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【労働組合】釧路とカニとヤクザ

1990年代のダイエー労働組合中央執行委員の時は、「北方領土返還運動」が最も盛んな時代でした。

その理由は・・・ロシア政府から、

「日本国民は、本気で北方領土を返して欲しいと望んでいない!」

と日本政府にプレシャーがかかったので、日本全国の労働組合に通達が来て、労働組合の役員たちが根室市に集結して「北方領土を返せ!」とアピールする姿をテレビで放送する必要があったのです。

一般庶民は、「今の自分のことしか考えられない脳みそ」だから仕方ありませんが、責任ある仕事をしている人たちは、「国家運営」に尽力して国家を支えていることも知って下さい。

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「北海道ダイエー労働組合」は、当時、北海道でも大きな労働組合ですが、こういうアピール活動のプロたちは、造船労連、建設土木労連、自動車労連、鉄鋼労連、電気労連、水産労連とバリバリのおっさんたちがいますので、私たちゼンセン同盟の流通部会の新参者は、隅の方で静かに参加して「北方領土返還コール」を繰り返しました。

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「北海道ダ○エー労働組合」の役員は7名いますが、「全ダイエー労働組合の本部からお客様が2名来る」と聞いたので、北海道の可愛い社員の女の子4名を私が人選して、無料で「接待役」で連れて行きました。

※別名:「グルメツアー」と呼ばれているほど、美味しいもの三昧の旅なのです。

10名乗りの車2台に13名が別れて乗り、朝7時に出発して札幌から帯広まで高速がない時代なので、120kmで田舎道を爆走して、11時の開店前に帯広市内から外れた1軒のお店に着きました。

そのお店の名物は、生きたヤギをそのまま屠殺して食べさせる「生ジンギスカン」のお店で、そこのオーナー手作りの白と赤のワインをガブ飲みしたあと、夕方5時に終了する納沙布岬の「北方領土返還イベント」に参加するため、また、一般道を150kmで飛ばして交代しながら根室のノサップ岬まで行く移動工程でした。

2台の「三菱パジェロ」は、パリダカールラリーに出た車ですので、車体は頑丈なので、高速で一般道を走りながらジャンプを繰り返しながらも、酒を飲みながら車の中は宴会場でした。

一般道の「高速運転」は、昔、「一人走り屋」でならしたので、バリバリの私が運転を担当しました。

「2台の車同士の競争」を楽しみながらワインをガブ飲みしているお客様と女の子は、もう理由がわからず、頭が痛くなり寝てました。

やっと、ノサップ岬の集会に間に合って、「北方領土を日本に返せ!!!!」と大きな声で約1000名が叫ぶ姿がテレビに流れ、ひと段落して夕食前の「カニの時間」になりました。

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この時代は、ヤクザがお金を出して、漁師の船に8機のエンジンを積んで、いろんなカニを密猟して売り捌いていた「特攻船」が大流行の時代ですので、朝から晩まで、いろんな種類のカニが食べ放題でした。

大きな「タラバカニ」も美味しいですが、やはり、本州のお客様は「毛ガニ」を食べたいと言うし、北海道の組合役員たちは、やはり、根室にきたら「花咲ガニ」を食べたいと言うので、委員長に「1万円」だけ貰って、私がドラム缶で茹でてるヤクザ者と交渉しました。

13名分のカニを3種類調達できればいいと思ったので、各種類のカニを二杯づつ、買って持って行くと、委員長がこう言いました。

お前なあ、1万円もあれば、一人1杯分のカニは手に入るだろう!

そんなに、お前は交渉力が無いのか?

じゃあ、俺が交渉してきてやろう!

待ってろよ!

・・・・・・

あっという間に戻ってきて、ヤクザと交渉して殴られたのか、顔に手を当てて戻ってきて、委員長は泣いていました。

それを見ていた「2名の東京のお客様」が、優しく私にこう言いました。

・・・・

吉岡さん、あと5000円渡すので、できれば、これで「酒とカニ」を買ってきて下さい。

ここいる可愛い女の子たちにも酒を飲ませたいし、他の組合の人とも交流しないといけないので、足りなかったら追加のお金を渡すので、まずは、あなたが交渉して下さい。

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さすが、ヤクザ者もビビる「ダイエー労働組合の中央役員」は一筋縄ではいかないので、「できない」とは言わせませんし、こういう状況で私がどんな対応をするかを見て、人を判断する人たちなので、「本気モード」が入りました。

 

隣で飲んでいる人たちに聞くと、「もう、昨日から酒とカニは予約しているので、この時間なら、きっと、どこにも売ってる店はないぞ!」と言われたので、さらに、本気になりました。

と言うことは、一筋縄ではいかないので、別な作戦を立てました。

 

まず、「困った人になるか?ドヤ顔で迫るか?」ですが、まずは、困った顔をして、珍味を売っているおばさんに泣きつきました。

あのう、奥様、すいません。

僕らが持ってきた日本酒が全部、先輩に飲まれてしまったので、できれば、家にあるお酒を少しだけ分けてもらえませんか?

まだ、後輩たちは飲んでないし、ここの珍味も少しだけ買わせて頂きますので、本当にお願いします!

 

困った顔をした奥様が、奥にいたご主人に話をしてくれて、こう言われました。

 

お前、漁師を舐めてるのか!!!

朝早くから漁をして魚を取った骨休めは、日本酒しかないだろう!

ワインとか、ビールとかは一切、飲まないのに、その日本酒をよこせだと!!

お前、殴ってやろうか!!

 

漁師さんでしたか・・・それは知らずに、本当に大変失礼しました。

私の実家は芦別市のコメ農家で、私は次男坊なので、今、ご主人が食べているお米を芦別市の田舎で作っています。

子供の頃から新鮮な魚は無いので、干した「開きホッケ」か、「干しカレイ」しか食べたことがないので、僕は魚の美味しい味を全く知らないのです。

 

でも先輩たちは、「釧路は本当に美味しい魚がある」と喜んでくれましたが、僕は実は、海産物には興味はないので、黙って日本酒を飲んで北方領土の返還運動をしにきました。

 

だから、本当に失礼しました。

もう、ご主人の大事な日本酒をくれとは言いませんので、珍味だけ買わせて下さい。

子供の頃から、おかずも無しで、ご飯と味噌汁を食べたあとは、干した珍味だけあったので、僕の楽しみは「干物」だけでした。

 

この干した珍味は美味しそうなので、本州から来た先輩たちには、釧路の珍味を自慢しますので、ひとつづつ買わせて下さい!お願いします!

・・・・・・・・・・・

お店の奥様は涙を流すし、ご主人は喉が詰まって声が出ないようで、手振りで日本酒と珍味を渡してくれました。

お金を渡そうとすると、こう怒りました。

 

俺たち漁師が、最も頭が下がるのは、「コメ農家」なのよ!

だってな、俺たち漁師は、海に出れば何か食べ物は取れるのよ!

でも、米農家だけは収穫は、「年に1回」だろう?

 

もし、雨が続いたり、気温が低すぎると「冷害」になって、自分たちが食べる米さえないとテレビで言っていたぞ!

 

そんな、米農家の次男坊から金なんか、取れるかよ!!

俺が働いた分は、もう飲んだから、あとは、お前とお前の仲間に、この酒を飲ませてやれ!

 

今日、明日は、ここらへんの全ての店の酒は、もう予約で買われて1本もないので、これが最後の酒だぞ!

味わって飲めよ!!!(^^)

・・・・・・・・・

感謝の思いでお酒と珍味をごっそり頂いたので、仲間たちに持っていき、「飲んで待ってて下さい」と伝えました。

・・・・・・・・・

さて、「カニ」を手に入れるのに、どうやるかを見ていると、遅れてやってきた他の人たちも「カニ」が欲しくて、ヤクザ者と揉めて喧嘩をしていました。

 

いくつも「カニ」を茹でるドラム缶があるし、そこに茹でる役目の「若い衆」と、警護役の強面のデカイ男がついていたので、最も怖そうな男の人のところに行きました。

 

吉岡)すいません、もう、「カニ」なんて、あるわけないっすよね?

 

ヤクザ)おめー!こんな時間になって、「カニ」をくれなんて、甘いんだよ!!

 

みんな1週間前から予約しているのに、今日来て、今日くれ!なんて、甘いんだよ!

 

さ、商売の邪魔だから、さっさと帰れ!

 

これから大事な客が来るので、お前に売る分はないぞ!

 

さ、帰れ!帰れ!

 

こんな夕方にくる大事な客は、「親分」しかいないと思ったので、こう聞いてみました。

 

吉岡)あのう、「親分」は、何時に来る予定ですか?

 

もう、予定の時間は過ぎたと思うので、早く食べないと「カニの味」が落ちますよ!

 

あなたたちも食べてないと思うので、一緒に食べましょうよ!!(^^)

 

俺も朝から何も食べてないし、親分と一緒に食おうと思って、「最高のカニ」を用意したのに、いつまで経っても来ないので、しびれが切れてきたところよ!

 

おう、若いの!

お前、俺たち「ヤクザ」が怖くないのか?

 

吉岡)いやもう、怖くてビクビクですよ!!(^^)

きっと、明日は怖くて、朝ごはんは食べれないかもしれませんが、今は、ただ、「カニ」さえ食べられればいいだけですので、私の仲間と一緒に食べませんか?

 

会場はもう、場所取りで一杯なので、これから席取りで揉めても無駄なので、私たちの席で一緒に食べましょうよ!

 

さっき、地元のお酒も仕入れたし、可愛い女の子もいるので、さあ、「カニ」を全て茹でて持ってきて下さい!

 

待ってますよ!!!

 

嬉しそうに、隠していた全ての「カニ」を茹でて持ってきたので、私の両側にヤクザ者二人を座らせて、乾杯しました。

委員長は顔を隠していたので、理由を聞くと、殴った相手が、私の横にいる「ヤクザ者」だとわかりました。

ヤクザ者に酒を飲まして、カニを食わせてから、こう言いました。

 

吉岡)ねえ、お兄さん、あなた、さっき、あそこで顔を隠している人を殴ったでしょ!

あの人はねえ、「俺の親分」なのさ。

困ったなあ、カニを頂いたお礼に酒を飲ませてあげたのに、これじゃあ、俺の「スジ」が通らないので、あとで俺、ボコボコにされてしまうわ!

あの人ねえ、本気で怒ると噛みつくので、怖いん人なんだわあ・・・。

 

ヤクザ)そりゃあ、いかんな!

「スジ」を割ったら、俺たちの家業は生きていけなくなるけど、お前の家業は何なのよ!

 

吉岡)僕らの家業は、見てわかりませんか?

ほら、あの二人の紳士は、「東京の本部」の人間だし、ここにいる可愛い女の子たちは、あの人たちの「コレ」ですわ!

※小指を立てる!

 

吉岡)ヤバいなあ・・・、俺たちの北海道の「親分のスジ」を割ったと知られたら、俺では解決できないので、すいませんが、あの親分に酒を持って行って、あいさつのお詫びをしてもらえませんか?

 

そうしないと、俺たち、あとでボコボコにされるので、あなたにぜひ、お願いします!

 

さあ、この新しい一升瓶を持って、お詫びに行って下さい!

お願いします!!

※スジ者たちの「スジ」の意味は、こういう意味だと覚えておいて下さい。

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黒いスーツを着た大柄のヤクザ者が、委員長に酒を持って行ったのに、委員長は怖くて震えていたので、横にいって、耳元で囁いて、「乾杯だけ」してもらいました。

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ヤクザ者を席に連れて戻り、一緒に仲良く飲んでいると、突然、その場から子分と一緒に逃げだしたました。

・・・・

500名入る大きな宴会場の入り口を見ると、和服を着た老人と、綺麗な奥様と若い衆が数名やってきて、会場のあちこちを周り、誰かを探していました。

「あ!、あいつらの親分だ!」と分かりましたが、「カニ」はもう食べているし、酒の用意もできていないので、これは問題だと思いました。

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私たちの席に来たので、私が「子分たちは、あっちの方角に逃げましたよ!」と言ったのに、私の横に親分がどっかり座り込み、「酒を飲ませろ!」と言いました。

 

吉岡)「残り物のでよければ、カニも食べて下さい」と言うと、奥様も座り、連れてきた子分5名も座りました。

・・・・・・

私の仲間の組合の人間はさすがにビビったのか、「先に宿で待っているから、ゆっくりしてろ!」と委員長が言って、全員がその場から居なくなりました。

 

吉岡)「なあんだ、つまんない!」と思いましたが、子分が全員座ると、まず、「乾杯の儀式」です。

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周りのお客様たちも、ヤクザ者に関わりたくないのか、どんどん帰ってしまったので、席に残った日本酒を全部集めてきました。

「カニ」も酒も、ワインもあるので、もう、最高の宴会席なので、みんなたらふく飲んで食べました。

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組長といろんな話をしましたが、「お互いにある人とのつながり」があることがわかり、「兄弟盃」を頂きました。

北海道の東半分を占めている組長だと、あとで知りましたが、まあ、いいでしょ!

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こっそり隠れていた逃げた二人が戻ってきたので、組長が怒鳴ろうとしましたが、酔いすぎて声が出ないようなので、私が席に座るように言い、「残った一升瓶を全て飲み干せ!」と指示を出すと、慌てて飲み始めました。

 

全員が大笑いしながら「カニ」を食べ尽くして、酒を飲みまくっていると、会場の後片付けのおばさんたちが困っていたので、若い衆たちに、500名の会場の「片付け」を指示しました。

 

黒いスーツを着たヤクザ者が張り切ってYシャツを脱いで片付けを始めると、全身に彫った刺青に感動した奥様たちが声をあげたので、若い衆たちは全員がパンツ一丁になり、刺青を見せびらかして踊っていました。

 

吉岡)おい!そんな、モンモン、見せびらかさないで、早く片付けろよ!!

そうじゃないと、奥様たちが家に帰れないだろ!

 

と叫ぶと、組長と奥様が拍手をしてくれました。

 

組長)いやあ、若いの!

あなた、いい教育をされているなあ・・・。

どこの組で、修行したのか、教えてもらえないか?

 

吉岡)これは内緒ですが、俺、ヤクザ者じゃありません。

でも、札幌のススキノを占めている「通称:はじめ組の組長」とは、「兄弟盃」を交わした仲ですので、あまり大きな声で言わないで下さいね!

 

一応、俺、サラリーマンだし、この名刺のとおり、「ダイエー労働組合の中央執行委員」なので、ダイエーの中内功社長とも、仲がいいんです。

中内社長のスジの方は、山口組の本家の田岡組長のスジなので強いと思いますが、俺はそっちのスジには、直接、関係ありません。

北海道に生まれ育った人間ですもの、やっぱり、地元は地元同士で仲良くやらないとダメですよね?

これは、挨拶代わりに、私の名刺を頂いて下さい。

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北海道の東半分を占めている組長は、顔が青冷めてきました。

・・・・・・・・・・・

組長)お兄さんは、本当に、あの「吉岡さん」かい?

俺たちの世界でも有名な人だと聞いているが、こうして出会ったのも、何かのご縁なので、ここで正式な「血の血判」をさせてもらえないだろうか?

 

俺たちの家業も、この先どうなるかわからないので、できれば、あんたに俺の組を任せたいし、この嫁もお前にくれてやるから好きにしていいぞ!

 

これは、俺からのご祝儀だ!!

さ、用意しろ!!

 

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もう、こういう世界の人たちは、言い出したら止まらないので、素直に、「ドス」でお互いの指を切り、血を日本酒に入れて、正式な「血の血判」を交わしました。

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この意味は、「組長の代わり」を意味しますので、「新しい組長」として、こう言いました。

 

吉岡)俺はまだサラリーマンなので、今すぐあなたの組は引き継げませんので、私が会社を辞めるまでは、あなたが今まで通り「組長」をやって下さい。

上部団体にも、「組長交代の通達」は出さないで下さいね!

奥様はありがたいけど、今日の連れてきた4名の女たちの対応を俺がしないといけないので、また、次の機会にお願いします。

 

こう言ったあと、後片付けをしていた組員と、片付けを担当していたおばちゃんたち全員が席に座り、大宴会になりました。

「日本酒が無くなるまで最後まで飲むぞ!」言ったバカがいたので、もう目が回るほどフラフラになり、夜11時くらいまで飲みました。

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ヤクザ者が乗ってきた2台の黒い大きな車に、「組長チーム」と「私のチーム」に分かれて乗り、宿に着くまで、奥様にあそこを咥えられ続けました。

やっと、宿に着いたので、「さようなら」を言おうとすると、元組長の奥様が一人で暗闇に立っていて、「朝まで待つから寝る時に呼んでね!」と言って一人で暗闇に立っていたので、仕方なく、部屋の鍵を渡して入っていてもらいました。

 

夕食を終えた組合の人たちは、私を見て驚いていましたが、殴られた跡もないし、ただ、ベロベロに酔っているので、「先に寝ろ!」と言われて部屋に戻りました。

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夢みたいな体験だと思って、自分の部屋の布団に入ると、裸で寝ている綺麗な女性がいたので、「これは現実だ!」とわかりました。

んんーー、まあ、いいか!

人生は、こんなものだと納得してチョメチョメしてから寝ました。

<完>

 

 

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