「魂の封印」を完全に解き放つ!!

父が教えてくれたアイヌの知恵 1 微生物の循環

◯人類に残された時間

小学生時代のある秋の日、母の畑の手伝いをしている時に、母が悩んでブツブツ言っていました。

「何を悩んでいるの?」と聞くと・・・。

来年のために、畑の土に栄養を与えたいんだけど、どうやればいいのか、忘れたのさ。

父さんは知ってるみたいだけど、去年、「畑の土の作り方」で大喧嘩したので、私から聞くのも嫌だから、お前、聞いてきてくれないかい?」と私に言いました。

自分で聞けばいいのに・・・、と思いながらも、田んぼの土づくりをしている父にお願いして、母の畑を見てもらいました。

「完全無農薬」だった私の家は、秋の収穫が終わると、毎年のように「来年の土づくり」のために夫婦喧嘩している二人だったので、「父は田んぼを担当」し、「母は畑を担当」することにして、お互いに一切、相手のやり方に文句を言わないルールになっていたのです。

 

秋になると、来年のために「土壌改良」しなければ、お米や野菜を作る「微生物」がいなくなるので、「来年の野菜ができないと、お前が好きな漬物が食べられなくなるよ」と母に脅されたのもあり、私が夫婦の間を取り持つ役目をするしかないと思いました。

田んぼから上がってきた父は、畑を一周して、母が畑で何を作っているかを見てから、「これからお前に教えることは、お前にだけ教えるから、母さんには言うなよ!」と大きな声で言ったあと、こう教えてくれました。

※母は、すぐ横で聞いているのに、全くいない人の話をしているかのように言う父を見て、この二人、相当、相手のことが気に入らないのだとわかりました。

 

父:いいか、畑の土も田んぼの土も同じに見えるが、実は、全く「土壌の性質」は違うんだぞ。

まず、田んぼは「水」を大量に使うから、水の温度や気温と、土壌の性質を理解しないと、お米さえ、出来ないのさ。

例えば、黒土と赤土、粘土質の土と、石灰岩の土の「微生物」は違うので、何が足りなくて、何が多いかを知らなければ、土の中に入れるものは違うのさ。

一見、平らで同じ土に見える田んぼも、実は、深い土の中は傾斜があったり、土と粘土が混ざっていたりと、同じものを入れても、成長に大きな差が出るんだ。

 

「あの広い田んぼの下の”土の状態”を父はわかるの?」

わかるさ、馬で田んぼを耕している時に、大きな鉄の歯が引っかかったり、深く入るので、それで、土の中の土壌の状態がわかるのさ。

まあ、1mくらいまでだが、大体の様子はもう、頭の中に入っているので、土壌が悪い場所は、馬を休ませて、必要な「微生物」がいるものを田んぼに混ぜ込むんだ。

 

へー、すごいね!その知恵をこの畑で使うには、どうすればいいか、教えて下さい!

そうか、じゃあ、お前にだけ、特別に教えてやるか!

まず、「土」というものがどうやってできるかだが、山が地球の中から盛り上がった時に、古い堆積層の中の古い植物たちや木々が、長い年月をかけて「土」になるのさ。

大雨が降った時の「山崩れ」を見たらわかるように、山の肌が出た時、どういう性質の土壌かわかるので、俺は毎年、大雨で「山崩れ」が起きると、山に入って行って、どの山がどの土壌を持っているのかをこの目で見て覚えてくるのさ。

そうしたら、その山から湧き出る水に入っている「微生物」がわかるだろう?

そして、その川の周りの植物が、どういう植物が育っているかを見てから、畑に何を植えると育つのかを見極めるのさ。

 

そんな大事なことって、他の農家の人たちは知っているの?

誰も知らんだろうな。

俺は小さい時に「山の神様」に教えてもらったから、誰にも言わない約束をしたので、教えられないのさ。

 

だから、大雨の時にいつも雨ガッパを着て、山の方へ行くんだね。

母はいつも、文句を言っていたけど、大事な土壌調査だったんだね!

そうさ、母さんは何も知らんから文句を言うが、俺も「山の神様」に約束したので、夫婦であっても教えることはできないのさ。

お前はお前の神様がいると思うし、お前にだけは教えて良いと「山の神様」が言っていたぞ。

だって、お前は幼稚園の頃から、山の川から流れてくるものをわざわざ、山の方へ持って行って、山の木の下に埋めていただろう。

あれが、「微生物の循環」を早める方法だと誰も知らないが、自然界は、自分で下から上に物を持っていけないからこそ、時々、大雨を降らしたり、大地が割れるような大きな地震を起こして、「大地の微生物の循環」をしているのさ。

 

そんなことも知らん馬鹿者たちは、山が崩れると、セメントで埋めたり、防御壁を作るが、あれは作っちゃダメなんだ。

人間が土地を所有するようになる前は、「山崩れ」が起きたら野菜を作る場所を変えるんだと、「アイヌの人」から俺は聞いたぞ。

その「アイヌの人」のおかげで、自分が知らないことをたくさん教わったのさ。

ほら、あの山の一番奥に住んでいる一人の老人がいるだろ?

あの人は、函館のほうから逃げてきたアイヌで、家族も散り散りバラバラになった時、芦別市常磐町の山には多くのクマが来るので、そのクマのおかげで、この土地の土壌が良いとわかり、山奥に一人で住んでいるのさ。

クマはな、人間が思う以上に働き者で、ドングリしか食べないので、いろんな山を回ってドングリの木を見つけて、しばらくそこに住むそうだ。

山にドングリの木が3本くらいあれば、クマの一家族が住んでいけるらしいので、アイヌの人は、そのクマを銃で打って食べて生活しているのさ。

 

クマの排泄物は、たくさんの木の実と微生物を持っているので、ひとつの山にはない微生物をフンで落とすおかげで、山は微生物の循環が起こり、いろんな山の山菜や植物ができるのさ。

俺は結婚してこの常盤(ときわ)の地に住んだ時、すぐアイヌの長老たちに聞いたが、「和人にこのことを教えるのは初めてだ」と言ったけど、頼んで教えてもらったのさ。

だって、この土地に先に住んでいる人がいたら、教えてもらうのが一番だし、あとから入ってきた人間は、先に住んでいる人間に挨拶するのは、当然の礼儀だろう。

お前のお母ちゃんは、アイヌが嫌いらしくて、アイヌの話をすると嫌な顔をするし、犬畜生と呼ぶし、俺は挨拶させたいんだが、絶対に嫌だと言って合おうともしないんだ。

どうやら、和人がアイヌの土地に住んだ時、アイヌは文字を持たないので、馬鹿者扱いしたし、結局、揉め事で争いになったが、和人は銃や武器を持っているので、簡単にアイヌの土地を奪って、勝手に売買したのさ。

俺は土地を所有するのは嫌だったが、お前たち子供を育てるには、仕方ないので、結婚して、農業をするしか「元武士」はすることがないんだ。

それまで小作農たちに田んぼを作らせていたから、農家を自分でやるのは大変だからこそ、俺の本家の親父は、「農地改革」で土地をほとんど小作に渡した後は、農家の家を回って、「教えて下さい」と言って回ったのさ。

 

俺は、親父のそういう姿を見ているからこそ、俺はいつもお礼の意味で、母さんが作った野菜をこっそり盗んで、山のアイヌの長老のところに届けているんだ。

今度、お前も連れて行くから楽しみしておけな!

あのアイヌのオジサンはな、もともとは今、俺たちが住んでいる平地の場所で生活していたそうだが、この土地に和人が入ってきて、この土地は「俺のものだ!」と言い張るので、仕方なく、どんどん山奥に逃げるように入るしかなかったと、教えてくれたのさ。

 

アイヌは、「土地を所有するという概念が無い」のさ。

自然は全部、神様の贈り物なので、神様の物を自分の物だなんて、誰も言わないのがアイヌなのさ。

だから、あのアイヌのオジサンに聞けば、どれだけ作物が育たない時でも、どこへ行けばどういう食べ物があるか無いかを全て知っている人なのさ。

お前が幼稚園の時に劇で使う「ワラジ」を編んでくれたのも、あのアイヌのオジサンだぞ!

もう、芦別市のアイヌも、最後の一人になってしまったけどなあ。

 

だから、父はいつも自然界の鳥や動物たちに耳を傾けたり、風や土地の声を聞いたりするんだね。

僕も、自然界の声は聞こえるけど、どうして父が自然界の神様の声が聞こえるのか、不思議だったんだ。

アイヌに「微生物」と言う言葉は無いが、なんかそれに変わる神様の名前があったなあ。

俺は、発音できないけど、その言葉が「自然界の循環を司る神様の名前」なんだと、アイヌのオジサンが教えてくれたのさ。

この続きは、明日です。

コメント

  1. 河西伴法 より:

    とても興味深いです。

    続き、楽しみにしております!

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