【労働組合】釧路の漁師の「干物」の干し方と思いやり
30代の頃、釧路の「漁師番屋」でイザコザがあった日の、翌日の出来事です。
▶️まだ、「釧路の漁師の話」を読んでない人は、こちらからお読み下さい。
お昼頃にホテルをチェックアウトして、釧路の海辺をぶらぶら歩いていると、漁師のおばさんが「干物」を干して売っているお店を見つけました。
店の奥から出てきた「干物屋のオバサンの話」が、すごい話だったので皆様にもご紹介します。
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いいかい、「干物」ってのはね、朝から干したらダメなのさ!
朝から干せば、強い太陽にやられて、魚の中にいる「美味しい菌」が死んでしまうのさ。
見てごらん!あそこの家のベランダに、干しっぱなしになった「干物」があるでしょ!
あそこの嫁は、都会から来た女なので、私たち年寄りから知恵を借りようともしないから、私も意地を張って一切、あの女には「知恵」を教えないと決めたのさ。
だってね、引っ越してきて、普通は、「手土産と挨拶」くらいは、するでしょ!
あの女は私の雑貨店に買い物には来る客だけど、ああいう客は来て欲しくないねえ。
だってね、釧路の雑貨店に来る客はみんなババアばっかりだけど、たくさん子供を育てて、孫も育てて来たので、いろんな「知恵」を持っているババアなのさ。
私たちの「年寄りの集まり」で、「70歳を超えたら街のみんなの子供達を見守ること」に決めたので、幼稚園の通学路に旗を持って立って横断歩道を渡らせたり、手を上げない子供を叱って教えたりするのさ。
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だってね、世の中に出たら、「自分勝手な生き方」なんて、できないんだよ!
街のルールも、学校のルールも、家のルールもあるでしょ!
社会に出れば、「社会のルール」ってもんがあるでしょ!
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そのルールに沿って生きることが、どれくらい人生を生きるのに大切なのか、わからない子供がいるからさ、私たちババアは、「アメ」をあげてから叱ることに決めたのさ。
子供だって誰だって、「頭ごなし」に怒られるのは嫌でしょ!
だから、安いけど、ほら!こういう美味しいアメをあげて、一言、注意すると必ず、次はきちんと手をあげて横断歩道を渡るもんさ!
子供っていうのは、「口で教えてもダメ」なのさ。
だから、ああいう都会の女は、「年寄りに知恵を借りる心」がないので、きっと、あの家の子供たちは苦労するよ。
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干物も同じでね・・・、朝、父ちゃんが釣った魚をそのまま干せば、水気が一気に飛んで旨味が消えるし、さらに、昼間の強い太陽に当てると、身に入っている美味しい菌が死んでしまうのさ。
だからね、こうして午後の優しい太陽になった時に、そっと魚を干して、太陽が落ちる前に家に入れるのさ。
これを三日、続けると、ものすごく「旨味」が引き締まった美味しい干物ができるんだよ!
あとは、季節に応じて、湿度が違うので、湿度が多い日は、家の中で「電球の光」でゆっくり「干物」を干しておくのさ。
ほら、これを、食べてごらん!
昨日、取り忘れた一匹の干物と、今、3時間だけ干した干物の味を食べ比べてごらんよ!
いただきます!
・・・???? 全く「普通の干物」と味が違います!!
「干物」って、こんなに美味しい物なんですか?
そうだよ、私たち漁師のババアたちは、こうやってたくさん美味しい干物を作って、風通しが良い場所に保存してあるのさ。
そして、大切な人が来た時の、「帰りのお土産用」に用意して渡すものなのさ。
干物にも「旬」があるのを知ってるかい?
いえ、知りません。教えて下さい。
普通の干物は、持っても3ヶ月なのさ。
それ以上、置くとカビが生えてくるので、食べられないわけじゃないけど、「風味」が落ちるんだ。
だから、そういう売れ残った干物は、父ちゃんと晩ごはんで食べるんだけど、これがね、また、本当に美味しいんだよ!
少しのカビは、逆に「旨味」も増すので、都会じゃ買えないでしょうけどね。
欲しかったら残りの三匹、私たちの晩御飯だけど、持って行くかい?
さあ、ほら、あげるよ!
いやあ、オバサン、ただでは申し訳ないので、これ(千円)で・・・。
あんたねえ、年寄りがあげるっていう時は、黙ってもらっておきなさいよ!
この「干物」を持って、あのスナックに行ってごらんよ!
もう、最高に美味しい料理にして出してくれるはずだよ!
ここらのスナックの女たちは、みんな「漁師の娘」だし、嫁も、子供も、みんなスナックで働いて、「接客業」を覚えてから、世の中に出るものなのさ。
だけどね、早くに親が死んで、爺さんも婆さんもいない子供たちもいるので、「昔の味」を忘れてるから、あの○○○スナックのママさんに言って、「私からもらったので、調理をお願いします!」って言いなさいね。
きっと、美味しい定食にして出してくれるはずだよ!
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「見知らぬ街」で、「見知らぬオバサン」から「干物」をもらい、さらに「見知らぬスナック」に入るのは勇気が入りますが、ここは「流れ」を信じてスナックに行ってみました。
まだオープには早い時間だし、地元の客じゃないので、最初は、つっけんどんな対応をされましたが、「干物オバサンの話」をすると、驚いた顔をして、聞き返されました!
あんた、あの婆さんから干物をもらったの????
あの婆さんは、こっちが客で干物を買いに行っても、気に食わない客だとすぐに追い返して、「干物」を売ってくれない「気が難しい婆さん」で有名なんだよ!
あんた、何したの?
あの婆さんとエッチでもしたの???
もう、冗談にも程があると思いましたが、まあ、漁師街なので、言葉が荒いのはわかっていたので、「愛だけ、あげました(^^)」と言い返しました。
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わかったわ!そしたら、「あんたの愛」でもらった「干物」を、「私の愛で美味しい定食」に作り替えるから、そこで飲んで待ってなさい!!
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さあ、食べなさい!
これが一番、干物を美味しく食べるコツの料理なのさ。
あ!それとね、今日の飲み代は、一切、いらないから好きなだけ何杯でも飲んで帰ってね!
さっきの「干物」、私も半分もらったので、家に帰ってから子供たちと食べるのさ。
だってね、あの婆さんの作った「干物」は、ここ釧路でも有名で、みんな買いたくて並んでいるけど、売ってくれる人は少ないので手に入らないのさ。
私も父親と夫を海で死なれたので、こうやってスナックで子供たち3人を育ててるけど、あの「婆さんの干物」だけは絶対に、売ってくれないので、ずっと食べたかったのさ・・・。
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さっき、「干物屋のオバさん」が話してくれた話しを詳しく話すと、大声でママさんが泣き出しました。
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あの婆さんには、子供の頃から、いっつも怒られていたので、きっと、私を憎らしいと思っていたけど、本当は、わかってたんだね・・・。
親父がいない家の厳しさと、夫に死なれて、一人で頑張っている私を遠くから見守ってくれていたんだね・・・。
私の気の強さと弱さを見抜いて、「私のスナックで飯を食わせてもらえ!」と言ったんだねえ・・・・。
・・・・・涙、涙・・・・・
だってね、あの婆さんの娘たちも、スナックをしてるのに、変だと思ったんだわ・・・。
ほんとなら、自分の娘のスナックに持っていけば、すぐに美味しい料理にして出すはずでしょ!
わざわざ、あんたに干物を持たせて、私のスナックに行けなんて、言ってくれる優しい人だとは知らなかったわ・・・。
私、バカだね・・・・。
本当に、優しい人の気持ちに気づけない自分勝手で、強情っぱりのバカ女だわ・・・。
ありがとう、教えてくれて!
明日、あの婆さんに、きちんと子供たちを連れてお礼に言ってくるわ!
あんた、「神様の使い」みたいだねえ・・・。
これで、やっと私も「肩の荷」を下ろせるかな・・・。
父ちゃんが死んでから3年経ったし・・・それを知ってて、あの婆さんが私にくれたんだだろうなあ・・・この干物を・・・。
もう、過去の苦しみを引きずらないで、「自分の足で生きなさい」と言ってくれたんだと、今、やっとわかったわ。
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あなた!今日はベロベロになるまで、飲んで行きなさいね!
女を抱きたかったら、私の娘3人の中から好きな女を見つけて抱きなさいね!
一人でも二人でも、三人一緒でも、いいからね!
みんな子持ちだけど、いい女ばっかりだよ!
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あのう、気持ちは嬉しいですが、もうだいぶ飲みすぎたので、ちゃんとできるかどうかわからないので、誰かホテルまで送って下さい。
あ!そうだ!今日のホテルは予約してなかったんだ!!
こんな時間から入れるホテルは無いですよね?
何処か知り合いの、ホテルの人はいませんか?
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ホテルの人かい?・・・知らないことはないけど・・・。
そうだ!今日は「長女の家」に泊めてもらいなさい!
今日は、旦那と子供が札幌に遊びに行ってるので、家には誰もいないし、あの夫婦、もうずいぶん、セックスしてないから、あんた、明日の朝でも元気になったら、セックスしてあげなさいね!
私は母親だけど、娘が「気持ちいいセックス」できないなんて、本当にだらしない男だと思うけど、まあ、男の子を一人、産んでくれた種元なので、それで諦めるしかないと思ったけど、今日のあんたが「私にお礼する気持ち」があるなら、私の娘を抱いてあげなさい!
次女も、三女も、あんまり、夫の「セックスの相性」が悪いのか、「気持ちいいセックス」は知らないと言うんだけど、あんた、女を気持ちよくできる男かい?
はい!それは大丈夫です!
これまで十分、練習を積んできたので、自分勝手なセックスはしません。
する時は、相手を喜ばせることを最も心がけているので、それでよければできますよ!
わかったわ!じゃあ、娘には私から事情を話しておくから、気がすむまで飲んでなさい。
あとで娘が迎えに来るから、相手をしてあげてね!
今日は、ありがとね!!!
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こんな素敵な人たちに出会ったおかげで、「釧路」が大好きになってしまいました。
「漁師番屋」出会った漁業組合長に出会った日の、翌日の体験談でした。