
午後2時半、伊良部地区と仲地地区が合同で行う四カ所目の乗瀬(ヌーシ)御嶽の御願が始まります。
正面にある5つの香炉の意味は、左から乗瀬御嶽のタマメガの神様、世(ユー)のオバー、乗瀬(ヌーシ)のオバー、仲地のオバー、そして、太陽神を祀る香炉が置かれています。
一昨年、700年祭に建物を建て替えた時に、埋められていた歴代の司の香炉も建物の裏に並べられていましたが、三年間祈り続けた司たちの思いが、この香炉に残っているのを感じます。
外では、仲地部落と伊良部部落の青年団が奉納相撲を行なっていました。今年は、仲地部落が大勝したようです。
歴代の司オバーたちは、円陣になって神に捧げる歌を歌い続けます。
最後は、女性たちが東の海に向かって命を繋いでくれた神様に感謝の祈りをします。
午後5時、乗瀬御嶽の河向かいにある「パイヌフツ御嶽」に移動します。
誰も気づかない林の中の御嶽には、大きな神様が写真に映りました。
パイヌフツ御嶽の祈りが終わると、もう真っ暗でしたが、月明かりに照らされながら最後の河(カー)神の井戸へ向かいました。
最後の場所まで、一年間の島の五穀豊穣を祈り続ける伊良部地区の方たちの皆様の姿に感動しましたので、全ての御嶽にお酒を二本づつを奉納させて頂きました。
この「伊良部ユークイ」は、沖縄全土で最後に残っているとても重要な祈りだとわかったからこそ、昨年から全国の皆様を観光案内することはしていませんので、この島のユークイが永遠に続くことを遠くから見守って下さいませ。
私は、2004年に伊良部島の白龍様と神に関わる人たちに導かれたからこそ、今まで出会った全ての人の気持ちを大切にして、互いを支えう島の人達に感謝祈りを続けます。
目に見えない島独特の暗黙のルールを理解せずに勝手な意見を言ったり、観光気分だけでこの神事に入ることは、どうかご遠慮下さい。
最近は、大和の人たちが宮古島に多く住み着いているようですが、島の方たちの風習を理解するには、自分の価値観を相手に押し付けないことが重要ですので、まずは島人に愛される大和人(やまとんちゅー)になって下さることをお願いします。
伊良部島でお世話になりました皆様、本当にありがとうございます。

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