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「土地の所有」から始まった支配

地球上の人間が、人を支配したり、動植物や食べ物を支配し始めた始まりは、「土地の所有」という概念から始まっています。

そのことが一番わかる場所は、先住民しか住んでいなかった日本の「北海道」の歴史と、世界ではアメリカの歴史を調べるとわかります。

世界中に先住民しかいなかった時代は、「土地の所有」という概念はありませんでした。

では、誰が最初に「土地の所有」を始めたのでしょうか?

そのことを学ぶためには、先住民に話を聞くしかないので、私は北海道自然神神事が始まった西暦2003年から北海道中のアイヌの場所を訪れて、いろんなアイヌの人たちに直接、質問してまわりました。

しかし、1669年の函館五稜郭交易の問題から➡️「シャクシャインの戦い」が起こり、「和人の侵略と支配」が始まったため、先人の知恵やアイヌ語を使うことが禁じられました。

この戦い以降に生まれた人たちは、古い時代のアイヌの歴史を聞いていない人が多いので、北海道の全てのアイヌが認める知恵者の「葛野辰次郎エカシ」の魂と対話し、詳しい話を聞き出すことができました

※エカシ=長老

「葛野辰次郎エカシ」の葬儀は、アイヌ部落で1回、北海道全体のエカシたちの葬儀が1回、そのあと、和人達が国葬として1回葬儀を行ったほど、知恵のある人でしたが、私がご自宅に伺った時は葬儀が終わった翌年でしたので、息子さんからお話を聞くことだけはできました。

➡️「葛野辰次郎エカシの伝承」についてはこちらをお読み下さい。

「葛野辰次郎エカシ」の魂が、私に話してくれた内容をここに記録として残します。

 

我々、人間が生きる上で最も必要なものは「食べ物」だからこそ、我々、アイヌはもともと「海側」にしか住んでいなかったのさ。

でも、「和人」が函館を占領し、「土地の支配」をしたと聞いたので、「石狩アイヌ」はもともと住んでいて石狩川の海辺から船を出して、村人全てと旭川まで川を登って逃げたのさ。

旭川にたどり着いた理由は、海がしけて魚が取れない時は山の木の実や小動物たちを食べていたんだが、大きなクマが出てきたので、みんなで力を合わせて1匹のクマを殺したのさ。

生きているものを殺した時、その肉を食べることが最も「供養」になることをアイヌは知っているからこそ、肉を食べ、毛皮は剥いで寒さから身を守る毛皮の服を作ったのさ。

川のシャケの皮も無駄にはせず、皮を乾かして草木の糸で編み込めば、氷の上でも歩ける靴ができるので、子供達はたいそう喜んだものさ。

春先に冬眠から出てきた母熊を狩りで殺した時は、必ず、小さな子熊がいるので、1年間、大切に育ててから母の魂の場所へ行くるために、「イオマンテ」という「魂送りの儀式」をしてから肉を分けあったものさ。

その儀式は、冬の間で最も食べ物がない「極寒の1月」と決まっているのさ。

 

天無神人:私も子供の頃に、二度、芦別市で生きた子熊を殺す場面を見ましたが、そういう意味があったのですね。知らずに、大変失礼しました。

いや、「和人」にはわからんだろうな。

俺たちは、お前たちみたいに「土地を所有」することを思ったことが無いし、今まで一度も考えたこともないんだぞ。

なぜか、わかるか?

この地球という星に生き物が生まれた時、地球が育んでくれた草木や動物や魚を食べることで、人間も動物も生き延びてきたのだから、人間が住む「大地は母」だからこそ、母を独り占めなどできるわけないだろう。

多くの動物が生まれ、弱肉強食で生き残ったものだけが群れを作り、家族を守ることができるからこそ、俺たちアイヌは、全ての動物を殺すことは絶対にしないんだ。

だってな、ひとつの種族の動物を全て殺せば、弱肉強食のバランスが壊れるから、必ず、最後は「人間の食べ物がなくなる」ことを俺たちアイヌは学んでいるのさ。

北海道の中央部は、高い山ばかりなので、アイヌが住むには都合が悪いので、住む場所を探す時は、必ず、植物の分布を調べて、その植物を食べる動物は何かを見極めて、生態系の全てを1年間、見守ってから、その植物や動物を少しだけ分けてもらうことを神にお願いして住ませてもらうのさ。

俺たちが呼ぶ神は「カムイ」と言うが、それはお前たち和人がいう「都合がいい神」ではなく、人間を食い殺すクマでさえ、俺たちは「キムンカムイ(山の神)」と呼んで祈りを捧げるのさ。

なぜかというと、今、食べ物が大量にあったとしても、永遠に食べ物があり続けるわけはないからこそ、自然界や動物たちの食べ物の一部を分けてもらうことを神に感謝してきたので、俺たちアイヌは、長い間、世界で生き延びてきたのさ。

そういう知恵は、「和人」には無いと思うなあ。

「土地の所有」をするという意味は、神の場所である地球の一部を支配することになるし、それをもし、人間全員が土地を所有すれば、残るのは人間が住めない場所だけ残るのさ。

実際に、他の部落であったことだが、食べ物を支配したい奴は、家の近くの山の木の実や動物たちを全て食べ尽くしてしまい、次の山へ移動して、また次の山を丸裸にしたのさ。

その結果、自然界は大きな循環ができなくなって、花も咲かず、木の実も取れない木ばかりが育ち、最後にその部落の全員が死んだことがあったのさ。

人間はいつも、愚かな間違いをするものさ。

ただな、その愚かさに気づいたら、神々に「お詫びの祈り」をして、自然界の神々が喜ぶことをすれば、翌年には花が咲き、実が実り、動物も集まり、俺たちの食べ物は手に入るのさ。

最も貴重な精力剤の「アイヌネギ(ヒトビロ・行者ニンニク)」は、取れる場所を絶対に教えない理由も、その昔の反省があるので、あるもの全てを取ってしまうと来年の食べ物が無くなることを知っているからこそ、絶対に、家族でも場所は教えないものさ。

お前たち和人は、「生き延びる知恵」を持っているのか?

この地球は時々、大きな山が噴火したり、厳しい自然災害が起きたり、海の魚が取れなくなったり、山の動物たちがいなくなることもあると、私は古いエカシ(長老)から聞いているので、子供や孫たちには、

「決して、目の前にあるものを全て奪うような生き方はするな!」

と教えているぞ!

自分がいくら食べたくでも、誰かのために残してあげる心がなかれば、人間は決して、動物たちも人もお前たちを、誰も助けてはくれないぞ。

土地を支配することを当然だと思った他の国の奴らが、昔からこの北海道にもやってきたが、

「この北海道の大地は、誰も所有していないので、欲しかったら好きに持っていけ!」

と先輩エカシが、そいつらに言ったのさ。

なぜ、そう言ったかというと、土地は担いで持っていけないからさ(^^)

土地の支配を許した結果、ここは俺の土地だとか、この山は俺のものだと言い張る奴らが増えたが、自然界の神々は笑っているさ!

いくら人間が土地に線を引いて、自分の土地だと言い張っても、そんなもの簡単に自然界の神々は奪ってしまうのさ。

川の氾濫、山崩れ、土地が大きく揺れる地震や海の津波、いくら人間が住みやすいからと言っても、決して、海側の低い場所には住んではならんぞ!

昔々のアイヌは、魚の漁をするのに近いからと、海側ギリギリに住んでいたが、必ず、100年か150年単位で海が大荒れになったり、大きな地震で海側のアイヌが全て死んだことを、長老たちは語り継いで教えてくれたものさ。

だから、旭川アイヌは、自分が住んでいた石狩川の海側の場所から移動して、山奥の旭川までやってきたのさ。

俺たちアイヌは山の木の実や小動物を食べて生きてきたので、小動物の動きを見ていると、次にどんな危険が来るのかも、わかるのさ。

あの時も、「函館で和人が土地を支配した」と噂になった時、石狩川の動物たちも、魚たちも一斉に上流へ逃げていったのさ。

つまり、和人が住めば、その土地の動植物全てを食い尽くし、次には隣の土地も奪って食物を奪い続けることを、動物たちも本能的に知っているからなのさ。

 

お前はわかると思うが、この人間の愚かさは、必ず、いつか、責任を取らされることが起きるぞ!

世界中の食べ物が一斉に無くなるとか、海の魚が全て食べられなくなるとか、何かとんでもないことが起きる気がすると、長老たちも口にしていたなあ。

だから、俺たちアイヌは、岩盤が強くて大きな地震にも山崩れが起きない場所にしか住まないのさ。

山には必ず、どこかに川が流れているものさ。

だから、川のそばにある、岩盤が硬い場所に住むのは、アイヌの常識なのさ。

そういう知恵は、「和人」には、あるのか?

 

天無神人:たぶん、そういう知恵は、和人は誰も知らないと思います。

だからきっといつか、あなたが言うように食べ物が無くなり、住む場所が、水や海に流されると私も思っています。

私ができることは、出会った人にその知恵を教えることだけですが、みんなが一緒に住む土地や自然界の循環のことなど考えていない人ばかりなので、きっといつか、全ての食べ物が無くなる時があると思います。

今、するべきことは、食べ物を与えて下さる地球と、自然界を守る神々にお詫びをして、自然界の神々に許してもらいながら、自然界の神々が喜ぶような生き方を人間がしないといけないと思って祈りを続けています。

どうか、そういう時が来たら、また、お知恵をお貸し下さいませ。

 

ご案内)神仏心大学

 

 

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