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おい!「馬の顔」は、絶対に触るなよ!

幼稚園の5歳の頃、家に道産子(どさんこ)の馬が1頭、やってきました。

毎日、田んぼを耕したり、重い荷物を木製の「場ソリ」を引いて運ぶ「農耕馬」です。

毛並みも綺麗なので、つい触りたくなりますが、幼稚園の頃から父親には、こう言われてきました。

馬には、絶対、触るなよ!

でも、どうしても馬に近づきたいので、餌を食べさせるお手伝いをしたり、水を運ぶお手伝いをして、何とか馬に近づきました。

父親がいない隙に、馬と直接、会話してみました。

・・・・・・・・・・・・・・

アマミカムイ
アマミカムイ

馬さんは、どうしてそこに繋がれているの?

俺たち馬は、もともとは「野生馬」だから、北海道の大地を自由に駆け回っていたんだぞ!

だが、昔やってきた「人間」が俺たちの仲間を捕まえて、「農耕馬」に調教したので、順番に捕まったのさ。

アマミカムイ
アマミカムイ

捕まらないように、抵抗はしなかったの?

たくさん抵抗はしたさ・・・。

でもな、人間のほうが知恵があって、俺たちの「一番幼い子馬」を最初に捕まえるので、次に、兄弟姉妹の馬も捕まるのさ。

そうすると、「母馬」も捕まるから、残るのは俺たち「オス馬」だけさ。

いくつもの「馬の家族」が人間に抵抗したが、順番に「子馬」が居なくなり、「母馬」が居なくなると、今度は、オス馬だけの争いになるのさ。

馬はな、家族がいないと「寂しさ」だけで死んでしまう動物なんだぞ。

だから、必ず、子馬は母馬の体にピタッとくっ付いて歩くし、人間もそれを知っているので、子馬には、手綱(たづな)も縄も、つけないのさ。

森の奥に残ったオス馬たちは、自分の家族のメス馬と子供たちを取り返そうとしたので、それを待っていた人間たちの罠にかかって死んだ馬もいるのさ。

人間は、残酷な動物で、鉄の大きな罠を仕掛けて馬を仕留めると、しばらくそのまま放置するのさ。

苦しみもがく姿を他の馬に見せると、もう、他の馬たちは戦闘意欲が無くなるので、その時に、ロープをかけられて捕まるのさ。

俺も、そうやって捕まったのさ。

アマミカムイ
アマミカムイ

そうとう、痛いんじゃないですか?

その「鉄の罠」は・・・。

痛いさ・・・。

もし、「鉄の罠」が足にかかると、筋肉が切れて、歩けなくなるので、仕事に使えないから罠にかかった馬は、そのまま人間に殺されて食われるしかないのさ。

年老いた馬や、力のない馬や、子供を産めなくなった馬は、ほとんど人間に食われるしかないのさ。

アマミカムイ
アマミカムイ

本当は、人間に食べられたくないよね?

そりゃあ、当然、そうさ!

俺たちが北海道の山の中を走り回っている時は、冬でも夏でもどこにでも「隠れる場所」はあったが、人間がどんどん大きな木を切るので、俺たちの住処も無くなってしまい、どんどん大雪山の近くに追い込まれたのさ。

アマミカムイ
アマミカムイ

大雪山には、食べ物や寝る場所は、あるんですか?

大雪山は、俺たち動物の中では「死の場所」と呼ばれていて、北海道の野生動物の最後に死ぬ場所だから、その「奥地の場所」に行くと、馬もいるし、羊もいるし、熊も、鹿もいるけど、食べ物は何もないさ。

みんな「草食動物」だけの「死に場所」は、昔から決まっているのさ。

「肉食動物」は、最後の最後まで食い殺し合うから、「死に場所」なんて必要ないけどな・・・。

弱い奴は食われて当然の世界だから、「死を悼む心」なんて奴らにはないのさ。

それは、人間も同じだろう!!!

・・・・・・・・・・・・・・

でもな、これは「馬のプライド」として覚えておいて欲しいんだが、北海道の野生動物で最も強い動物が「馬」だったんだぞ!

オオカミも蹴散らすし、熊も一撃で殺せるから、絶対に、馬を襲う「バカな動物」はいなかったのさ。

人間だけよ・・・俺たち馬を捕まえて殺すのは・・・。

アマミカムイ
アマミカムイ

でも、うちはお米農家だから、馬さんたちの手と足を借りないと、田んぼも耕せないし、重い荷物も運べないから、ありがたい存在だと思うよ。

お前の父さんは、優しい人だから、俺を買うときに、

「一番、手がやける馬はいるか?」

と聞いて、安い値段で買ってから、俺にこう話してくれたのさ。

すまんな、馬よ。

 

俺の実家(本家)にも馬は2頭いるが、お前はきっと、こんな場所から逃げ出したいよな?

 

もしかして、「嫁になる馬」を見つけたいなら、俺がいろんなメス馬がいる家を回って見つけるけど、それで納得して大人しくしてくれないか?

 

 

なぜ、俺が「手がやける馬」なのかは、お前の父さんは知っていて、「男の発情期」だと、すぐにわかったらしいんだ。

だから、そうだ!そうだ!と首をタテに振ると、さっと、額に手を当てて、自分の頭を当ててきたのさ。

俺たち馬はな、「信頼の証」として、「信用した相手」じゃないと、頭をくっつけないのさ。

なぜ、馬の額が真っ平なのか、わかるか?

あれはな、子供の頃から父親が息子に額に自分の額をくっつけて、「力比べをする本能」があるからなんだ。

体が大きくなっても時々、額をくっつけるが、父親が押して、子馬が押し返せたら、それが「成人」になった証拠なので、群れを出て、自分でメス馬を見つけて家族を作る本能があるのさ。

だから、どの馬も、額は真っ平なのさ。

人間が俺の顔や額に手を当てようとすると、俺は必ず、前足で蹴ろうとするので、一番、扱いづらい馬として、最後まで残っていたのさ。

体は大きいし、力もあるからみんな俺を買いたがったが、俺を買おうとした飼い主たちを蹴ったり、こづいたりするので、すぐ馬を売る奴らの「馬屋」に連れ戻されるのさ。

そんなことを知っているお前の父さんは、俺に話しかけてきたので、驚いたんだぞ!

アマミカムイ
アマミカムイ

え!うちの父さんは、いろんな動物と話ができるの?

お前みたいにいろんな動物とはできないが、「動物の付き合い方」は、よく知っていたぞ。

きっと、あの「アイヌのおじさん」から聞いたんだろうなあ。

アイヌは馬を敵にしないし、捕まえないけど、どうしても重い荷物を運んで欲しいときは、交渉に来るのさ。

美味しい野菜をあげるから、この大きな木を山の下まで運んでくれとな。

俺たち馬は話しあって、そういう時は、「若い馬」を数頭出して、様子を見るのさ。

もし、若い馬に縄をかけたら、俺たちが一気に人間を襲って「若い馬」を取り返すが、昔から俺たち馬はアイヌと上手に付き合ってきたし、アイヌも「馬の扱い」を知っているので、本当に賢い人間だと思っていたんだぞ。

それなのに、和人がアイスの格好をして、餌をたくさん出して、いかにも手伝って欲しいかのように見せて、若い馬を連れ去り、奪い返そうとする強い馬を鉄砲で撃ち殺したのさ。

俺たち馬には馬だけの「共通のテレパシー」があるので、一頭が鉄砲で撃たれると、全部の馬が動きを止めるし、誰も抵抗しなくなるのさ。

これは、「馬の本能」で、もし、誰か仲間が殺された時は、その場で、動くのをやめて、静かに魂を天に送る祈りを一晩中すると決まっているのさ。

母馬だけは、どうしても気が治らないと、1週間も、子馬の横に飲まず食わずでいる母馬もいるのさ。

かわいそうだが、「死んだ子馬の魂は上がった」と教えても、どうしても、かわいそうで子馬のそばを離れないまま、死んだ母馬もいたさ。

俺たち馬は、「本能を忘れた時が死ぬ時」なので、そういう「母馬の魂の追悼祈り」はしないんだ。

もし、馬が急に止まった時は、何かの「仲間の馬」が死んだ時なので、その魂を追悼していると、お前の父さんにも伝えてくれな。

お前とは、もう「信頼関係」ができたから、ほら、額に手を当ててみろ!

・・・・・・・・・・・・・・

まだ、背が低いので、手が届かず、馬の餌場を乗り越えようとした時、父親がやってきて怒られました。

お前!俺の言うことが聞けんのか!!!

馬に触ったらダメだと言っただろ!

蹴り殺されるぞ!

泣きながら、「馬と対話」したことを話すと、父親は・・・

本当に、そう言っていたのか?

 

俺がコイツを買う時は、本当に暴れ馬で、もう殺すしかないと売主が言ったので、安くして欲しくて選んだんだが、確かにコイツは、俺の体にすり寄ってきたので、額に手を当てると大人しくなったのさ。

 

ケツのハリと、後ろ足の太さを見れば、「力のある馬」だとみんなわかるが、誰もこの馬は扱えないと2度も、戻ってきた馬だからこそ、俺が買いたいと言ったのさ。

 

そうか、そんな話をこの馬としていたのか・・・。

 

じゃあ、触ってみろ!

そう言うと、父は私の体を抱き上げて、馬の顔の前に出したので、私は手を伸ばしました。

おそるおそる手を「馬の額」に当てると、首をタテに降ったので、父親は納得して私を下ろしました。

馬はな、イヤな時は、必ず、首を横に振るので、すぐわかるから、そういう時は、どうして欲しいか聞いてみろよ。

 

俺もまだ完全に馬と上手に話せないから、もし困った時は、お前に聞くから頼むな!

 

じゃあ、明日からお前がコイツの「世話」をしろ!

 

本当は、小学校に上がってからと思ったが、お前は兄貴と一緒に馬の世話をしてやれ!

 

毎日、コイツは、仕事が終わると20リットルの水を飲むし、馬の餌の「えん麦」をこれくらい山盛りにして、食わせてやれ!

 

兄貴も手伝うので、一緒に、コイツの世話をしろよ!

 

「信頼関係」というのは、「食い物を与える関係」だからこそ、お前が餌をやらないとコイツの体調もわからんし、もし、この馬が困ったことがあれば、俺に言えな!

 

アマミカムイ
アマミカムイ

さっきね、この馬がね、いつになったら「嫁」に合わせてくれるのか、待っているんだが、一向に合わせてくれないので、まだ、先になるなら、このロープを食いちぎって山に戻るぞ!と言ってるよ!

 

いつなの、お見合いは!??

おう、忘れてたわ、スマン、スマン。

明日からいろん家の馬を見て回ると伝えておいてくれ!

 

お詫びに、このチョコレートを一欠片だけ、あげてみろ!

 

こいつは、チョコレートの味を覚えてから、毎日、朝仕事を始める前と、仕事が終わった時に欲しがるので、今日の夜のチョコレートは、お前から食べさせなさい。

 

手のひらにチョコレートの一欠片だけ載せて出せば、コイツは上手に舌で舐めて食べるぞ!

ハラハラドキドキしながら、もう一度、父に抱えてもらって馬の顔の前に手を出すと、大きなベロを出して、よだれもダラダラ流しながら、ベロっとチョコレートを舐めてくわえました。

手がベタベタになりましたが、これが最も「信頼の証」だとわかったので、良い体験をしたと思いました。

本当は、馬の体質にはチョコは合わないんだが、これだけ毎日、重労働で汗をかき、スタミナ使えば、少しだけの糖分なら食べさせてもいいのさ。

 

自然界には、甘い草もあるし、辛い草もあるので、自分の体調に合わせて草を食べ分けると、アイヌのおじさんが教えてくれたんだ。

 

じゃあ、明日から毎日、夕方5時には「馬の餌」を食べさせなさい。

 

秋も、冬も、一年中、馬の世話はあるので、お前がサボれば、この馬の食べ物がないので、怒るぞ!きっと!

・・・・・・・・・・・・・・

そんな約束をしたので、毎日、兄と一緒に「馬の餌やり」をしましたが、ある日、兄は出かけて遅くなるし、自分も疲れて寝ていたので、午後5時の「馬の餌やり」を忘れていた時がありました。

すると、ドン!ドン!と大きな音がして、馬小屋が大きく揺れたので、父が私に、

お前!、今日、馬の晩飯をやったのか?

と聞かれたので、自分の食事も手をつけないまま、走って馬にお詫びに行きました。

一人で20リットルのバケツは持てないので、高い場所にある「馬の餌入れ」に20リットルの空のバケツを置き、小さいバケツをいくつも床に並べて、踏み台を使って一気に20リットルの空のバケツに水を入れると、長い顔をそのバケツに突っ込んで、ガバッ!ガバッ!ガバッ!と5口くらいで20リットルの水を飲み干しました。

「えん麦」も、踏み台を使ってたくさんあげるとバクバク食べましたが、空になったバケツに顔をぶつけて「もっと水をくれ」と合図されたので、急いでもう一回、水を運んで馬に上げました。

全部のえん麦を食べ終わり、水も少し残したので、「これで十分だ」という意味だとわかりました。

「今日のごめんなさい」のために、内緒でチョコレートの山を2カケラ上げると、目がとても嬉しそうにしてくれました。

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長年、連れ添った馬が年老いて屠殺場に送られる時、

馬は悲しい時は泣くが、コイツ、気性が荒いので泣くかどうか見てろよ!

と父に言われて見ていると、父と母には頭を何回もタテに振り、「お礼の挨拶」をしていましたが、涙は流しませんでした。

私には、じっと「私の目」を見て、何も言わずに、そのまま車に乗せられて行きました。

これも、「父親(家長)に対して馬なりの礼儀」だとわかりましたが、家から車が離れる時、大きな声で、

ヒヒーン!ヒヒーン!ヒヒーン!

と3回、泣きました。

すると、父親が、

馬が泣く時は、「自分の子供」を連れ去られた時だけなんだ。

とアイヌのおじさんの知恵を教えてくれたあと、

お前、あの馬から見たら、きっと、「子供」だったんだな。

 

だから、アイツが泣いたんだわ。

 

お前、本当にあの馬に愛されたんだな・・・。

と言われたので、号泣してしまいました。

・・・・・・・・・・・

その日の夕方に、「馬の飼い主」が屠殺場の一番美味しい馬肉をもらえるそうで、父は嬉しそうに馬の肉を食べていましたが、私が食べれるわけはありません。

朝まで生きていた馬の肉が目の前にある・・・あの仲良しの馬が・・・。

おい!その馬の肉は、一口でもいいから食ってやれ!

 

それが「馬の供養」になるんだぞ!

 

あとは、自分で祈って、馬の魂を天にあげてやれ!!

やっと、一口だけ飲み込んで、泣きながら、天に上がる祈りをしました。

・・・・・・・・・・・・・・

どうか、もうこれ以上、自然界の動物を捕まえて食べるのはやめて下さい!

いつか、必ず、人間が「食い殺される時」が必ず、やってきますよ!!

動物の肉を食べるのは、「狩りをしていた時代」だけですので、定住した人間は、「動物の肉」なんて食べなくても全然、大丈夫なのです!

どうか、地上動界物で「最低の動物が人間」だと呼ばれていることに気づいて、肉を食べることをやめて下さい!お願いします!

 

 

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