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【宮古諸島】伊良部島 700年間続く祈りの意味

2013年10月16日(旧暦9月12日)、伊良部島の中心にある伊良部部落で700年間続いている「ゆーくい2014」に参加した時のご報告をさせて頂きます。
※このお祭りは、一般の観光目的の方は入れません。

まず前日に、地球の一番底を守る「黒龍」と、一番上を守る「白龍」がいる「聖地 なべ底」で祈りを行い、そのあと伊良部島全体の神々の場所を回って感謝の祈りを行いました。






夕方になると、前夜祭の準備をしている佐和田御嶽と長浜御嶽へ行き、皆様からご寄付頂いた「地球創生基金」からお酒一升瓶二本づつと、感謝タオル数十本づつ(7部落合計200本)を奉納させて頂きました。





今回のユークイに関して、残念だと感じたことを二つご報告します。
ひとつは、佐良浜地区(池間添・前浜添)の一人のツカサ役の女性が神役目を辞退したため、1年間、佐良浜地区では神祈りができないことです。

確かに、一年間に100日近くある御願(うがん)=神祈りを三年間続けるのはとても辛い役目だと思いますが、神役目を支えるご家族や回りの人たちの思いで村の神事や御願いは支えられていますので、各部落の皆様の御心と知恵をお願いしたいと思います。

しかし、この問題は小さな島の部落の問題ではなく、沖縄全体で無くなってしまったお祭りや神祈りに共通する問題ですので、先祖たちが決めたルールをどう扱うのかも一人一人の神に対する心次第だと思います。

2011年に、伊良部島で最も重要な先祖ルーツを守っている名主(ナーヌス)御嶽の神メッセージをいただきました。

「ルールやしきたりは変えてもいいので、どうか、先祖や神に対する心を合わせる祈りだけはしておくれ!」

もうひとつの問題は、今年、国仲部落だけが違う日取りで豊年祭を行う事を決めました。
過去にも一度、同じ事があったそうですが、翌年からまた伊良部部落の日取りに合わせたのに、また、違う日取りで行うことを区長が決めたようです。

これは、伊良部島の人たちから良く聞く話しですが、神役目の人たちが決めたことを区長が政治や宗教がらみで変えてしまう事がよくあるため、とても困ると話していました。
各部落の区長の様々な問題は私も10年間、伊良部島に通い続けているからこそよく耳にしますが、政治がらみやお金のことよりも優先するべきことは「先祖に感謝する神心」だと思いますので、どうぞ、700年間先祖が大切に伝え続けた神心を想い出して、若い人たちが支えたくなるような知恵のあるご決断をお願いします。

伊良部部落のユークイは、お祭りを支える元(ムトゥ)と呼ばれる家から始まりますので、ここにもお酒一升瓶二本づつと感謝タオル数十本づつ奉納させて頂き、翌日、回ったの全てのウタキにも同様の品物を奉納させて頂きましたことをご報告させて頂きます。

 

◎伊良部部落のゆーくい・・・先導して頂いたのは川満照一神オジーです
1、翌朝8時から伊良部部落のブンミャ(公民館)に集まった人たちの顔を見ると、ユークイの日を心待ちにしていた様子が伺えます。
仕事を休んででもこのお祭りに参加し続ける人たちとは9年のお付き合いになりますが、また、おかしな北海道の男が来ていると思っていることでしょう。
「いつも、ありがとう。また、来年も来るよな?(^^)」と笑顔で話してくれた先輩達の言葉には感謝が溢れます。


2、ナハドウ御嶽豊見親比屋地御嶽の神様に繋ぐ場所:中取り)
最初に御嶽の神様にご挨拶をして鍵を開けるのは司オバーと皿主(サラノシュ)の役目ですので、祈りが終わるまでは誰も入れません。年に一日だけ、見えない鍵を開けて中で祈りを行う許可を頂いています。




この御嶽の神様の左手(上座)に座るのは「ユーのオバー」で、島が豊かなになる恵みを守る司オバーの最高位の女性です。
その隣に座るのは、乗瀬御嶽(ヌーシウタキ)を守る司オバーで、中国朝鮮台湾からやってきた先祖を守る役目です。

神様の右手には、現在の皿主(サラノシュ)、帳主(チョウノシュ)、先代の皿主と帳主、先々代の皿主という順番に神オジー達が座ります。
雨や風や日照りを防ぐコンクリート建物の中に入れる方は神役目が認めた方だけなので、一般の方は、建物の外でシートを広げて座っています。
※神オジーが許可した人だけが中に入れます

3、アダンニ御嶽
子供が産まれた時に行う抱増御願(ダツマスウガン)もこのアダンニ御嶽で行われますが、様々な事情で亡くなった人たちの御霊を黄泉の国へ送る場所もこの御嶽の中にあるので、この御嶽は命のつながり(生と死を守る)龍宮底神に繋がっている御嶽だとわかりました。

私はこの御嶽の中で皿主(サラノシュ)の平山栄治オジーが手を握りながら、とてもたくさんの感謝の言葉を授かりました。

吉岡さん、本当にいつもありがとう。
僕も、本当に神様がいるのをこの目で見たし、今年の春頃には夜中に目が覚めて、御嶽へ行かなければと思って歩いていると、夜空に金の龍が上がっていくのが見えて、本当に驚いたよ。
神様は、本当に、いるんだね!
これも吉岡さんが通ってくれているおかげで、神様が見せてくれたと思うので、僕が今まで調べた伊良部部落の御嶽の意味が完成したらあなたに渡すからね。
本当に、ありがとう。これから、宜しくお願いしますね。

僕もよく同じ体験をします。
夜中に夢を見せられて突然、起こされて、行動しなければいけないことはよくあることなんです。
神様は、いつも私達を見守り続けているのに、気付く人と気付かない人がいるだけなのだと思いますので、神様に選ばれた人は神の存在を行動で示すしかないと思ってこの島に通っています。

私もきっと、この島にたくさんの思いがある魂だと思うのでこれからもできることをさせて頂こうと思っています。
また、来年を来ますので、今後とも、どうぞ、宜しくお願いいたします。

タンディガタンディ!(ありがとうございます)


これは、司オバーたちがアダン二の神様に捧げている供物です。

4、乗瀬御嶽(ヌーシウタキ)
この御嶽は兄弟部落である伊良部部落(兄)と仲地部落(弟)が合同で行う重要な御嶽ですが、隣には、名主御嶽(ナーヌスウタキ)の神様もいらっしゃるので、「できれば私達のところでも祈りをして欲しい」とメッセージが入りましたので、神役目の方にお伝えしました。






5、パイヌフツ御嶽(別名:フツムトウ)
海の向こうからやって来た神様(人)が林を抜けてここでしばらく生活されたと言われている林の中にある御嶽です。
今回は、座れないほど多くの女性達が集まっていましたが、きっと、何か神知らせがあったのでしょうね。
ここにいる人たち全員の後ろに、神様がいるのを私は感じていました。



6、カーシン(河神)
陽も落ちた暗闇の中、伊良部部落の井戸を囲むように道路に座り、最後の祈りが始まりました。

ここでもとても驚く体験をしました。
私が9年前初めて参加した年に選ばれた神オジーが、直接、私のところへやってきて、こう話してくれたんです。

吉岡さん、本当に、いつもありがとう。
最初は、なぜ毎年、あなたが来るのかわからなかったけれど、あなたの行動を見ていて僕もこの島に神様がいることをわかったよ。
本当は、神役目に選ばれた時も神様の事はよくわからなかったんだけど、あなたの神様に感謝し続ける行動を見ていて、自分でも気になる御嶽の歴史を調べているところなんだ。
今は、この島に神様がいることを感じて、自分なりに感謝の祈りをしているんだよ。
あれからもう、9年になるんだね。
僕も初めてだったので一生懸命にやるしかないと思って頑張っていたけど、今は、神様の思いに歓ばれるように少しづつできることをしようと思っているんだ。
本当に、よく来てくれたね。来年も、ぜひ、また、来て下さいね(^^)

満面の笑みで強く握手しながら伝えてくれたこの言葉には、涙が出そうでした。
ユークイの全ての祈りを終えて川満照一オジーの家に戻ると、改めて、今回の参加に対してお礼の言葉を伝えて下さいました。
今年は、歴代の三人の神オジーから直接、お礼を言われたことにとても驚きましたが、それはこの島を守っているご先祖様たちの言葉だと思いますので、これからも伊良部島の神々が歓ぶことを続けていこうと思っています。

伊良部部落の神心がある人たちが悩んでいることのひとつに、ヒエやアワや豆の拝みの日取りを一緒にしたことを本来の形に戻すべきではないかという点で悩まれています。
ヒエやアワを4000年前に日本へ伝えた民族がいたことは関西神事で公開しましたが、その先祖の思いに対して700年間、ヒエとアワと豆の感謝の祈り続けているのが伊良部部落の神役目の人たちだけですので、この日取りを一緒にすることについての意味が問題なのだと思います。

沖縄では昔から食べる物が無いため、食べ物の種を運んで来た人たちを神として崇めますし、その種は命を繋いでくれた民族への感謝する祈りの意味があるからこそ、神役目の方達が700年間続けているのです。
実際に、ヒエやアワはもう作っていませんので一般の人たちからは祈りを辞めてもいいんじゃないかという意見もありますが、実は、このヒエやアワの祈りは、伝えてくれた民族の血の繋がりに感謝する意味があるからこそ、神役目の人たちが続けています。

先祖が繋いでくれた血のつながり(先祖)に感謝しなくなるとどうなるか、それは、簡単です。
先祖が守っている命の繋がりの力が弱まることで起きるトラブルは数多くありますが、実際に、起きたトラブルの意味がわからないと「命の繋がりが切れる事件」が多く起きます。
だからこそ、誰かが、真剣に古い先祖の繋がりに対して祈ってくれるおかげで、今も命が繋がっているということを全国の皆様も気付いて欲しいと思います。

9年間、三人の皿主(サラノシュ)たちの任期満了に合わせてお礼を言われた理由は、700年間続く伝統の命の火を消してはいけないという神様の思いなのではないかと感じています。
全国の皆様も、こういう人たちが祈り続けてくれいてるおかげで、生命の循環が守られている事に気付いて下さいませ。

翌日、宮古島の平良市内でお世話になっている本屋さん「bookきょうはん宮古南店沖縄県宮古島市平良字松原631)久貝店長」で見つけた分厚い本「みやこの歴史」も増刷を繰り返しているそうなので、私も買ってきました。



日本を守る白龍の聖地、伊良部島の人たちの祈りは、日本人の大切な先祖の繋がりを守る祈りを続けてくれています。

いつも、本当に、ありがとうございます。

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