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母の教え:男は敷居をまたげば7人の敵がいる!

「男子たるもの、家の外に一歩出れば、七人の敵がいるんだよ。」

と私に母が教えてくれたのは、中学3年生の時でした。

そんなに男は敵が多いのかと思いましたが、ちょうど、テレビで「7人の侍」という番組を見ていたので、江戸時代ではない昭和の時代でも、敵が多いのかと覚悟しました。

 

母は、いつも「ことわざ」を使って私に生きるための教育をしてくれますが、その「ことわざ」を古いと思う前に、年上の人たちにあなたも聞いてみて下さい。

私も無口な父を含め、郵便屋さんや、用務員のおじさんや、親戚のおじさんたちにたくさん質問しましたが、なかなかわかりやすく教えてくれる人はいませんでした。

やっぱり、最後は母の父親である「おじいちゃん」に聞くしかないと思って、お邪魔しに隣まちまで汽車に乗っていきました。

 

母に教えたのはおじいちゃんだからこそ、その真髄を聞きたくて質問したのですが、おじいちゃんは、答えをすぐに言ってくれませんでした。

いつも、即答するおじいちゃんが答えない理由を霊視すると、自分の戦争体験を思い出していたようです。

一緒に入隊した兵隊は、「同期の桜」の運命共同体としての訓練を受けますが、その時の体験をおじいちゃんは話してくれました。

 

俺が兵隊になって訓練学校に行った時、一個師団が1万人くらいいるので、6名づつの「班」に分かれて、

「生きるのも死ぬのも一緒だから24時間、共に生活しろ!そして、班長を決めろ!」と兵長に言われたんだ。

 

全く知らないヤツらだけど仕方がないので様子を見ていると、「俺が班長になる!」と言ったヤツがいたんだ。

俺はやりたくないけど、もし誰もいなかったら自分がなる覚悟はしていたので、よかったと思ったのさ。

その班長が、すぐに大きな失敗をしたんだ。

持ってきてはいけないものを自分の布団に隠していた時、急に兵長が「持ち物検査をする!」と入ってきたんだ。

その時、隠していたものを俺の布団に押し込んで何食わぬ顔をしていた班長は、俺が殴られるのを笑って見ていたのさ。

 

どうして?黙って殴られたの?

 

いいか、俺たちは運命共同体としてお互いの命を守り抜かないと死んでしまうから、何があっても支え合わないといけないと俺は思ったのさ。

俺が殴られるのは我慢するけど、その時、笑っていたことが頭にきたので兵長が帰った時に、問い詰めたんだ。

 

殴ったの?

 

殴るのは、最後さ。

最初に手を出すヤツは、弱いヤツだから、絶対に先に手は出すなよ!

相手が殴ってきたら殴り返していいのさ、正当防衛だからな。

 

俺が、「隠したものを見せろ!」と言うと、「見せない!」と言うので、胸ぐらをつかんで何度も怒ったんだ。

すると、そいつが見せてくれたのが、自分の母親の写真だったのさ。

それを見たら、俺も何も言えなくなったんだ。

 

でもまた、持ち物検査で見つかると殴られるので、俺は、「その写真を食べてしまえ!」と言ったんだ。

俺たちはこれから死にに行くんだから、母親から生まれた俺たちが、母親の写真を食べてしまえば、母と一心同体で死ねるぞ!

と言うと、そいつも納得して写真を泣きながら食べていたよ。

俺も一緒に泣いたけど、コイツは、最後まで俺を守ってくれた人だったんだ。

最後は、敵兵に撃たれて死んだけどな。

 

お前が母さんから教わった「男は敷居をまたげば7人の敵がいる!」いう意味は、自分を騙したり、いじめたり、苦しめる人間もいるけど、だからこそ、お互いを支え合えるような知恵を持って生きなさい、という意味なんだ。

だから、刀や武器を振り回して他人や仲間を脅かすような人間にはなるなよ!

 

「死なば、もろとも」って言葉を知っているか?

俺もお前も死ぬときは一緒だという意味さ。

 

今は、戦争も終わったけど、会社に入っても足を引っ張るヤツや、陰口を言うヤツは必ず、いるので、自分と一緒に戦える仲間を見つけなさい。

人は、一人では弱いもんだ。

だから命を守りあう人間と、一緒にいないと攻撃的になるものなのさ。

 

夫婦もな、毎日、喧嘩していても「戦友」さ。

一緒の時代を一緒に生きる覚悟をしているから、俺はこの婆さんと結婚したのさ。

婆さんは、どこまで覚悟しているかは知らんけどな。

 

振り向くと、おばあちゃんが、「私も死ぬまであんたについて行くよ!」と笑っていました。

 

この教えのおかげで、学校でも、サラリーマンになっても、私はいつも一緒に死ねるくらいに本気で付き合う人間を探していました。

サラリーマンを辞めて自営業になった時は、またひとりぼっちでしたが、日本全国を回っているうちに、本気の大人たちに出会うことができました。

今は、女性が社会進出して頑張っていますので、男よりもっと敵が多いと思いますので、賢くなって下さいませ。

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