長ラン・リーゼントの学級委員長 5 学校祭

長ラン・リーゼントの学級委員長 5 学校祭

長ランリーゼントの学級委員長の3年生になった時、最大の事件が起きました。

毎年恒例の「学校祭」は、各クラス対抗の「出し物競争」がありますが、伝統的に大きな出し物を載せる「リヤカー」を農家から借りていましたが、「生徒会長から、今年から使えないことになった」と副学級委員長をとおして言われました。

毎年3年生は最後の学校祭なので大きな出し物を作りますが、それができないなんておかしいと思い、生徒会長にじかに聞きに行きました。

生徒会長は、担任の先生から言われて俺も驚いたけど、理由を聞くと、毎年、農家に返す「リヤカー」の足が折れていたり、周りの板が壊れたまま先輩たちが返していたようで、農家さんから「今年は貸せない」と言われたことが判明しました。

農家にとって「リヤカー」は大事な輸送道具なのに、毎年、貸してくれる農家さんに甘えてきた結果なので、農家の息子としては悩みました。

遠くの農家さんではなく、学校の周りの農家さんから借りているはずだからこそ、学校中の18クラス全てを回って農家の娘・息子たちにご両親に直に、「現状を聞いてこい!」と伝えました。

翌日、返答を聞くと、貸しても良い親もいましたが、発言力がある農家の親父さんがいるようで、あまり、正直に問題点を話してくれないことがわかりました。

農家の息子としては、生徒会長には任せておけないので、学校付近の農家の息子、娘たちと一緒に親父さんに話しをさせて欲しいとお願いして、回りました。

「どうしても、うちのお父さんには話せない」という、うちのクラスの女の子の父親が、どうやらもっともうるさい農家の親父だとわかったので、俺が殴られてもいいから一緒に行くと言って、学校帰りに家に行きました。

「お前は誰だ!」から始まり、頭ごなしに怒る親父は慣れているので、相手の目をしっかり見て、自分も農家の息子でリヤカーの件で話を聞きに来たと伝えました。

親父さんは、今まで本当に我慢してきたみたいで、何度も頭を下げるので毎年、生徒に貸したリヤカーがボロボロになり、修理にナン万円もかかっていることを教えてくれました。

心からお詫びしてから、ひとつ、提案をしました。

今回は、私が責任を持ってお借りする分、契約書を書いて、もし壊れたら自分たちのお金で修理してから返すことを提案しました。

「もし、修理に出した時に、リヤカーを使いたくなったらどうするんだ!」と言われたので、その時は、「6km先の私の実家から自分でリヤカーを運んできます」と伝えました。

お父さんは、私の真剣さを試したようですが、覚悟はしていたので、本気でお答えしました。

それと、「学校の周りの農家さんたちも、お父さんが怖くて貸せないようですので、この話を全員に伝えて、一人一人農家さんと契約させてもよろしいでしょうか?」と尋ねると、それは他の農家の判断だから俺には関係ない!

「誰が俺が貸すなと言ったんだ!」と怒りましたが、「お父さん、それはお父さんの顔が怖いからですよ」と言うと、笑っていました。

一人の農家の契約ができたので、すぐに学校中の農家の娘・息子たちに伝えて、各クラスごとに責任を持って契約することを生徒会長を通して、通達しました。

翌日、生徒会長は教頭に呼び出されて事情説明をしたそうですが、珍しく「私たち生徒の思いを勝手に曲げないでください!」と先生たちに強気に出たそうです。

そのあと、私が校長先生から呼び出され、「また、お前か!」と文句を言いたそうな顔をしていましたので、今回は最初から頭を下げてお詫びしました。

「農家の気持ちはとてもよくわかっていますので、学校に迷惑をかけることは致しません。

今は、自分たちで対応できるのか話し合っている最中なので、最悪の場合、学校の言う通りになるかもしれませんが、これがこの学校の伝統を無くすかもしれないという点に私は葛藤しています」

 

と言うと、校長先生の顔が、かわりました。

あのなあ、実は、俺も実はこの高校の卒業生なんだ。

だから、うちの学校祭の出し物が、どれほど町内の人たちも楽しみにしているかをよく知っている。

だから、街の道路を通行止めにしてまで、出し物を見せてくれているのは、町内会や農家の人たちの協力があるからなんだ。

 

お前も農家の息子ならわかるだろう。

お金がない農家の大事な道具を壊したままで返すなんて、俺も聞いた時に頭にきたんだ。

ただ、この伝統が無くなることも悔しいので、今回は、お前たちの対応と判断に任せようと思ったのに、生徒会長は反抗的だし、お前は頭から謝るし、なんか、俺がお前たちをいじめているみたいじゃないか!

そこのところをよく理解して、生徒たちと話し合って決めてくれ。

お前たちが決めた結果には、教頭でも他の先生でも、逆らわせないから安心しろ!

 

そんなこと、できるんですか?

お前、俺は校長だぞ!

バカにするなよ!

俺だって、やるときゃやるんだぞ!

だから、一切、揉めないように、うまくやってくれ。

お前ならできるよな?

 

はい、必ず、学校にも、街の方々にも喜んでもらえる「学校祭」にしますので、どうぞ、よろしくお願いします。

 

お前、生徒会長になればよかったのになあ・・・。

いやあ、校長、それは言わない約束でしょ。

ダメですよ。

こんな、長ラン、リーゼントの生徒会長は、他の学校には恥ずかしいと思います。

だから、今の生徒会長が、ちょうどいいんです。

今回の件で、生徒会長とも本音で話せたので、俺と生徒会長と、表と裏を上手にやりますので、よろしくお願いします。

 

この時、本当に校長に気持ちが伝わったので嬉しかったのですが、指示を出したクラスによっては、「壊れたリヤカーの修理代金は払いたくない」というクラスがあったり、意見が割れてまとまらない結果になったので、3年生の全クラスの学級委員長と生徒会長を集めて話し合いました。

 

今、学校は、俺たちのやろうとしてることをやめさせたいらしい。

でもよ、俺たちだって、できるだけ努力していることは認めて欲しいよな。

 

全クラスの農家の子供たちに聞くと、半分はOK、残りは親父がダメとか、クラスがまとまらないのが、今の現状だ。

無理矢理、貸してくれる農家さんのリヤカーを使ってもできるけど、そうすると、他のクラスとの出し物の差が大きくつくよな。

ここは、考えどころだ。

 

自分たちのやりたいことを無理矢理通すのか、それとも、全体のことを考えて、リヤカーを使わないか、ふたつに一つの選択だ。

一人づつ、意見を聞かせてくれ!

その結果、最終的に、悔しいけど「リヤカー」を諦めた出し物を作ることに決まりました。

 

当然、私はクラスの女の子のお父さんに、こういう事情で話がなくなりましたと事情説明と、お詫びしに行かなければと思いました。

後日、いつも怒られ殴られているクラスの女の子のために、私の父に事情を話して、「日本酒の一升瓶」をお詫びにお父さんに持っていきました。

笑顔で、「すまんな」と言ってくれた同級生のお父さんに、この時とばかりに、

「すいません、お父さん。

娘さんに、もう少し優しくしてあげて下さい。

毎日、顔を腫らしている彼女の姿を見るのが、とてもつらいので、どうかお願いします!」と言いました。

翌日から、クラスの女の子の顔が腫れることは、二度とありませんでした。

「リヤカー」を使わない出し物を考えた結果、私のクラスは「正倉院のあぜ蔵作り」の特別な御神輿を作って「お祭り」をやることに決まりました。

結果は、町内の投票の結果、全校トップの点数を頂き、先生たちからのお願いで、素敵な御神輿は数ヶ月間、校庭に飾られました。

とても大きな心で対応してくれた校長や同級生のご両親たち、そして、みんなの心を一つにして生徒たちの批判にめげず、頑張ってくれた各クラスの学級委員長と生徒会長に感謝です。

 

学校祭の最後の準備の数日間、娘の顔を殴り続けたあのお父さんから、全クラスに「スイカの差し入れ」がありました。

本当に、ありがとうございます。

 

人が本気になれば、どんな人の心でも動かせることを、この体験で学びました。

先輩たち、本当にお世話をかけました、ありがとうございます!

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