母の教え:女は25歳までに結婚しないと、人生、楽しくないよ!
私が中学生2年生のある時、突然、母が私にこう言いました。
「女はワガママ25年、子育て25年、楽しみ25年なんだよ!あとは、後始末さ!」
なぜ、こんなことを男の私に言うのか母に聞いてみると、こう教えてくれました。
私は、結婚したくてしたんじゃ無いのさ。
「尋常小学校(4年間)」を出たら、次の「高等小学校(2年)へ行きたいって父に言うと、「女に学問はいらん!」と怒られて、泣いて泣いて、毎日、ご飯も食べずに家の隅で座り込みをしていたら、やっと、「高等小学校だけは行かせてやる!あとは、絶対に行かせないからな!」と言われたのさ。
今のあんたたちの小学校6年生で、社会へ出て働けってことだよ!、わかるかい!
12歳にもなったら、もう体は大人だから「自分一人で生きていけ!」って意味なのさ。
私たちの時代は、戦争の真っ最中なので、女は、飯炊きと子育てが仕事で、ご主人が戦争に行った人たちは、自分一人で食べ物を作らないと生きていけない時代だったのさ。
うちの実家は、米と野菜を作っていたけど、本当に貧乏な家は、今でいう小学校4年生で、働きに出るのさ。
10歳で、どんな仕事ができるの?
いいかい、女はね、子供を産めば生きていけるのさ。
だから、どんなにブスでも、頭が悪くても、男に嫁にしてもらえないと、女が一人では生きてはいけない時代なのさ。
唯一、一人でも生きていけた女は、手に技術を身につけた「職人の女」だけだね。
私の同級生も16歳で子供を産んで、しっかり3人の子供たちを育てたよ!
なのに、お前の同級生の女たちを見ていると、先が思いやられるわ。
14、15歳になっても、まだ、子供言葉を使うし、年上と話す言葉使いも知らない女を嫁にする男はいないさ。
だってね、15歳でも子供を産めば「母」だよ。
人間としてはまだ、子供だけど、親の教育と本人の心掛けひとつで、嫁にしてくれる男はいるものさ。
年増の女を嫁にもらうより、若い女の方がずっと素直で良いに決まってるでしょ。
昔からね、「女はワガママ25年、子育て25年、楽しみ25年なんだよ!あとは、後始末さ!」と言われたものだけど、私の父さんは厳しい人なので、ワガママなんて言ったことないしさ、兄貴が結婚すると決まったので、仕方なく嫁にきたのさ。
あんたの父さんなんて、写真しか見てないのに嫁に来たんだよ。
実物の顔を見たのは、結婚式の当日さ。
花嫁衣装を着せてもらいながら着付けの人に言われたのは、何があっても、顔を上げてはいけないよ。
女は、どんな時でも下から少し「うわ目使い」で男を見れば、綺麗に見えるものなのさ。
正面に向かって、言いたいことを言うのは、結婚してからにしなさいね。
まずは、結婚、そして、1日でも早く子供を産むことさ。
そうしないと、男は次の女にいってしまうので、離婚されるよ。
あなたは見栄えはいいけど、生根(しょうね)がキツイから、絶対に悟られないように、今日1日は我慢しなさいね。
きっと、席を立つこともできないと思うので、おしめの代わり手拭いを2本、股に挟んでおくから、オシッコはこの手ぬぐいに、少しづつ、しなさい。
少しづつなら、手拭いも乾くので、座布団を濡らさないよ。
今日は、大事な結婚式の日だから、食べ物も、飲み物も一切、口にせず、我慢しないね。
そうしたら、それだけで、良い嫁が来たと親戚の人たちは喜ぶのさ。
飲み食いしたらトイレに行きたくなるでしょ。
それだけで、「行儀が悪い嫁」と親族に思われて、離婚された人もいるんだよ。
さあ、頑張って行ってらっしゃい!
母は、この結婚式の日のことを思い出し、泣いていました。
本当は好きな人がいたんだけど、父さんに言えるわけないでしょ。
私の家は岩手県の武士だからこそ、吉岡家の武士の家系を父さんが調べて、「ここの家柄はいい!」と父さんが決めたのさ。
女の実家の父親はね、ご先祖に恥じないように、「自分の家柄以上の家に娘を嫁がせること」で、先祖に恩返しできるのさ。
だから、私の意見なんて一切、言えないし、ある日、突然、「この男と結婚しろ!」と言われたら、「はい」としか言えない時代なのさ。
いいねえ、今の時代は・・・。
25歳も過ぎて、チャラチャラ綺麗な洋服を着ている女たちを見ていると、今は男にチヤホヤされているけど、30代、40代になってどうやって生きるか、考えてないのがわかるから心配だわあ。
親が知り合いだったら、私はどんなことをしてでも、結婚はさせるよ!
私の結婚は幸せとは言えないけど、お前たち息子が2名生まれたので、初めて本家に褒められたさ。
男の子を産めない女は、何人、女を産んでも離婚された時代なのさ。
命を繋ぐのが、「先祖の恩返し」だから、よく覚えておきなさいね。
25歳までに結婚しない女は、信用しちゃだめだよ!
自分勝手で、気ままに生きてる女ばかりだから、ろくな子育てなどできるわけないでしょ。
私は学校へ行かせてもらえなかったので、あんたに教える「学(がく)」はないけど、父さんが初めて、私のためにお前の名前を決めたと筆で書いた紙を持ってきてくれたのさ。
父さんは、本当は「ガク」と呼ばせたかったらしいけど、私が、頼んだのさ。
お父さんの気持ちはよくわかっています、私に学(ガク)が無いから、私の子供に「ガク」と付けて、私の足りないところを補ってあげたい思いなのでしょ。
でもね、父さん、私は自分の子供を「ガク」とは呼びたくないのです。
「ガク」と聞くと、尋常小学校で毎日、朝に、「今日は、学徒動員だ!」と先生に言われて、農家の手伝いに朝から行くので、また、一日、勉強ができないと悔しかったし、無料で強制労働させることを当然と思っている人たちに腹が立ってたまらなかったので、「ガク」とは呼びたくないんです。
「まなぶ」と、呼ばせていいですか?
わかった、お前の気持ちはよくわかった。
ならば、もう一度、区役所へ行って書き直しをしてくるぞ!
それと、お前が子供と一緒に学べるようにたくさんいろんな本を送るから読みなさい。
いいえ、お父さん、本は送らないで下さい。
私の夫は、本なんて読む暇があったら、畑で仕事をしろっていう主人なので、本が見つかると燃やされるので、本もお金ももったいないです。
だから、お気持ちだけはありがたく受け止めておきます。
どうか、「まなぶ」と改名することをよろしくお願いします。
あとから、母の実家に行く機会があったので、この話をじいちゃんに聞くと、すぐに役所へ行って書き直したいと言うと、「一回、出したものはもう変更できない」と言って突っぱねられたそうで、頭にきたじいちゃんは、「もう一回だけ、書いたものを確認させてくれ。間違ってると家族に怒られるから。」と言って、見せてくれた出生届を引きちぎって、食べてしまったそうです。
「さすが、武士の子供!」と私が言うと、祖父は笑っていました。
お前の母さんとの約束だからな、親が子供との約束を破ってはいかん!
できない約束をしないのも、親の務めなんだ。よく覚えておきなさい。
母の覚悟と、祖父の思いで、「まなぶ」と名前を付けてくれた二人の思いに感謝しながら、「まなぶ」は、今も、日々、精進しています。
どうか、「25歳までに嫁に行ける教育」をお母さんたちは、娘さんにしてあげて下さい。
15歳でも、嫁に行って子供を産めば、もう立派な社会人として生きなければいけないし、子育てもしなければいけない時代を生き抜いた強い女の教えです。
嫁に行けば、苗字が違うので、自分の親とは「他人」です。
だから、実の親でも、夫婦のことや子供の結婚相手の苗字(親族)に対して口を出してはいけないのが、男社会が守ってきた「苗字のルール」なのです。
男の苗字を名乗った人は、そこから他人だと思って、お母さんたちは厳しい教育をしてあげて下さい。
男の子がいるお母さんたちは、そのことまで息子たちに教えられる母になって下さいませ。
15歳で嫁に行っても、恥じない教育を親たちがしていたのは、明治から昭和の女性たちですので、お金が豊かになった今だからこそ、「失った大切な日本女性の心」を子供達に教育してあげて下さい。
「3つ子の魂100まで」
3歳までに教えたすべてのことが、一生の宝となるような教育をどうか、お母さんたち、よろしくお願い申し上げます。